「TV版で私が一番好きなのが芹香さんです。でもこれはPC版の話です」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− それほど窓に近い席でもないのに、日の暖かみを感じる。 「んー・・・」 春の麗らかな日差しが心地良い。 ――春眠暁を憶えず 「ふわぁぁぁ・・・」 ・・・眠くなった。 『陽の温もりに包まれて』 昼休み、オレは雅史と一緒にパンを教室で食べると、残った時間を一人、中庭のベ ンチで横になることにして過ごすことにした。 横になって寝られる場所を探した結果だ。 この中庭は時折、円陣バレーをしに来る連中もいないではないが、結構静かで落ち 着ける場所だと踏んだ。 屋上でもいいのだが、あっちの方が意外に人が多い。 丁度都合良く、誰もいなかった。 ・・・あれ? 不意に、違和感を感じた。 今日、屋上が騒がしいと感じて、この場所を思い付いたのだが、おかしい感じがし た。 何か、忘れている気がしたが、特に考える必要もないと思って忘れることにした。 ごろりと、仰向けになる。 ・・・ふぅ・・・気持ち、いーな。 考えを押しやってから、改めて感じる。 陽の暖かさが丁度いい季節だから、なのだろう。 五月もGWを終え、半ばから後半に差し掛かる中途半端なこの時期。 社会人は五月病の真っ最中なのだろうか。 だが、学生たるオレには関係ない。 気持ちがいい、季節だった。 「ん・・・んぅ――――ん・・・」 眼を閉じて、微睡みに身を任せる。 注がれる陽の暖かさは、ここも屋上も大差はない。 目を閉じると一層、身体全体に受ける太陽の光をしっかりと感じる取ることが出来 て、気持ちがいい。 風さえ、邪魔しなければ最高の気分だ。 そよ風程度なら、逆に歓迎できるのだが。 「ん――っ・・・」 このまま、ずっと・・・ずっと・・・こうしていたい気分になる。 微睡みかけながら、そう感じていた。 このまま寝ると、もしかしたら寝過ごしてしまうのではないかと意識の奥で危惧し たが、敢えて無視した。 「・・・」 が、人の気配をすぐに感じた。 注がれていた筈の太陽の暖かさが遮られたからすぐにわかった。 無視しても良かったが、相手が誰で、何をされるかわからないので目を開けること にする。 ・・・オレを覗き込んでいる瞳が見えた。 「・・・」 「あ・・・先輩」 ようやく、先輩がオレの寝ているベンチの前に佇んでいることを認識する。 口元が、揺れるように感じた。 …起こしてしまいましたか? 「起こしましたか? って、いや・・・横になってただけだったから・・・」 オレはようやく、このベンチがいつも先輩がひなたぼっこをするベンチだと気づい た。昼食は既に別の場所で摂ったのか、何も持っていなかった。 「あ、座る?」 オレは、起きあがってベンチの隅に身体をずらす。 「・・・」 …ありがとうございます。 先輩はそう言って、オレの横にちょこんと丁寧に座る。 オレは両肘を背もたれに預けた、かなり崩した座り方で好対照だ。 遂、足を組みたくなる。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 ひなたぼっこ。 先輩はボーとしていた。 オレも、特に話し掛けることもなく、座ったままのんびりしていた。 ・・・あ、先輩だ。 ポンと手を叩きたくなるようにふと、さっきの違和感を思い出した。 いつもなら、ここに先輩が先に来ている筈なのだ。 お弁当を食べる場所として。 ひなたぼっこをする場所として。 さっき、そう思っていた癖に、ここに来たときの違和感と結びつけるまでに時間が かかった。 いや、すっかり忘れていた。 ・・・今日はどうしたんだ? そう聞こうかとも思ったが、止めておいた。 GWを挟んでいたとは言え、忘れるなんてうっかりしている。 だからといって謎が解けるわけでもないが、何となく聞かないで置こうと思った。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 暑過ぎず、邪魔な風も吹いてこない。 ただ、暖かい温もりだけが注がれていた。 オレと、先輩に。 「・・・・ふわぁぁぁ・・・・」 大きな欠伸が出た。 眠気が再び、訪れた。 「・・・」 …眠いのですか? 首をゆっくりこちらに向けて、先輩はそう聞いてきた。 「眠いのかって? いや・・・特に寝不足って訳でもねーんだけど、この陽気のせい かな?」 そうオレが言うと、先輩はやや俯いて小声で囁いた。 「・・・」 …宜しかったら・・まくら、浩之さ・・お貸し・・・・・ いつも以上に口をもごもごさせていて良く聞こえなかったが、どうやら膝枕を貸し てくれると言っているらしい。 「膝枕してくれるって? じゃ、お言葉に甘えて・・・」 オレは先に身体を傾けてから、「どうぞ」とばかりに用意された先輩のスカートの 太股の部分に頭をゆっくりと乗っける。 制服のスカートの布地越しに、先輩の肌の温もりを感じる。 先輩は、ポンとオレの頭と、胸の部分にそれぞれの手を置くようにして、乗せてき た。置く場所がなかったのだろう。 「いい・・・天気だよな、先輩」 目を閉じて、オレがそう言うと、 …そうですね。 と、返してきた。 薄目を開けて見ると、心なしか眼を細めているようにも感じられ無くない。 「・・・・・」 「・・・・・」 何か、いい感じだ。 ただ、同時にちょっともうひとつ、何か欲しかった。 だから、意地悪を思い付いた。 「なぁ・・・先輩」 目を開けて、先輩を見上げる。 そんなオレを、先輩も上から見つめていた。 「こないだの薬・・・大変だったよな。まぁ、凄く・・・嬉しかったけど」 「・・・」 …はい。 照れたように、頷いた。 「でも、薬物な以上、場合によっては・・・本当に危ない時も・・・あるんだろ?」 …はい。 今度はちょっと不安そうな返事になる。 「まぁ、危険もないこともない訳だし・・・もし・・・もし、さ・・・オレがもう魔 法とか薬とかを使うの止めてくれって言ったら・・・どうする?」 我ながら、意地悪な質問だと思う。 だけど・・・ 困るかな、と思ったらあっさりと首を フルフル 横に振った。 そして言った。 「・・・」 …浩之さんはそんなこと、言いませんから・・・ 「え? 浩之さんはそんなことは言いませんから って?」 コクン 先輩は首だけ、縦に動かした。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 その仕草が、疑うことを知らないと言うか、純粋無垢に近いというか、兎に角、す ごい可愛らしかった。 だから、素直に口に出す。 「先輩・・・すっげー好きだぜ」 「・・・」 昼の暖かい日差しを受けた先輩は、大層照れていた。 そして、オレはそんな先輩の温もりに包まれながら、眠りに落ちていた。 <完> −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「本当は美咲さんで書いてみようかと考えていたところもあるのですが、ちょっと似 た同人漫画があるのと、TVTHの影響で私の中のTHキャラランキング急上昇した 芹香先輩を書きたくなったのでこうしてみました。ちょっと芹香先輩の台詞部分がく どい表記にしたのは、TVの彼女を意識してです。本当は浩之が聞き返す部分は書き たくなかったのですが、それでは事実(?)と違うのでやむなく・・・」 「TV・・・岡田の出番ばっか・・・」(吉井) 「うぅ〜ん、浩之の思考回路、ちょっと深く考えなさ過ぎかな・・・」http://www.asahi-net.or.jp/~iz7m-ymd/leaf/masata.htm