『"電波戦隊"デンパマン』第3章(上) 投稿者:久々野 彰
 −第3章『瑠璃子だけを見つめて』−

 ――初めての人へあらすじ――

 この物語は月島拓也と言うちょっと毛色の変わった、それでいて特別な力を持った
少年とそれを取り巻く少年少女達の愛と、友情と、ちょっぴりにホロ苦い・・・すま
ない。作者も訳の分からない世界のお話である。
「登場人物は"雫"キャラ中心ですが、設定は"やや"変わっています」
 そのつもりでお読み頂ければ幸いです。宜しくお願いいたします。

  PART23 「還ってきて、デンパマン」

「やあ、諸君。久しぶりだね。見ない間、元気にしてたかな・・・寂しい夜を過ごし
ていたのかい?。そんな人は皆、頼んで僕の抱き枕を作って貰おう。これで独り寝の
夜も大丈夫・・・おっと僕とした事が自己紹介がまだだったね。僕は月島拓也。人は
僕を"リーフの貴公子"と呼ぶ。だから、君も僕を呼ぶときは月島大先生とか、月島大
王とか、サー・月島とか、月島天皇なんて、堅苦しい言い方をしないでいい。ただ気
軽に、リーフの貴公子様と言ってくれればいい。これで随分親しみやすく感じてくれ
るといいんだが・・・。と・に・か・く・・・挨拶しよう・・・」
 深夜、電気のついてない暗い生徒会室で椅子にもたれ掛かるように座っていた拓也
に、突っ込みを入れる奇特な人間はもう誰もいないのか、それとも本当に誰もいない
のかひっそりと静まり返っている。だが、拓也が指を鳴らすと・・・

「せぇ〜の」
 誰かがそうかけ声をあげる。すると、

「「デンパマァァァァ――――――――ン!!!!!!!!!!!!!!!」」

 2人の少女の声と共に室内の照明がつき、拓也の頭上でくす玉が割れ、紙吹雪が舞
い、クラッカーが鳴って、白鳩が飛び回る。

「ははははははははははははは・・・はあぁぁぁぁぁぁはっはっはっはっはっは」
 黒のタキシードにシルクハットで身を包んだ拓也が、マントを椅子の後ろに用意し
た扇風機でたなびかせながら、椅子に片足を乗っけた姿勢で高笑いを始める。
「拓也様ぁぁぁぁぁ」
「月島さまぁぁぁぁぁ」
「「せぇ〜の、デンパキングゥゥゥゥゥゥ!!!!」」
 拓也の両脇を固める桂木美和子と吉田由紀の二人が歓声をあげる。
「デンパスタァ――――!!」
「貴公子様ぁ――――!!」
 完全にイっちゃってる美和子と由紀。美和子は赤いドレス、由紀は白のドレス姿を
華麗に着こなしていた。そして3人のやや離れた所で、紺のタキシードを着た太田香
奈子が、まるで機械仕掛けの様にザルから紙吹雪をバラ蒔いていた。その肩には最初
に飛び出した鳩が止まっている。

 ・・・異様な光景だった。


 異様に盛り上がっている生徒会室の前で藍原瑞穂が月島瑠璃子に訊ねる。
「いいんですか?」
「いいの。最近、お兄ちゃん出番無いから・・・」
 やや表情を和らげて瑠璃子が答える。瑞穂には、彼女が微笑んでいる様に見えた。


