『奇妙な果実の味』 投稿者:久々野 彰
 注意1「別に木に吊された昔の黒人奴隷にされてた人達の話ではありません」
 注意2「これは長岡志保の話ではありません」
 注意3「もしかしたら18禁かも知れません」
 注意4「これ、読んだことある気が・・・って人はあとがきへGO!」
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「あ・・・ん・・・う・・うん・・・」

 …私は目覚めた。


 それも、見覚えのないベッドの上で・・・。

「あれ・・・?」
 はっきりしない頭を掻いた。手触りからして、多少、寝癖もついているようだ。気
のせいか、やや眩暈もする。

  ズキィ・・・

 そして、遅れて頭にやってくる鈍い頭痛。
「あ、たたた・・・」
 思わず掻いた手で額を押さえる。
「アタシ・・・何してたんだろ・・・?」
 そう呟いたとき、掛けていた毛布が自分の起きあがった身体からずり落ちる。

「あ・・・れ・・・?」
 服を一切着ていない。つまり、全裸だ。

「あれあれあれ・・・?・・・あ・・・」
 動揺して周囲を見渡した時、
「・・・ん・・・」
 隣で幸せそうに寝息を立てている浩之に気付いた。はだけた毛布から肩がのぞいて
いる。どうやら、そちらも全裸のようだ。

「と・・・すると・・・」
 思い切り馬鹿っぽい呟きを残しながら、ゆっくりと改めて、己の身体を見直してみ
ると・・・


「あ・・・ちゃ〜・・・しちゃったかぁ・・・」
 自分の身体に、ベッドに、昨夜の余韻なのか、数々の痕跡が残されていた。
「あらあら・・・」
 そして、部屋に転がる多数のビールの空き缶と日本酒の瓶。二人で呑んだにしても
結構な量だ。そして、ベッド下に脱ぎ散らかしてある自分と浩之の服と下着。
 ・・・ここまで証拠が残っていれば、何があったか明白である。
「やっぱり・・・しちゃったんだ・・・私・・・」

  ブルルッ

「ううっ、寒い・・・」
 そこまで考えた時、急に身震いをしてベッドの中に潜る。慌てふためくよりも何だ
か、滑稽な気が先にして自分でもやけに落ち着いてしまった。早い話、呆れてしまっ
たのだ。
「うう・・・何だかなぁ・・・」
 ベッドの中で俯せになって頬を押しつけるように寝ながら、隣で熟睡している浩之
を見る。初体験を酔ったままで迎えてしまったという失態も、何故だか他人事のよう
に感じる。夢と言われれば、あっさりと納得するぐらいの。


 …私・・・貴方のことが・・・好き・・・なのかな?。


 ぼんやりと浩之の横顔を見つつ、思いを巡らせる。昨日あった出来事を思い出そう
とするよりも先に。


 …正直、分からない。


 今までにいなかった、新鮮なヤツ。
 初めて会った時から印象に残った、興味あるヤツ。
 私のことを特別扱いしないで、普通に見てくれるヤツ。


「何か・・・違う・・・」

 …理由なんて、分からない。

 人を好きになることに理由なんていらないって言うけれど、その、人を好きになる
事自体、私にはよく分かっていない。

 …私、恋をしたことないから・・・。


「うん・・・・」
 姿勢が苦しくなって、寝返りをうち、仰向けになる。そして再び横を向く。


 変わらない寝顔。安らかな、満足げな寝顔。


 …この顔で、私に何て言ったのかしら?。


 覚えていないのが残念だ。でも、もしかしたら・・・。


 …私の方から、押し倒してたりして・・・。


 だとしたら、それはそれで大変な事になるのかも知れないが、どっちにしろ、可笑
しさしかこみ上げてこない。
「ふふふ・・・」

 …なんか・・・幸せ・・・。


 奇妙な充実感。

「全く・・・人がこんなに考えて落ち込んでいるっていうのに・・・幸せそうな顔し
ちゃって・・・まぁ・・・」
 手を伸ばして寝ている浩之の頬を指で押して、へこませてみる。


