『Make over』 投稿者:久々野 彰

「どうも、最近姉妹揃って出番の少ない柏木梓です」
「そろそろ、幸せにすると言う約束を果たさねばなるまい」
「いいよ、別に。アンタからなんてハナから期待してないから」
「そうつれなく言うなよ・・・」

 梓SSは、統計をとると、悲劇物の方が圧倒的に多い。これが、私の最初に思った
事である。その中では千鶴と耕一の復讐を目指すパターンが多い。他でもどうも立場
が宜しくない。元々の悲劇性は楓の方が強いのだが、どうもその反動か「楓を幸せに
」っぽい雰囲気が漂う。そうなるとシナリオでも結構悲惨なパターンを離れない梓が
、どうして負の方向に傾くのだろうか?。勿論、幸せな方向のSSもある。だが、優
れている作品も結構読んだのに、すっきりしない。これは何故なんだろう・・・。
 しっかりしてそうでどこか抜けている姉を支える梓、芯は強いのにどことなく頼り
気のない妹たちを護る梓、じゃあ梓、君は?。君自身は、どうなんだい?。
 どうしても主役をはれない、中途半端な位置に立たされている柏木梓。

 そんな彼女へ、贈りたいSS。書きたかった気持ちを・・・。
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 ・・・何故こんな事、気付かないでいたの
 ・・・捜し続けた愛がここにあるの
 ・・・木漏れ日が ライスシャワーの様に
 ・・・手を繋ぐ二人の上に降り注いでる


 柏木家の下駄箱の奥に古ぼけた靴がしまい込まれている。
 子供の靴。
 何てことはない、どこにでもある平凡な靴である。

「でも・・・さ・・・」

 これが私とアイツの最初のカタチとなった絆・・・。

 詰まらないきっかけ。
 でも、大切な思い出。
 大事な思い出・・・


 ・・・貴方を信じてる
 ・・・瞳を見上げてる
 ・・・一人残されても
 ・・・貴方を想ってる


『Make over』


 冬休みも始まろうとしたこの時期に、俺のアパートに不意に梓がやって来た。
「来ちゃった・・・」
 ドアを開けて、目を白黒させていた俺に開口一番、梓が言う。
「「来ちゃった・・・」じゃねえよ。どういう風の吹き回しだよ・・・」
「別にいいじゃない」
「良くない」
「もう・・・」
 頬をプクッと膨らませて抗議の意を示す梓。
「な、何だよ・・・」
「え・・あ、ううん・・・その、いいじゃない。ね」
「あ、ああ・・・」
 
 …コイツ、こんな仕草をした事ってあったっけ・・・?

 少なくても自分の前では無かったと俺は記憶していた。妙な違和感を感じながらも
、この突然の来訪者を俺は受け入れていた。



 …もうすぐ・・・だよな。

 俺はその場に座ったまま、上がり込んで梓がショルダーバッグを部屋の隅に置いて
中を開いて何かを捜している様子を見ながら、フト、そんな事を考えていた。


「耕一・・・ちょっとは自炊しろよ」
「何だよ・・・いきなり」
「片手鍋が一つ・・・お湯を沸かすのにしか使ってないだろ」
 荷物を片付けて一区切りついてから、夕食を作るとエプロンをつけて台所に向かっ
た梓だったが、居間でTVを見てくつろいでいた俺に向かって呆れたような表情で、
鍋を掲げて見せた。
「そんな事はない。ラーメンを作るときとか、色々と重宝してるぞ」
「やれやれ・・・これじゃあ腕の奮いようが無いじゃねえか・・・」
「別に頼んでないぞ・・・」
「そういう態度とるか?・・・栄養が偏っているのを心配している可愛い従姉妹に向
かって」
「可愛いって・・・自分で言うなよ」
「良いじゃないのよ・・・たまにはさ・・・」
「ふうん・・・」
 水を入れた鍋をコンロに置き、代わりに包丁で野菜を刻みはじめた梓を、俺は不思
議そうに見つめる。
「な、何だよ・・・ジロジロ見るなよ」
 そんな無遠慮な俺に、梓はちょっと恥ずかしそうに見る。
「オマエ・・・今日はどうしたんだよ?」
「え?。何が?」
「いつものオマエらしくないぞ。何かあったのか?」
「じゃあ、耕一はいつも私をどう思っているんだい?」
「ガサツで乱暴で不器用でマヌケ」
「もう一遍言ってみる勇気ある?」
「・・・いいや・・・ない」
 笑顔で包丁を突きつける梓に、俺は僅かに首を横に振る。
「・・・・・御免な・・・」
 フッと、糸が切れたように梓が息を吐いて包丁を引く。何だか、寂しそうな表情を
していた。
「ちょっとつまんない事しちゃってさ・・・逃げてきたんだ」
「嘘・・・だろ」
「え・・・?」
「だってお前・・・涙、出てるぞ」
 梓は俺の言葉に慌てて自分の目尻を触ってみる。その衝撃で溜まってた涙が頬を伝
って、刻んでいたキャベツの上にひとしずくだけ、落ちた。