「わあぁぁぁ――――はっはっはっは・・・・シクシク」


 月島拓也。人呼んでデンパマン・・・は寂しかった・・・。

                             <完>

  PART24 「私は何番目なの?」

「ねえ、祐くん?」
「・・・何だい?」
 下校途中で沙織に捕まって、無理矢理一緒に帰る事になった祐介は不機嫌そうに答
える。
「私と・・・瑠璃子ちゃん。どっちが・・・」
「瑠璃子さんが好き」
 照れくさそうにはにかんで見せて、それとない調子で聞こうとした沙織が最後まで
言い終わる前に即座に答える祐介。迷いなど見せずに。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・じゃ、じゃあ・・・えっと・・・(見てなさいよ)・・・祐くんの大好きな
マルチちゃんと、瑠璃子さんだったら・・・どっちが好き?」
 内心では怒りの炎が燃え上がり不動明王が顔を覗かせていたが、沙織は何とか笑顔
を崩さないで更に訊ねる。
「・・・・・」
「(よ〜し、よ〜し、悩んでる悩んでる)」
「・・・マルチに決まっている。彼女は僕にとって神にも等しいんだ」
「よっしゃあっ!!」
 祐介の答えに佐々木監督の様にガッツポーズをして、拳を力強く握りしめる沙織。
「(今度、あの女の前で聞いてやろ)・・・じゃあ・・・私と・・・マ・・・」
 そこで沙織はハッと気付く。

 …私とあの女ではあの女が上で、あの女と機械人形では機械人形の方が上なんだか
ら・・・私と機械人形じゃあ・・・最初っから答えが決まっているようなものね・・・

「・・・・・?」
 急に固まって計算機の様な音を立てて何やら考え出した沙織に、祐介は不審顔を向
ける。その時、そんな二人の横を、

  …石やぁぁぁきぃぃぃもぉぉぉぉぉぉぉやあぁぁぁきぃぃたてぇぇぇぇぇぇ
 ぇやぁぁぁきぃぃぃもぉぉぉぉぉぉ

 分かりにくかったかも知れないが、石焼き芋売りの軽トラックがスピーカーからテ
ープを流しつつ、走り過ぎていった。

「私・・・と、石焼き芋。どっちが好き?」
 ピンと思いついてニッコリと祐介の方に笑顔で訊ねる沙織だったが、既に祐介は車
を追いかけて走り去っていた。
「おじさぁぁぁん。一本頂だぁぁぁぁぁぁい」

  ピュゥゥゥゥゥ〜〜〜〜

 置いてきぼりにされた沙織の足下を冬の風が通り抜ける。

「・・・・・・・・・・・・祐くんのばかぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」
 号泣して走り去っていく沙織。彼女に幸せは訪れるのか。

                            <完>

  PART25 「嬉し恥ずかしプレゼント」


「やあ、瑠璃子さん」
「長瀬ちゃん・・・」
「今日はプレゼントがあるんだ。受け取ってくれるかな?」
 さっと包装紙にくるんだ物を瑠璃子に手渡す。
「開けて・・・いい?」
 ちょっとキョトンとした表情を見せてから、瑠璃子はニコニコした顔の祐介の方を
見て聞く。
「勿論!」
「・・・・・」

  ガサゴソ・・・ガサ・・・

「・・・何?」
 包みの中から出てきたのは薄い桃色の地のTシャツだった。胸の所に"ワルチ"と書
かれていて、ワルチ(*注・鈴木Rose静様などのSSに登場するマルチの妹キャラ)の
絵がプリントされている。
「そら、これでお揃いだ」
 上着を脱ぐ祐介。下に着込んでいたTシャツには白地に"マルチ"と書かれていて、
マルチの絵が同じように書かれていた。
「本当は同じ物を用意して完全なペアルックにしようと思ったけど・・・やっぱりマ
ルチは僕の物だから・・・それでワルチのを買ってきたんだ?。気に入ってくれたか
な?」
「・・・・・」

  ポイ

 無表情に立っていた橋の上から川に向かってTシャツを投げ捨てる瑠璃子。
「うわあぁぁぁぁぁぁ――――――――っ!!!!!!!!!!!!」
 それを見て、頭を抱えて絶叫する祐介。

 その時、

「うりゃぁぁぁぁぁぁ――――――――っ!!!!!!!!!!!!」
 何者かが川に向かって叫びながら飛び込んで行く。

  バシャアァッ!!

