『あの日のままの君でいて(柏木楓編)』(前編) 耕一さんが、帰って行った・・・。 「私・・・また、何も出来なかった」 私はずっと待ち続けて来た。エディフェルとしての魂が次郎衛門の転生を待ち続け て来ていた。何年も、何十年も、何百年も、何世紀も、エディフェルがエディフェル である前から、次郎衛門が次郎衛門である前から、ずっと、ずっと昔から待ち続けて いたんじゃないかと感じている程。そしてやっと再び巡り合えた二つの魂。それなの に・・・それなのに。 それはエディフェルとしての気持ち。それじゃあ、私は?。私は何なの?。 ・・・怖かった。 こんなに想っているのに・・・ずっと待ち続けていたのに・・・怖くて、何も出来 なかった。 千鶴姉さんも、梓姉さんも、初音ちゃんも、皆、みんな耕一さんの事が好き。 私は、本当に耕一さんの事が好きなの?。 好きなの?。 スキナノ?。 ・・・分からない。千鶴姉さんが耕一さんを何かと頼りたがるのも、梓姉さんが耕 一さんと口喧嘩したがるのも、初音ちゃんが耕一さんと遊びたがるのも、みんな・・ ・見ていたくない。切ない・・・気持ち。でも、それが本当に柏木楓として耕一さん への感情なのか、生まれ変わる前のエディフェルとしての次郎衛門への感情なのか、 私には分からない。柏木楓としての愛情に自信が無い。だから・・・怖かった。 ――邂逅する二つの魂――― あの時の私を信じたい。本当の愛情と信じたい。誰にも負けないこの気持ち。真摯 な愛・・・そう思っている。それは生まれ変わる前、前世なんて関係ない私の感情。 でも、それと同時に常に自分の中で蠢いているエディフェルの気持ちも本物。彼女 の心情も痛い程分かる。一族全てへの愛をも陵駕する次郎衛門への恋。そしてずっと ずっと言葉には言い表せない程の長い歳月を経て待ち来た想い。 私、どうすればいいの?。 だから、こっそりと二人だけで会って確かめたい。この、運命のこの場所から離れ てこそ、本当に分かるのではないだろうか。私が、ワタシが好きなのは・・・耕一さ んなのか、次郎衛門なのか・・・。 「行ってみよう・・・耕一さんの、いる街へ・・・」 楓は決意した。固い固い、決意だった。 <続く> −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「キツイよぉ・・・一部パクりあるし(ネタ不足、すまん)」「・・・・・」(楓) 「当初は梓と千鶴と響子しか考えていなかったこのシリーズ。で、他に考えていた話 を出す予定が・・・フロッピー紛失でパア。同じ事を二度やる気力なんて無い。で、 シリーズ延長を決定。かおり編を完成させる。だが、響子編が18禁(て、ゆうか下品 過ぎたので)に触れて自粛。で、急遽この楓編を作っている。楓ファン憤慨かも。確 か西山英志FX様方がKCって組織作ってたような・・・。これで完全に絶縁だな。 嫌われるよな。ここまでは良くても後編で・・・後は初音ファンに嫌われるのを待つ だけか・・・トホホ」「・・・・・」(楓)「ねえ、喋って」「・・・・・」(楓) 『あの日のままの君でいて(柏木楓編)』(後編) 「・・・着いた」 私は、とうとうやって来てしまった。耕一さんのいる、この街へ。 「・・・・・」 都会の喧騒を背景にしながら、楓はここまでの道のりについて思い返していた。彼 女はあれから自分の思いを打ち明けた梓(まともに話の出来るのは彼女一人だった)と 相談した結果、千鶴には本当の事を言わない方が良いという事になっていた。理由は 各自で考えてくれて構わない。まあ、大体の想像はつくと思う。わざわざ平日を選ん だのも、そのせいだったりする。 「・・・確か・・・」 駅を出て、楓は思い出したようにわざわざ梓が描いてくれた地図を開く。 「・・・・・?」 何故か、地図は駅とは無縁に近い全く反対側の方から描かれていた。楓は梓が耕一 に会いに行った時に、一体どういう事になっていたのか、不幸にも入院していて知ら なかったので、梓がこのような地図しか描けない理由を知らなかった。だから暫く途 方に暮れてその場に立ち尽くしていると、 「困っているようだね」 と、急に男の声で声を掛けられる。 「あ、貴方は・・・?」 こっちは色々と怖い所だと聞いていた事もあって、楓は少しおどおどしたように振 り返る。だが、そこにいたのは恐そうなチーマーでも、ロリコン趣味の親父でもなく 、矢島、あの矢島がいた。 「驚いているようだね」 コクリと素直に肯く楓。 「別に登場する必要があったとは思わないんだけど、このシリーズでは誰かがゲスト として登場してる。最初こそ瑠璃子ちゃんも出てたりしたけど、それ以降はTHで統 一されてるからね」 「でも、どうして・・・」 「うん。既にあかりは千鶴編、志保はかおり編、マルチは梓編にそれぞれ出た。葵は デビュー作で出てるし、レミィだと会話をキチンと書く自信が無いらしいし、智子だ と問題を悪化させずに物事を解決してしまう可能性大なのでここでは使えない」 「え・・・?」 