「結構昔に書いてしまっていた最終回です(苦笑)」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− Chapter Final 「Friend」 どうやら、マルチさんは素敵な恋をしています。 相手に何かを望む恋でなく、相手に何かをしてあげる恋を。 ――彼女らしい 私はこう思いました。 ただ、初めの頃の私なら、こう思えたでしょうか 不思議に思ったのではないでしょうか 考えることすら、出来なかったのではないでしょうか 私は、どうやら少しずつ、変わったようです。 ・ ・ ・ 「今日、決定が出たよ」 私に告げたその声は、淡々としていたでしょうか。 延長していた実験も、恙無く完了し、量産用プログラムの原盤の開発も進み、プロ トタイプボディの作り手であるハード部門への引き渡しが迫っていました。 「君の意志を尊重したいと思っている」 ――私の意志 私の意志とはどれほどのものなのでしょうか。 どれほど、大切なものなのでしょうか。 人でなく、生き物でなく、 作られしもの、である私に。 ですが―― 私はその時、 沢山の知識と共に得た記憶。 無自覚の内に、頭の中で再生していました。 そして・・・。 「うしないたくない」 「なくしたくない」 「わすれたくない」 「きえたくない」 こんな否定的な思考が浮かぶのは、不思議です。 他の人にだけでなく、自分自身の命令にも逆らっているようです デリートを押せない。 バックスペースが動かない。 止められない。 止まらない。 ――私の中にあるこの違和感。 ――不思議な感覚。 ――痛み。 ――そう、まるでこの感覚は痛さを感じている。 ――私は痛みを感じている。 ――どうして? ロボットに、「想い」はあるのでしょうか。 わたしに、「想い」はあるのでしょうか。 これは、私の「意志」なのでしょうか。 これが、「私の意志」なのでしょうか。 私は、今まで私と共に過ごし、生きてきた皆様を見ました。 皆さん、私を見つめていらっしゃいます。 私は、見つめられています。 今まで、私は実験体として多くの方達に見つめられてきました。 スポンサーなどの協賛の企業、国や自治体の政治家や監察官、そして開発陣の皆様 など・・・ 私を作った方達。 私を造った方達。 私を創った方達。 「わたし」をつくりあげてきてくださった皆様。 わたしは、生まれました。 ここに。 別にわたしが望んだ訳ではありません。 でも、わたしは望まれていました。 そして、そんな方達がいなければわたしはここにいませんでした。 ――わたしはここにいます。 私の「想い」とは「意志」とは そう。 これくらいのことではないでしょうか・・・。 これこそが、そうなのではないでしょうか。 私は、皆さんを見て言いました。 「――私は・・・」 <完> ・ ・ ・ 後日談『そして・・・』 早朝と言って差し支えないような時間、真っ暗になっている研究室のドアが開き、 廊下の灯りを背に、研究員らしき白衣を着た若い男が欠伸と共に入ってくる。 「ふわぁ・・・」 そして、窓のシャッターを開けながら自分の席に座ると、 『お早うございます』 と、『彼女』は声を掛けてきた。 「お、今日も元気なようだな」 『はい。お陰様で』 その男の軽口に、律儀に答えてくる。 「昨日の疲れが残っているのかなぁ・・・何か、たるぃんだ・・・」 『蓄積された負荷は・・・』 「アンタのはタダの二日酔いでしょうが・・・」 これまた白衣を着た女性が、『彼女』の頭を押さえるように現れて口を挟む。 「のっかるなって・・・重さで壊れたらどうする」 「あら、失礼ね・・・セリちゃん、おはよ」 『おはようございます』 「それよりセリちゃん。良い話聞いたんだけど・・・」 「あ、それは俺が先に言うって・・・」 意気込んで話そうとする彼女を、男が制しようとするが、 「あ・・・だからこんなに朝早いんだ。珍しいと思った」 と、笑われてしまい、やや顔を赤くする。 「お前だって・・・」 『あの・・・』 男が抗弁じみたことを口にする前に、女性は言った。 「あのね・・・前の身体をベースに新しい身体を作る予算が降りたらし・・・」 「つまり、前の身体が余るわけなんだが・・・」 ・ ・ ・ 二人は、男の机に置かれている筺体を前に、楽しそうな顔をして喋っていた。 その二人こそ『彼女』の、一番の友達だった・・・。 『退屈なロジック』 Fin −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「最近のMyブームこと(笑)「これはこれでありかな」です。このオチは」 「結局、最後まで独り善がりの世界観だったような・・・」(香奈子) 「これでこのシリーズは終わらせようと思います。このシリーズの目標はセリオが達 成してくれたので・・・まだまだ、セリオの『何故?』は尽きないでしょうが、元々 8回の予定のシリーズでしたし、反応も落ち着いてきたところですので良い区切りで 終わらせたいとの意向から、ここでロジック版セリオは終了させて貰います」 「セリオ話書く度に彼女の詳細部分が違うものね、あなた・・・」(香奈子) 「蛇足の部分は完全に予定外です。ただ、あれないとセリオがどうなったか分からな いと思ったので・・・(私的にはどうなっててもいいんですが(おい))」 「次回からは『なぜなにセリオちゃん』シリーズとして、彼女の疑問を解説のお姉さ んと共に解いていこうと・・・」(香奈子) 「おいおい・・・(汗)」