「・・・・・」
「・・・・・」
 二人が川を覗き込んで見ていると、
「ゲフッ!!。よ、よ、よくも・・・この毒婦っ!!。祐ちゃんの贈り物を投げ捨て
るなんて・・・美少女仮面サオリーナはとっても気分が・・・ハックション!!!」
 蝶をあしらった眼鏡をかけた沙織が、手にTシャツを握りしめながら浮いてきてワ
イワイと川の中から騒ぎ立てる。
「・・・・・・欲しかったら、あげる」
「瑠璃子さんっ!?」
「えっ!?。本当!?」
 瑠璃子の言葉に沙織ことサオリーナは一瞬、我を忘れて両手でTシャツを握りしめ
る。だって捨てたもんなあ、どうやら瑠璃子には要らない物だし。

「ウレシ〜〜〜〜これで明日から祐くんとペアルック!!」
「お、おい・・・ちょっとぉっ!?。瑠璃子さぁぁぁぁんっ!!!!」
 川の中でTシャツに頬ずりするサオリーナを余所に、スタスタと立ち去っていく瑠
璃子と、それを慌てて追う祐介。


「・・・って懐柔策なんかに乗ったりしなくてよ!!。って・・・・あれ?」
 暫くの間、はしゃいでいたサオリーナこと、沙織が気付いた時には、彼女は完全に
取り残されていた。

「嬢ちゃん。こんな真冬に行水なんかしたら風邪ひくべ・・・」
 橋の上を通り過ぎるリアカーを引いたおじちゃんが、サオリーナに声をかける。
「・・・・・・」

  ブクブクブク・・・

 サオリーナこと、新城沙織は沈んでいった。勿論、手にTシャツを握りしめたまま
・・・

                             <完>

 −コマーシャル−

「真実のギャグ!? そんなモンあるわけねえだろ!!」
「ただ人気取りの為だけに作られる安易な読み切り連載シリーズSS!!」
「ギャグの老舗だとか、雫パロの元祖だとか言われるのは糞くらえだ!!」
「ただ、リーフキャラ共を好き勝手にオモチャにして、壊して壊して壊しまくるだけ
のくだらねえSSだぜ!!」
「俺はただ、自分の気持ちが良くって、自分の好きな事な事をしているだけさ!!」


「・・・貴方は、これでもデンパマンを愛しますか?」

 電波戦隊"デンパマン" 第1章「ドス色の青春」編
            第2章「月島瑠璃子と惨劇関係」編  好評掲載中


  PART26 「絶対、ちげーよ」


 …それは、某ショップ前の出来事だった。

「どぉぉぉぉぉぉぉしてぇぇぇぇぇぇぇっ――――――――!!!!!!!!!!」
「やかましぃ!!。一昨日来やがれっ!!」
「キャッ!?」
 店の入り口近くの店員に、表の道に蹴り飛ばされる葵。丁度、三○銀行まで預金を
おろしに歩いていた拓也の足下に転がる。
「おっと・・・」
「あ、すいません・・・ああっ!?」
 葵はすかさず立ち上がって拓也に謝ろうとして、顔を見た瞬間に小さな叫び声をあ
げる。
「君は確か・・・」
 一方、拓也の方も思い出そうとこめかみに指をあてて考えていたが、
「ああ、思い出した!」
 パンっと両手を叩く。
「勝・三度!」
 エム・サンドじゃないよ(マイナーネタだぁぁぁ。WINで出してくれぇぇぇぇ)。
「違いますっ!!」
 キッパリと否定する葵。
「私は・・・松原葵です。趣味は格闘!。目標は大山○達を越える事ですっ!!」
「まあ、名前なんてどうでもいい」
「どうでもよくないですぅぅぅぅぅぅぅ」
 最早、転校同然状態の気がする葵だったので、拓也にあっさり言われてしまって、
思わず縋り付くように泣いてみせる。
「ところで・・・どうしたんだ?」
「聞いて下さいっ!!」
 拓也に縋り付いたのを邪険に払われながらも、気にせずに力強く喋る葵。ア○リア
か、お前は?。
「・・・特別に聞いてやろう。手短にしてくれよ」
「見て下さいっ!!」
 店の外の壁に隠れるように身を寄せて、店内を覗き込む二人。レジの横の所を葵は
指差す。(位置的に見えないかも知れない。でも勘弁ね)
「THのテレカがどうかしたかい?」
 そこには沢山のテレフォンカードと共に、THキャラのテレカが売られていた。
「マルチちゃんSold Out、あかりさんSold Out、来栖川先輩Sold
 Out・・・」
「皆、人気あるものなぁ・・・」
 ウンウンと頷いてみせる拓也。忙しなく見えるのは、出入り禁止になっているから
その店の前に長居したくないのだ。
「どうして私のがまだ売れ残ってるんですぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!!???」
 涙目で訴える葵。
「知るかぁぁぁぁぁぁぁ――――――――っ!!!!!!!!!!!!!!!!」
 負けずに絶叫する拓也。
「だって・・・だって・・・エグエグ・・・私だって・・・私だって・・・人気ある
のに・・・」
「でぇぇぇぇぇいっ!!!。んな事で、泣くなあぁぁぁぁっ!!!!!!!!」
 思わず履いていたナイキっぽいメーカー名の安物スニーカーを脱いで、葵の頭を強
か叩きつける拓也。

