クリスマス・イブ、イルミネーション輝く街角で、 俺は見覚えのある黒い車が信号待ちしているのを見かけた。 あれは… 急いで駆け寄って、リヤシートのウィンドウを叩く。 すると、スーっとそれが下がってちょこんと座席に腰掛けた 先輩が現れた。白いドレスが良く似合っている。 「・・・・?」 「よ、先輩」 運転席のセバスチャンがぎろりとこちらをにらんで 一喝する。 「こりゃー!小僧芹香様はお忙しいのだ、おまえなんぞに…」 後ろの騒音を無視して、俺は先輩に話し掛けた。 どうしても言わなきゃならないことがあったからだ。 「なあ、先輩クリスマスって先輩のためにあるような日だよな」 俺の言葉に先輩は、小首をかしげて、どうしてですかと聞き返してきた。 当然、俺は胸を張って答える。 「メリー来栖マス!!」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 信号が変わった。 遠くから山下達郎がかすかに聞こえてくる。 「お嬢さま、行きますぞ」 こくんと先輩がうなずいて、車は窓を閉めて走り去った。 こうして俺のイブの夜ははふけていった。 ===================================== ああっ!石を投げないで!