・
・
・

「センパイッ!!」
 陸上部の練習が終わり、それぞれが後片づけをし終わった後、梓の元に後輩の日吉
かおりがやってきた。
「あ・・・かおり・・・」
 ちょっと意外そうにかおりを見る梓。いつもなら遠慮なくベタベタとくっついてき
て、部活が終わると同時にスポーツタオルを持って駆けつけてくるのに、今日はここ
までかおりの存在を意識することがなかった。てっきり休んだとばかり梓は思ってい
た。
「先輩・・・時間、頂けますか?」
 神妙な面持ちで、梓を見上げるかおり。いつもと様子が違う・・・。
「あ、ああ・・・少しぐらいなら・・・いいけど・・・」
「じゃ、じゃあ・・・先に校舎裏で待ってます。着替え終わったら来て下さいっ!」
 そう言うと、かおりは梓の返事も聞かずに走って校舎に入っていってしまった。
「梓・・・いよいよ・・・ね」
 その様子を見ていたのだろう、部員の一人が梓に意味ありげな笑みを浮かべながら
近寄ってくる。本来、梓達3年生は実質的に部活動に参加する必要はないのだが、部
の伝統として、後輩達の指導、手伝いなどを含めて、今でも一緒にトレーニングをし
ていた。
「な、何よ・・・「いよいよ」って・・・」
「時期を考えれば分かるじゃない。私たちはもう暫くしたら卒業・・・お別れする前
に・・・」

 …本当は分かってた・・・ただ、恐れていただけの事なのだ・・・


「あの・・・先輩。聞いて下さい」
 校舎裏で待ち続けていたかおりは、梓がやってきてすぐに言った。
「梓先輩・・・好きです。この気持ち、いい加減じゃありません。他の人からどう思
われてもいい。例え梓先輩から嫌われても構わない・・・私・・・わたし・・・」
 それまで決意の色をありありと見せて、毅然とした態度で告白を始めたかおりだっ
たが、そこまで言うとだんだんと耐えきれなくなったのか、顔が歪んで俯き加減にな
る。
「・・・・・」
「私・・・梓先輩が好きです。誰よりも・・・一番、好きです」
 梓がちょっと躊躇していると、再びかおりは顔を上げて、目にいっぱいの涙を溜め
ながらも、きっぱりと言い切った。彼女の本心・・・心からの告白だった。

・
・
・

「私ね・・・卑怯なんだ・・・」
 部屋の片隅に佇むようにして立っていた梓はそうポツリと呟いた。
「言えなかった・・・好きとも、嫌いとも・・・」
 後ろを向いているので、こちらからは顔を見ることは出来ないが、声が震えている
のだけは聞いていて分かった。
「それで・・・いい加減な返事をしたら、ただ先送りにするだけの答えじゃ・・・余
計にかおりを苦しませる時間が増えるだけなのに・・・それが分かっていたのに・・
・言えなかった。かおりは決心して言ってくれたのに・・・私はそれに応えられなか
った。目の前で悲しまれるのが嫌なだけで・・・彼女の事なんて何にも考えてないで
・・・」
「梓・・・」
 俺がゆっくりと近付いてきて梓の肩に手を置こうとする。
「駄目っ!!」
 拒絶する梓。
「これ以上・・・私・・・狡い奴になりたくないから・・・」
「梓・・・」
「本当に・・・勝手ばかり言って・・・御免」
「・・・・・」
「でも・・・でも・・・どうしたらいいか分からなくて・・・目先の事から逃げるこ
とばかり考えていたら・・・訳分からなくなって・・・そしたら急に耕一の顔、見た
くなって・・・そしてら・・・もう・・・」
「・・・・・」

 俺は何と声をかけたらいいのだろう・・・。


 …子供の頃、弟だとばかり思っていた梓・・・でも、本当は・・・誰よりも・・・
近寄り難かった千鶴さん、妹としか認識しなかった楓ちゃんに、初音ちゃん・・・誰
よりも俺に近かった梓。梓が、最初に意識した、異性・・・。


「言ってよ・・・耕一、責めてよ・・・耕一・・・切羽詰まったから、急に縋ろう何
て考えているアタシをさぁ・・・お願い・・・」

 …どうして、ここまでお前が苦しむ必要がある?