何だか、嫌な事を聞いた気が楓はその時したが、矢島は気付かずに喋り続ける。 「琴音だと二人・・・だと雰囲気沈むし、芹香先輩だと尚更。理緒は所詮オマケだし ・・・綾香はここでは使いたくない。浩之は主人公が出る訳にはいかないだろ。とな ると僕が出張るしかないじゃないか」 まるで作者の代弁をしているように喋る矢島に、 「・・・・・」 やや圧倒された楓にはよく分からなかったが、理にかなっているらしい。 「じゃあ、これからどうしようか?」 そのまましらっと先に進めようとする矢島に、楓は困ったような顔をしたが、 「耕一さんの・・・」 おずおずとそう言いかけると、 「駄目駄目駄目。わかってないなあ」 矢島は君は何も分かってないと言わないばかりに、両手を広げて首を振る。 「え?」 ひきかける楓にここぞとばかりに近寄る矢島。 「君はデート中に他の男を呼んだりするかい?。違うだろ。例えば、遊園地とか、映 画館とか、TDLとか・・・色々と・・・さあ?」 何だかおかしい。そんな感情が楓の中で芽生えた瞬間、 バキィッ!! 「はい、御免よ。御免よ」 呆然と一部始終を見ていた楓の前から、気絶した矢島の足を持って引きずって橋本 が立ち去って行く。 「・・・ったく、待ち合わせでこの俺を待たせるなんぞ、10年早いわい」 この後、二人はある人物に出会う事になる事を知らない。そして二人揃って病院送 りになり、その内橋本の方は更に精神治療が必要になる事は、別の話なのでここでは 触れないでおく。とにかく、二人とも楓の前から去って行った。 「どうしよう・・・」 何だか更に一層、途方にくれてしまった。こんな所で困る羽目になるとは想像して いなかった上に、さっそく変な体験をしてしまったのでパニクってしまった。 「お嬢ちゃん」 その時、救いの手、もとい声を掛けられる。 「は・・・い・・・」 さっきの事もあって更におずおずと慎重に振り返る。が、そこにいたのはさっきの ような変な男ではなく、至って平凡な格好をした中年の女性だった。 「何でしょうか?・・・」 ややホッとして表情を崩しかけたその瞬間に、女性が口を開いた。 「お嬢ちゃん、一人?。学校はどうしたの?」 顔は優しい笑みを繕っていたが、声は有無を言わさないような響きが籠っていた。 「え・・・?。あの・・・その・・・」 驚いて楓は何かを言いかけるが、さっさと畳み掛けられてしまう。 「駄目じゃない。ほら、一緒に来て」 そして、そのまま楓は、小学生と間違われた補導員のおばさんに連行されてしまっ た。いくら説明しても信じてもらえなかった。何よりそのオドオドした態度が怪しま れ、高校生に見られる事を拒まれていた原因のひとつとなった。容姿については、語 る必要もないだろう。 「貴方に・・・切ない夜を・・・」 電話連絡を受けた梓が迎えに来てくれるまでの時間(最後まで信じてもらえなかっ たのだ)、楓は交番で親切な巡査に勧められたお茶を落した涙の粒と一緒にすすりつ つ、空を見上げながらどう事態が好転しても会えそうもない耕一を思い、小さく呟い ていた。自分の方がよっぽど切ないのに・・・健気ではあった。 「・・・・・」 帰る列車の車内で楓はずっと頬杖をついたまま、窓から遠く離れて行った空を見つ めていた。遥か向こう、下の街には耕一がいる、あの空を。 「れ、冷凍蜜柑でも食うか?。ほら・・・」 そして隣では、落ち込んでいる楓を元気付けようとしてくれるのか、梓が頻りに声 をかけていた。どうやら、彼女にはこの妹を想像以上不敏に思ってしまったらしい。 「・・・ありがとう。梓お姉ちゃん・・・」 別に欲しくもなかったが、これ以上梓に気を遣わせるのも悪いと思い、表面につい た氷が半分解けかかった状態の蜜柑を梓から受け取り、爪で皮を剥く。 「新幹線じゃ何だけど・・・久々野の奴も列車で長旅する時の必需品だって言ってた しさあ・・・この溶けかけが最高に美味しいんだよな。特に夏だと最高!」 梓は自分も皮を剥いて袋に捨てながら、笑顔を作って話し続ける。梓は、帰った後 に、真実を知らされていなかった千鶴と初音への説明が待っているのを分かっていた ので必要以上に優しくしていたのだった。初音はともかく、千鶴への説明が・・・だ から梓は会えず終いだった楓に深く同情していた。 もう二度と、平日に遠出はしない・・・。 楓は人知れず、心に誓っていた。 <完> −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「御免。無理あり過ぎ」「・・・・・」(楓) 「(慣れたので無視)果たして初音編は出るのか!?。下品過ぎて発禁(発表禁止)にな った響子編の扱いはどうなる!?。次回作のアテも何一つ無いぞ。駄目なら初心に戻 って梓と遊ぶのか。THネタは書けないのか。私生活が急転回の久々野。次回を・・ ・・・・・・・・・・・・待ってね、テヘ」 ブスッ 「楓ぇぇぇぇぇぇっー!!」