  パカァンッ!!

「この僕のテレカが無いんだぞ・・・この月島拓也様の・・・」
 いつの間にか、拓也の目にも鈍いモノが光っていた。
「勿論、全体は金主体で、中央の僕のポーズは椅子に座っている所。そこをホログラ
フィで浮き上がるようにって・・・これが試作品なんだが・・・」
「自分で作ったんですか?・・・」
 頭を押さえたまま、呆れたように呟く葵。
「それに比べれば・・・売れ残りなんて・・・どうって事・・・ん?」
「お前ら・・・仲間だったのか・・・」
 気付いたら、鬼の様な形相をした店員二人と店の常連達が拓也達をズラリと取り囲
んでいた。騒ぎ過ぎだ。
「ウチの店に一体何の恨みがあるんだい?・・・」 
「マルチィィィィ・・・」
「まるちぃぃぃぃ・・・」
「まあああああるうううううちいいいい・・・」
「ひいぃぃっ!!」
 店員の後ろに控えた、暗くこもった男達の唸り声の様な声に竦む葵。
「くっ・・・」
 歯がみして睨み付ける拓也。恐怖のあまり、葵が拓也の背中に縋り付く。
「この野郎・・・」
「殺してやる・・・今度こそ、殺してやる・・・」
 一歩、また一歩と包囲網が縮まってくる。
「フン・・・」
 だが、拓也は軽く鼻で笑うと、


「久々のぉぉぉぉぉぉぉ、デンパァァァァァ・フラァァァァシュ!!!!!!!!」


「うおごごごごごごごおっ!?」
「あぎゃぎゃぎゃぎゃっ!?」
「びえええええええええっ!?」
 マジで久々の必殺技。意味もなく周囲に光の珠がポーズをとる拓也の周りに沢山取
り巻いていた。まあ、綺麗な光景だ。これで周囲がのたうちまわっていなければの話
だが。
「フン・・・・いつまでも借りっぱなしには出来ないからな・・・」
 久々の見せ場に満足したのか、格好つけたまま銀行へと歩いていく拓也。


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"・・・・・・・・・」
 他の連中と同様に、デンパにのたうち回りながらごろごろと地面に転がっていた葵
だったが、颯爽と銀行に向かう拓也の後ろ姿を見送りながら・・・

 …身体がジンジンと痺れる・・・。頭が凄く痛い・・・。
 …あの人といると・・・ いつも・・・こう。
 …これって・・・

 もうお分かりだろう。さあ、みんなで一緒にハモろう。

 …これって・・・恋?