「狡いのは分かってる・・・卑怯なのも、自覚してる。でも・・・でも・・・」

 …どうしてそこまで追いつめられる?

 俺はたまらなくなって、自分でも気付かない内に、梓の身体を抱きしめていた。
「梓・・・」
「こ、耕一・・・」
「梓・・・お前の考え、誰も責めたりなんか・・・しないよ。お前の気持ち、矛盾し
ているかもしれない。でも・・・誰もが矛盾してる。誰もが我が儘で、エゴの固まり
で、自分のことばかり考えてる。それが・・・当たり前じゃないか」
 ビクと梓の身体が震える。俺は、それに気にせずに続けた。
「確かに開き直る事は良くないかも知れない・・・でも、自分を無闇に責めるだけで
は・・・何にもならない。そこからは何も生まれない・・・」
 抱きしめる腕に、やや力が籠もる。
「正直、俺を頼ってくれるのが・・・俺は嬉しい」

 …本当は・・・。

「でも・・・それは・・・」
「お前はそれが慰めて欲しい故の打算だと言う。その醜さが嫌だとも言う。でも・・
・俺は・・・」

 …俺が・・・。

 そこまで言ったとき、急に梓が叫んだ。何か、恐れていたことが起きたように。

「や・・・止めてっ!!」
 弾かれたように、俺の手の中から抜け出す。
「御免・・・分かってたけど・・・御免・・・アタシ・・・やっぱり・・・こんな私
、嫌だ・・・あんまりにも・・・あんまりにも・・・甘えすぎだ・・・わかってたく
せに・・・耕一がそう言ってくれる事を期待して・・・卑怯だよ・・・あまりにも狡
すぎるよ・・・」
 やや呆然とする俺に、梓は続ける。
「本当に・・・御免っ!!。こんな自分・・・許せない・・・アタシ自身が許せない
・・・」

 そう言って、梓は両目から流れる涙を拭いもせず、
「やっぱり・・・帰る。御免・・・本当に御免っ!!」
 ショルダーバッグを手早く担ぐと、ドアを開けて表へと飛び出していった。
「梓っ!!」
 俺は反応が、遅れた・・・が、すぐに追った。


 …アイツは昔から・・・気を使いすぎなんだ・・・。


 昔から、人のことばかり、気を使ってきた。それが次女の役目なのだろうか。


 明らかに誰かの助けが必要な姉――
 急に目に見えて鬱ぎ込んでしまった妹――
 純粋すぎる程慕って見せた妹――


 彼女らを押しのけて、どうして自分を押し出せようか。梓は我慢してきたんだ。皆
の事を思って、自分を殺して・・・。

 …皆が、そんなアイツに甘えていたんだ・・・。


「やっぱり・・・いない・・・か」
 物語のお約束を信じて近くの公園に行ってみたが、やはり居なかった。近所を隈無
く調べ回るべく、走り続けた。途中、戻ってきてやしないかと期待して、部屋に戻っ
たが居なかった。

 …何処にいる・・・どこにいるんだよ・・・梓・・・。

 …本当は・・・本当は・・・悪いのは・・・責められるのは俺だ・・・。

 ずっとその間、俺は自分を責め続けていた。俺は・・・俺は・・・。

 …俺は・・・どうしたいんだ?。

 ここまできて、迷ってる。あそこまで追いつめられている梓を見て、胸が苦しくな
ったのは事実だ。だが、そこからどうしていいのか分からない。

 …簡単な事だっていうのに・・・。

 その一歩が踏み出せない。アイツが素直になれなかったのと同じく、こっちも素直
になれない。そして、アイツとは違って、俺自身、自分の気持ちがはっきりと分かっ
ていない。本当は・・・・本当は・・・分かっているくせに。

