『痕メモリアル 〜もみの木は残った〜』 投稿者:久々野 彰
 ――初めてだけどあらすじ――
 耕一は自分の中から暴れだそうとする鬼、凶行を続けていく自分を止められないで
いた柳川、それぞれの問題を柏木4姉妹の協力の元、無事に解決する事が出来た。

 そして事件解決からしばらく経ったある日、そろそろそれぞれの心が落ち着き、事
件から離れて普段通りの生活が始まっていたが、耕一は一本の電話を受ける。
「遊びに来ませんか?」
 その千鶴さんの電話の内容を簡単に言うと、そういう主旨のものだった。

 一人暮らしに戻り、家族のいない寂しさを改めて実感させられていた耕一は喜んで
彼女らの元にやって来た。そこからの日付で始まった恋愛シミュレーションゲーム。
耕一はHゲームの主人公の王道として優柔不断、最多同時攻略パターンを突っ走り、
4人それぞれのパラメータもしっかりと確保してきた。だが、そんな耕一に・・・。


 恋愛シミュレーションゲーム『痕メモリアル  〜もみの木は残った〜』

 いよいよ滞在最終日の2日前の土曜日の昼、耕一は梓に誘われて近くの公園に来て
いた。梓はブランコに座り、耕一はその周囲の囲いに寄り掛かるように座っていた。
 突然の失踪から二人で見つけ出した楓の話。昨日の夜に起こした千鶴の事件の話。
そして、懐かしい思い出話・・・色々、とめどなく話していた。

 そして、会話の穂が途切れて、暫くお互いに押し黙った後・・・梓はやや思い詰め
た様な顔をして、耕一を見た。耕一もそんな梓の表情を見て、緊張する。

「な、なあ・・・耕一」
「な、何だ・・・?」
 梓は座っていたブランコから立ち上がり、こっちを見る。俺は切なそうにしている
梓を初めて見たような気がした。
 …コイツも・・・女だったんだなぁ・・・。
{勿論、ここまでの段階でプレーヤーはとっくに相手の気持ちに気付いているのに、
主人公は気付いていないお約束の部分である。}
 梓の髪を寒くなって来た風が、吹き付けていた。緊張が走る。
「なあ、耕一。耕一は・・・誰が好きなんだ?」
「え?」


 −−−−選択肢−−−−

 0、システム上、複数攻略時の優先順位が決定している場合(Jiro様)
 1、「俺・・・・・梓が好きなんだ」(SGY{現・Fool}様)
 2、「俺・・・・・千鶴さんが好きなんだ」(久々野)
 3、「俺・・・・・楓ちゃんが好きなんだ」(久々野)
 4、「俺・・・・・初音ちゃんが好きなんだ」(久々野)
 5、「いや・・・特に、誰も・・・・・」(久々野)
 6、「俺、梓も、千鶴さんも、楓ちゃんも、初音ちゃんも、皆好きだよ・・・」
    (久々野)
 7、「俺、実はかおりちゃんがいいなって・・・」(久々野)
 8、「俺、響子さんの事が気になってるんだ・・・」(久々野)
 9、「俺・・・・・実は東京に彼女がいて・・・」(久々野)
 10、「なんだよ、好きだって言って貰いたいのか(冗談っぽく)」(Fool様)
 11、「何それ?。食いもん?」(久々野)
 12、「誰を選ぶかなんて・・・俺には出来ないっ!!」(西山英志様)
 13、「実はマルチ、買っちゃったんだ」(久々野)
 14、「梓、2号で我慢してくれるか?」(久々野)
 15、「何だ、俺の事、好きなのか?。なら、犯ろう。今、ここで」(久々野)
 16、「俺・・・・・・・実はレッドブラッツなんだ(せっかくなんでコ○ミコマン
   ドを入力(上上下下左右左右BA))(あや駄洒落次郎(梓連盟)様)
 X、「俺……取っちまったんだ(トゥルーエンド後に追加された選択肢)」(Rune様)

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選択肢0の場合

 ・・・・数瞬の沈黙。
(一体何をやっているんだ、俺は!!女の子にこんな事を言わせてしまうなんて・・・)
「梓!!」
 俺は勢い良く立ち上がると、ちょっとびっくりした様子の梓の肩に手を置き、言っ
た。
「あっ、お兄ちゃ〜ん!何してんの〜っ!」
 ・・・失礼。まさに言おうとしたその瞬間だった。初音ちゃんが公園の外から声を
かけてきたのは。慌てて離れ、そっぽを向く2人。
「・・・あっ、梓お姉ちゃんも。何してたの?一緒に帰ろ」
 あぁ、無垢な笑顔って恐いねぇ。梓の方はと見てみると。あ〜あ、真っ赤な顔しち
ゃって。
「よしっ!初音、家まで競争ね!耕一、これお願いね」
 言うが早いか、俺に買い物袋押し付けて走っていっちまった。あいつなりの照れ隠
しか。
「ああっ、お姉ちゃん待って〜!!」
 初音ちゃんが慌てて追いかけるのを、俺は楽しそうに眺めていた。あの瞬間、初音
ちゃんが来なかったら・・・・・・・・・。
          *     *     *
 夕食後。明日帰ることに決めていた俺は一人、部屋で荷物を片づけていた。名残惜
しいものはあるが、これ以上は単位にも影響が出てしまう。もちろん、みんなの反対
もあった。しかし、それを黙らせたのは千鶴さんだった。優しい、それでいて寂しげ
な笑顔。・・・おっと、手が止まってしまった。何をやってるんだ、俺は?
 その感情が何だったのか気付いたのは、洗濯物を持ってきてくれた千鶴さんを見た
時だった・・・。
(以下、千鶴ENDへ)

 HAPPY END

選択肢1の場合

「俺・・・・・梓が好きなんだ」
「・・・耕一・・・信じていいんだね・・・」
「ああ、誰よりもお前の事が好きだよ・・・梓」
 俺を見ている梓の瞳が震える。目尻から一滴の雫がこぼれた。
「耕一ッ!」
 梓が俺の胸に飛び込んできた。そして、俺の体を力一杯抱きしめる。
 
 バキッ! ボキッ! ゴキッ!
 