「う・・・んん・・・」
 顔を歪ませて抵抗する浩之。

「ふふ・・・」

 微かな満足感。

「可愛い・・・」
 普段のぶっきらぼうな所も愛嬌だし、目つきの良くないところもこうして眠ってい
ると全然気にならない。

「はぁ・・・でも、参ったなぁ〜」

 …姉さんと、葵に悪いこと、しちゃった・・・。


 あの人見知り・・・そう表現するのが正しいのか分からないほどの変わり者の姉が
、簡単に不思議とうち解けてしまい、他のことに気が回ら無くなる程の存在になって
しまった男。
 格闘技一本で、その他のことなど見向きもしないと言うか、考えるゆとりさえなく
過ごしてきたような感じのする葵が、稽古に身が入らなくなる程想いを抱いてしまっ
た男。
 その男が今、私の隣で無防備に寝ている。

 …私と、して・・・。


「悪いこと、しちゃったなぁ・・・」
 再び俯せになって、今度は両腕を伸ばして自分の頭を支えるように顎に乗せ、ため
息をつく。

 …一度きりの過ち・・・ふふふ・・・。

 そんな単語を頭に浮かべてみたが、何だか馬鹿らしくなってうち消した。


 …まあ、起きてしまったことは仕方がない・・・そういうことにしてみようかな。


 要はこれからだと思う。これから、どうなるのかだ。


「浩之・・・シャワー、借りるわよ・・・」
 寝顔の浩之に声を掛けてからゆっくりと寝床から起きて立ち上がる。


「さて・・・これから、どうしようか・・・」
 だらしなく垂れ下がった自分の髪を手で纏めるように掴みながら、もう一度振り返
って、未だに寝ている浩之を見る。思わず頬が緩む。

 …これからよ・・・これから・・・。

 もう一度、自分を納得させるようにそう思い込んで、ゆっくりとシャワー室へと向
かって行った。

                             <完>
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「本当はこれ、もっと前の部分が必要なんでしょうが・・・これを書いている途中で
尾張さんの小説『はじめての時』を読んでしまって・・・」
「ほぼ全く同じじゃない」(梓)
「・・・そう。構図が全て・・・だから、一回は書くの止めたんだけど・・・惜しか
ったんで、前半部分をカットしてほぼ同じ部分を無くしました。それでもちょっと後
ろめたいものはあるのですが・・・だから盗作と言われれば否定は出来ないっす。存
在を知ってしまった以上・・・。でも、ここではあの人の作品読んでいる人、少ない
と思うんで・・・どんなものだか?」
「では、全くの共通点をどうぞ」(千鶴)
「「酔ってしちまった」・・・これに尽きるんです。ここは間違いなく同じです」
「いいの?。出して?」(楓)
「もし、ご本人やそれに近いサイドから「盗作だ」との抗議があれば、謝罪する準備
はあります。ただ、半分は知る前に書いていたんですが・・・発表が遅れては言い訳
にしかならないかな。でも自分では内容に違いを持たせたつもりでいます」
「そうかな?」(初音)
「で、これで書きたかったのは要は綾香の態度です。私の個人的な考えでは綾香はよ
っぽどのエピソードがない限り「浩之Love」とはならない気がします。かなりの
紆余曲折を経て、その上にきっかけが重ならない限り・・・ただ単に「今までいなか
ったタイプだから」で浩之を好きになるとは思えない。そしてかなり好意的な感情を
持っても自分でどこまで気付くかどうか・・・」
「皮肉な人間だと思う訳ですね。かなりの」(梓)
「そう。好恵を挑発し、葵を動揺させ、芹香を俯かせ、浩之をからかい、セバスチャ
ンを軽くあしらう・・・それでいて自分の事は・・・?。そんな面白い人間だと私は
思うので、そこら辺が表現されていれば・・・」
「これで貴方の「私、好き好き」の人のシリアスSSは大分書き上げた事になるわね
(笑)」(千鶴)
「うん。後は・・・葵かなぁ・・・でも彼女は・・・う〜ん・・・」