 …今の関係を崩したくない?・・・違うな。

 臆病なんだ。きっと・・・動くことに・・・紛れもなく何か変わるのが・・・どう
しようもなく、怖い。


 …俺は・・・・。


 ・・・見つけた。夜行バスの停留所に・・・並んでいる梓の姿を。


「梓ぁ――――っ!!」

 思わず、叫んでいた。俺の声に、梓は列を離れる。丁度、バスが来る。恐らくギリ
ギリまで余所に潜んでいたのだろう。間一髪・・・。

「梓ぁ――――っ!!」

 逃げる梓を追う。まるで刑事物のドラマみたいだ。だが、そんな馬鹿なことを考え
られる程、俺には余裕がなかった。アイツは陸上部、俺は運動不足の上にここまで殆
ど休んでいない。男女の差を差し引いたところで、ハンデがあり過ぎた。


 ・・・呆気なく、見失った。


 俺は、アイツの姿を完全に見失った。この細かい住宅街の入り組んだ路地。見つけ
る事は・・・この暗い状況では・・・難しかった。

「梓・・・俺・・・」

 情けなかった。もし、ドラマだとしたら、間違いなく逃げる女性の手を捕まえて言
う事が出来ただろう。だが、俺は梓を捕まえる事が出来なかった。

 …俺は・・・何をしていたんだ・・・。

 今まで、今まで十分に捕まえるチャンスはあった筈だ。むしろ、捕まえてくれる事
を望んでいたのではないか。待っていてくれたのではないか。不器用ながら、周りに
気を使いながら出し続けてくれていたサインに、俺は気付いてやれずに、ただ安穏と
自分の事だけを考えていたのではないか。

 情けなかった。
 涙が・・・出た。

 …どうして・・・どうして・・・。

 もう二度と帰ってこない・・・そんな気がする。あれが、ラストチャンスだったの
か・・・二度と、俺のことを想ってくれる梓に・・・。

 …甘えていたのは・・・俺なんだよ・・・。

 その場から、動けない。足が凍り付いたように、動かない。

「梓・・・俺・・・」
 自然に、言葉が出た。今更、何を押さえると言うのだ。追いつけなくても、吐き出
したかった。例えそれが、取り返しのつかなくなった後での、繰り言だとしても。


「梓・・・愛してる・・・俺・・・愛してる・・・」


 ・・・言いたかった気持ち。本当の気持ち。伝えたかった・・・気持ち。



「嘘つき・・・」

 言葉が、かえってくる。

「!?・・・あ・・・あ・・・」
 隣の4階建てのアパートの階段の影から、ゆっくりと・・・梓が出てきた。
「梓・・・」
「嘘つき・・・嘘つき嘘つき嘘つきっ!!」
 たまらなくなったのか、感情を一気に爆発して叫び出す。子供みたいに泣きじゃく
る梓。
「・・・」
 俺は、硬直する。だが、それは・・・。
「何が・・・愛してる・・・よ・・・馬鹿・・・嘘つき・・・」
「・・・俺は本気で・・・」
 そう言いかけると、梓は目を閉じて両手で耳を覆うようにする。
「止めろよっ!!」
 悲痛な叫び。求めてくせに、恐れていたこと。矛盾した想い。彼女の気持ち。

 …こんなにも苦しんで、こんなにも・・・。

「聞きたくない・・・聞きたくなんだってば・・・そんな・・・」
 だが、ここで引き下がったら、何のためにここまで追って来たのか分からない。俺
は、無理矢理にでも、目を閉じて両耳を押さえる彼女の腕を取る。
「や・・・」
 目に涙を溜めて俺を見つめている。こんな俺を・・・。
「や・・・」
 かすかに首を横に振る。いや、軽く揺れたぐらいでしかなかった。それぐらいにし
か、動かない。いや、動けない。
「・・・・・」
 そこには怯える顔しかない。追いつめられてまで、護っていたものが瓦解する事へ
の言いようのない恐怖。

「俺は本気だ・・・今までも、これからも・・・」
 ガクガクと震える彼女の身体を抱きしめる。震えがこっちにまで伝わったくる。

「駄目だよ・・・駄目・・・だって・・・だって私・・・」
 あくまでおびえている彼女の唇を俺の唇で塞ぐ。安心させてやったつもりではない
が、これ以上話させるのも、酷だと思ったから。傲慢かも知れないが。