 その瞬間、彼女は恋に堕ちた。松原葵の初恋・・・不幸な初恋だった。

                           <完>

  PART27 「お弁当」

「やあ、皆。僕の名前は月島拓也。初めての人以外、特に名乗る必要はないだろうか
ら、もう言わない。でも、どうも戦隊物じゃなくて、学園物になってしまった気がす
るのは僕だけだろうか?」
「授業中だぞ。月島・・・」
 教師に指されて、黒板に答えを書きながら、いつもの自己紹介を始める拓也に注意
する中年教師。頭に包帯を巻いていた理由は誰もが知っていた。


 そして、昼休み。拓也は瑠璃子の愛情弁当を受け取りに行くべく、席を立つ。廊下
に出ると、出会い頭に桂木美和子に出会う。
「先輩・・・」
「あ・・・僕2号じゃないか」
「桂木美和子です・・・」
 寂しそうに言い返す美和子。
「ああ。御免御免・・・で、何の用だい?」
 その言葉に救われた様に、美和子はチーフにくるまれた弁当箱を取り出し、
「宜しかったら、お弁当・・・食べて下さい!!」
 捧げるように拓也に差し出す。必死な形相だった。
「あ・・・えーと・・・」
 流石にその必死さに打たれたのか、拓也も引き気味になる。戸惑ったような顔をし
て、頬を掻く。
「僕は・・・」
「お兄ちゃん」

 ギョっとして振り向くと、そこには瑠璃子がいた。手にはいつも通りお弁当も持っ
て。(おお、何だか妹付きの恋愛モノの王道シーンだ)
「瑠、瑠璃子・・・」
「お兄ちゃん・・・良かったね」
 笑顔と共にいつもと変わりないやや醒めた声。だが、少なくても拓也にはいつもよ
りも醒めた声に聞こえた。気のせいかも知れないが。

  スタスタスタ

「長瀬ちゃんと・・・食べてくるね」
「瑠璃子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ――――――――――――!!!!!!!!」
 手にした二段弁当を持ってそのまま引き返す瑠璃子を追っかける拓也。
「せ、先輩・・・・・」

  ルルルルルルルル〜〜

「涙?・・・・私、泣いてるの?」
「美和子、一緒に食べよ」
 一部始終を見ていた吉田由紀が、涙を流しながら硬直している美和子の肩をポンと
叩く。
「私達・・・いつまでも友達だよね」
「うんうん・・・友達だよ」
 泣きべそをかく美和子の頭を撫でながら、由紀が慰めていた。

                           <完>

  PART28 「薔薇のキ○ガ○」

「HEY! タクヤ」
「デンパブラスター!!」
「OHCH!?」

「あ、男・・・」
「デンパブレストっ!!」
「いやあぁぁぁっ!?」


 ワラワラワラ・・・
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ―――――――――――!!!!!!!!!!」
 校庭の中央にいた拓也は吼えながら身構えて、
「黄昏よりも暗い奴 (略) 我と瑠璃子に力持て 等しく滅びを与えん事を・・・
デンパ・スレイブっ――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 一気に力を解放して、押し寄せるキャラクター達を吹き飛ばす。

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・あ、どうも、デンパマンです。え?、今何をして
たかですって?」
 拓也はようやくファイティングポーズを解いて、校舎に戻る。
「これ以上登場人物が増えたら僕の見せ場が無くなると困るんで・・・邪魔者は消し
たのさ。○○○さんの考えたキャラとか、○○○○さんの思いついたキャラとか・・
・久々野は何か考えていたようだが、僕には目障りでしかないからね。他の考え中の
キャラ共々、早めに潰しておいたんだ」
 そして教室に戻りかけた時に、呼び止められる。
「月島先輩」
「あ、僕3号」
「吉田由紀です」
 いつの間にか吉田由紀が目の前に立っていた。
「そうとも言うな」
「そうとしか言いません」
「まあいい・・・で、何の用だい?」
「先輩に決闘を申し込みます」
「は?」
 真面目な顔をした由紀がそう言う。その右手にフェンシングの練習用の剣を持って
いた。
「ひょっとして、胸に薔薇の花をつけるパターンか?」
「・・・・・・知りません。兎に角、決闘しましょう」
 由紀は、いつになく真面目な顔をしていた。