 彼女の肩に掛かっていた、バッグがドサリと落ちた。


・
・
・

 俺は梓のバッグか代わりに担ぎながら、隣を俯きながら歩く梓に聞く。
「今日、どうするつもりだったんだ?」
「・・・・・」
「千鶴さん達に、連絡は入れたのか?」
「・・・・・」
「せめて、それくらいしておけよ。皆、心配するぞ」
「・・・うん・・・」
「そしたら、今日は、泊まっていけ」
「・・・うん」
 梓は素直に、頷いた。



「あ・・・」
 両手で身体を包み込むようにした俺の胸に、頭をつけて寄りかかってくる。乗せた
頭から、梓の身体の重みと、暖かさが伝わってくるように感じた。
「何だか・・・こうしてると、安心する・・・」
 梓は目を閉じて、俺に全てを預けていた。
「御免な・・・」
 もう一度だけ、謝る俺。
「もう・・・いいって・・・」
 微かに首を横に振り、求めるように唇を突き出す。
「梓・・・好きだ・・・」
 その求めに応じ、唇を重ねる。
「あ・・・ん・・・うん・・・」
 長い、口づけ。
 二人の唾液が混じり合い、溶け込んでいく・・・。

・
・
・

 さして広くない部屋の中央に敷かれた布団の中で、梓は俺に訊ねる。
「なぁ、耕一・・・あの水門で落とした靴の事、ちゃんと覚えているか・・・?」
「ずっと忘れてた・・・いや、意識して記憶の隅に追いやっていたんだろうな、きっ
と・・・」
「そう・・・」
「でも、今は違うんだ・・・色んな事を、思い出す・・・」
「・・・・・」
「あの時があったから・・・俺は、制御できたんだろうな・・・きっと・・・」
「あの時・・・・」
「ん?」
「あの時、私ね・・・」
「ああ」
 俺は、梓が何を言い出すのか分かったが、黙って聞いていたい。そして、その後に
俺が今度は話す番だ。

 …大分遅れたから、これからは少し駆け足になってみようか・・・。

 そんな事を苦笑しながら思いつつ、俺は静かに梓の言葉を待った。


 ・・・貴方を信じてる 貴方を愛してる
 ・・・心が透き通る 今日の日が記念日

 ・・・明日を信じてる 貴方が側にいる
 ・・・ありふれた朝でも 私には記念日

                           <完>
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ・・・書けなかった(前書きより)。一部分しか描ききれていない。私では力不足の
ようだ・・・。まず、タイトルが思いつかなかった。西山英志様のようなものをつけ
たかったのに・・・。それとHシーンが照れが入って書けなかった。別に不必要な物
ならいいのだが、どうしても構成上、必要なシーンだったのに(泣)。そのせいで前後
まで削らねばならなかった。完成版ではと言いたいが、前科があるので完成する保証
は限りなく低い。そして・・・ラスト部分が今回も課題となってしまった。全体的に
も気持ちばかりが先走って・・・・表現不足が否めない。科白で誤魔化してる。
 でも・・・それでも・・・出したかった。もっと優れている作品もあるでしょうし
、しっかり描けているものもあるでしょう。でも・・・これだけは・・・。

「私は、梓が好きです」


「で・・・ここからは普段に戻ります」
「今回は私と・・・」(綾香)
「あ、初めまして。松原葵です」(葵)
「最近葵に目を向けなくなってしまったと言われている・・・それは誤解だと思った
けど、まぁ、そういう訳で連れてきたのさ」
「ど・・・どうも・・・」(葵)
「で、今更何が言いたい訳?。本当ならこれはもっと練り上げて、先に私のシリアス
でも出す予定だったんじゃなかったっけ?」(綾香)
「・・・まぁ、それはおいといて」
「おいといていいんですか?」(葵)
「この話で使った曲・・・実は昔にカセットで録ったものなんで、正確な歌詞と曲名
を覚えていないんです」
「松任○由美の曲なのは間違いないんだけどね・・・」(綾香)
「フーミンさんですね」(葵)
「お約束のボケをありがとう。でも、今、彼女をそう呼ぶ人はいるのか?。しかも出
番自体減ってるし・・・」
「話が逸れてる・・・」(綾香)
「あ、で、もし曲名を覚えている人がいたら教えて下さい。この曲がこの作品での梓
のイメージソングなんで・・・出来ればタイトルもそれに倣ったものを付けたかった
りします」
「聴きながら歌詞を書き上げていきましたら、意外と短い曲なんですね」(葵)
「そうだね。後書きが長くなりすぎたんで、今回はこれまで」
「じゃあね」(綾香)「はい」(葵)・・・「私を出せぇ〜(泣)」(好恵)