「・・・ひょっとして・・・私の為?。私の仇討ちをしようとしてくれてるの?」
 物陰で二人を見つけ、そのまま見つめ続けている桂木美和子。
「由紀ちゃん・・・」

  ギュッ

 思わず握りしめる拳に力が入る。


 拓也はその由紀の様子を暫く見つめていたが、ふと思いついて訊ねる。
「ひょっとして、またか?」
「ピンポーン」
 その瞬間、剣の先から造花が飛び出す。制服のスカートから七色の煙が吹き出す。
「おーい、誰か頼む・・・」
「ケヘヘヘヘヘ・・・アソンデヨォ〜。アソンデ、アソンデ」
「ゆ、由紀さん・・・」
 拓也の呼び掛けに、慌てて完全に壊れている由紀を保護にやってくる瑞穂。その他
の生徒も集まってくる。


「由紀ちゃん・・・・」
 美和子はそこから動けなかった。両目にいっぱいに涙を溜めたまま・・・。

                          <完>

  PART29 「赤い稲妻」

 生徒会室で拓也と祐介が言い争っていた。二人とも、ほぼ無関係な筈なのにこの場
所で言い争っていた。
「丼物の王様は天丼だあっ!!」
「牛丼に決まってるじゃないかぁっ!!」
 どうでもいい事を、言い争っていた・・・。


「この・・・アンパンばっか食べてるザコが・・・」
「カレーよりもいいじゃないかっ!!」
「カレーの方がマシだと思いますが・・・」
 二人の言い争いを横で聞いていた瑞穂が、ボソっと呟くが、当然ながら二人とも罵
りあうのに必死で聞いていない。二人の横では瑞穂以下、生徒会役員がせっせと本日
の業務に励んでいる。


「あのさあ・・・瑞穂」
 脇で雑務をこなしていた由紀が、二人の言い争いをどう止めていいやら途方に暮れ
ていた瑞穂に声をかける。
「何?。由紀ちゃん」
「この学校・・・今、誰が生徒会長なの?」
「そう言う事って・・・タブーなんじゃないの?」
「そうなのかなぁ・・・?」
「前の生徒会長なら、知ってるかも・・・」
「月島先輩ぃ――――――――っ!!」
 由紀が鉛筆を持ったまま、祐介と言い争っている拓也に呼び掛ける。


「アンパンばっかやってるから、頭がスポンジになっちまうんだっ!!」
「牛かぃっ!!。僕はぁっ!!」
「そうかっ!。「類哀れむ」だなっ!!。だから牛丼を推したんだなっ!!」
「殺すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!!!!!!!!!」


「・・・・さっきからあの二人、一体何の話してるの?」
 全く聞いてくれない二人の会話の意味が分からなくて、瑞穂に尋ねる由紀。
「ブルーがアンパン好きで、イエローはカレー好き・・・長瀬君がブルーだから・・
・」
「だから・・・何なのよ〜〜」
 やっぱり意味不明の論理の会話についていけない由紀が頭を抱える。
「気にしないで。うろ覚えの知識に久しぶりに触れた話題を聞いたんで出しただけみ
たいだから・・・」
 由紀に弱々しい笑顔を向けて慰めるように言う瑞穂。
「・・・何だか分からないけど・・・苦労してるみたいね」

  フッ・・・

「・・・大丈夫・・・もう、慣れたわ・・・」
 由紀が同情の眼を向けると、瑞穂はあらぬ方向を向いて嘆息して見せる。
「ああ・・・何だか触れてはいけなかった気が・・・」
 小声で呟く由紀に、瑞穂は振り向いて訊ねる。
「ところで・・・今日は桂木さんはどうしたんです?」
「美和子?。ああ・・・何だかすごくショックを受けたとか何とかで・・・寝込んじ
ゃって・・・病み上がりだからね」
「そう・・・大事に至らなきゃいいけど・・・」
 心配そうな顔をする瑞穂。
「友達から聞いた話だと・・・「信じてはいけないものを信じてしまった」とか何と
か言ってたとか・・・多分、疲れてるんでしょうね」
「ふうん・・・きゃっ!?」
 その時、拓也に突き飛ばされた祐介の身体が、瑞穂にぶつかる。
「あ・・・御め・・・」
 ぶつかったのに気づき、瑞穂に謝ろうと振り向いた祐介だったが、瑞穂を見て凍り
付く。

「眼鏡ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――――――――!!!!!!!!!!」


 その日、生徒会室が血に染まったと、後に救出された吉田由紀は語った・・・。

                           <完>

  PART30 「好恵とマルチ登場」

「あ、葵ちゃん・・・」
 ここは月島拓也達の通う高校の隣の高校。本来、葵が通うべき学校だった。
「あ・・・あかりさん」
 今日も昼休み前に購買部を急襲してカツサンドを全て強奪すると、中庭の一角を占
拠して昼食を取っていた。勿論、脇に山積みにされたカツサンドをである。
「一つ、食べます?」
「あ・・・御免ね。私、お弁当あるから・・・」
 別に葵は悪意があって強奪した訳ではない。ただ、本能がカツサンドの存在を許さ
ないのだ。だから、こんな真似をしていたのだ。だから、いつもこの時間は自己嫌悪
に陥る。だが、代金を支払う能力がない。だから、自己嫌悪に陥る(オイオイ)。


「あ、浩之さん」
「やあ、マルチ。いつもお掃除ご苦労様」
 モップで廊下掃除をしているマルチに藤田浩之が声をかける。
「マルチ・・・俺、手伝うよ」
「そんな・・・悪いですぅ。それに・・・私、掃除が大好きですから・・・」
「おりゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 マルチとの会話中、疾風のように現れた男が現れる。
「あ、危ないっ!?」
「え?」
「デンパァァァァァァァァ・ミキサァァァァァァァァ――――――――!!!!!」
 電波がまるで角のように男の頭から放出し、それで頭突きを入れる。
「うぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」
「ああ、ご主人様ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「僕のマルチにぃぃぃぃ♪、手を触れないでぇぇぇぇぇ♪」
 岩田のお兄ちゃんっぽく歌う祐介。

 何者だ、お前・・・。


 一方、中庭の方では、葵とあかり、二人並んで座っていた。
「その・・・さ、葵ちゃん。最近、学校にいないね」
「え・・・」
「何か・・・あったの?」
 その瞬間、葵の顔が赤くなる。
「い・・・いえ・・・その・・・私・・・実は転校しようと思っているんです」
「え・・・本当?」
「色々、この学校には迷惑かけちゃったし・・・それにその・・・」
「もしかして、好きな人が出来たの?」
 どうしてそんな発想が出るんだ、あかり。
「だって・・・顔、赤いんだもん」
 だからって・・ってこっちに反応するな。あかり。
「そ、そ、そんな事・・・」

 ドクン・・・ドクン・・(オイオイ)

「あのね、浩之ちゃんが・・・(さっき葬られたぞ)」
『いけないわ・・・(何が?)』
 その時、葵の心で何かが聞こえる。そして、
「気のせいですぅぅぅぅぅぅぅぅ――――――――――――――っ!!!!!!!」
「あ、葵ちゃんっ!?」
 耳を押さえて走り去っていく葵。


「な・・・なんだったのかな?」
 ポツンと取り残されるあかり。
「何ですってぇぇぇぇぇぇ――――――――――っ!!!!!!!!!!!!!!」
 ちょっと遅れて、後ろの茂みから坂下好恵がカツサンドを口にくわえたまま立ち上
がる。
「きゃっ!?」
「葵が・・・私の葵が・・・好きな人!?。転校!?・・・認めない。私、絶対に認
めないんだからっ!!」
 鼻息も荒く、その場にへたり込むあかりを余所に、絶叫する好恵。彼女もまた、何
かの運命に狂わされた少女なのか?。彼女の出番を気にしつつ、次回を待て!!。

                            <完>