 骨の折れる嫌な音がした。
 俺は梓に抱かれたまま悶絶した。
「あっ! ゴ、ゴメン・・・嬉しくって、つい力が入っちゃった」
「ぜ、前言撤回・・・」

 BAD END

選択肢2の場合

「俺・・・・・千鶴さんが好きなんだ」

  ピュウウゥゥゥ

 冷たい風が二人の足下を通り抜けていく。
「そう・・・か・・・」
 暫くの沈黙の後、梓がゆっくりと口を開いた。
「・・・・・」
「ははは・・・そうだよな。耕一には千鶴姉が似合ってるよ」
 笑っている筈の梓だが、気のせいか声にハリがない。
「梓・・・」
「耕一。千鶴姉を・・・任せるよ」
 キッパリとそう言い切る梓。涙など見せなかった。

「あ・・・」
「ええ、それでは・・・」
 俺が力強くそれに応じようと頷きかけると、再び梓が今度はガラリと口調を変えて
喋りだした。
「さて、胸無い、若く無い、家事出来無いと三拍子揃った柏木千鶴!。その気になる
お値段は・・・」
「え"・・・」
 急に啖呵売を始めた梓に俺は戸惑う。
「今ならキャンペーンの真っ最中なんで、お手軽サイズで犯罪者の気分が味わえる妹
の初音をオマケに付けて・・・税込み9800円!。9800円のご奉仕価格!!」
「か、金・・・取るの?」
 そう言いかける俺に、梓はチラシを手渡す。それを見て息を飲む俺。
「送料は別途で、返品は開封する前だけだからね」
「あ、いや・・・その・・・」
「いやぁ、助かった助かった・・・これでこっちの肩の荷も降りたってものよ・・・
頼んだわよ、耕一」
 ポンと俺の肩を叩く梓に、涙目を向けた。だが、梓は意に介した様子もなく、俺に
背を向けて公園を後にした・・・。


 その後、量産型千鶴が包装されて俺のアパートに発送されて来た・・・。

 HAPPY END

選択肢3の場合

「俺・・・・・楓ちゃんが好きなんだ」
 そうなのだ。俺は、楓ちゃんが好きなのだ。
「・・・・・」
 無言で俺を見つめる梓。4日前のイベントの出来事を思い出す。なかなか固定イベ
ント以外で会えない楓を攻略するには、その日までに18回以上出会うのが最低条件と
して必要だった。そして、だんだんと落ち込んでいくのが分かる彼女を選択肢で間違
えないように、慎重に励まし落ち着かせていった。
 そして4日前、楓は失踪した。耐えきれなくなったのだ。俺は自分で探す、千鶴さ
んと探す、初音ちゃんと探す、ではなく、梓と探すを選んだ。理由はこれしか全員攻
略が可能にならないからだ。千鶴さんとだと見つける事が出来ない。初音ちゃんだと
楓攻略は不可になり、自分一人だと梓攻略が不可になる。だからなのだ。
「そう・・・か、そうだよな・・・耕一・・・」
 梓は自分の思いを無理矢理しまい込むような苦しそうな顔をして、
「楓は・・・一見弱そうで、芯のしっかりした強い奴だ・・・でも、お前の事になる
と・・・こないだのような事をしてしまう・・・その・・・なんだ・・・だから」
「分かってるよ・・・梓」
「そ、そうだよな・・・わ、悪い・・・楓を・・・」
「分かってるって・・・」
 力強く頷いた俺に、梓はやっと安心したようは顔をして、鎖を手渡した。
「トイレの躾はちゃんとしてるし・・・血統書もある」
「任せろ・・・きっとトップブリーダーとして帰ってくるから・・・」
 俺は予め買っておいた真新しい首輪を梓に見せる。
「コマーシャルに出ろよ・・・」
「ああ・・・お前も、いい猫、育てろよ」
 俺達は固い握手をした。生産者側と、オーナーとの熱い友情が育まれたのだった。

 HAPPY END

選択肢4の場合

「俺・・・・・初音ちゃんが好きなんだ」
 高らかに宣言する俺。その時、
「お兄ちゃんっ!!」
 背後から初音が現れる。聞いていたのだろう、目が潤んでいた。
「初音・・・ちゃん・・・」
「お兄ちゃん・・・今の・・・言葉・・・」
「ああ・・・本当だよ」
 俺は一応、初音ちゃんが悪い子でないかを確認した上で、笑顔を見せて両手を広げ
て飛び込んでくる初音ちゃんを優しく抱きしめる。
「大大大大大好きぃぃぃぃぃぃぃ――――――――――っ!!!!!!!!!!!」
「ははは・・・」
「初音・・・耕一・・・」
 その時、幸せな二人の後ろで梓がボソッと呼び掛ける。やや、目が虚ろだ。
「梓・・・」
「梓お姉ちゃん・・・」
「初音・・・良かったな。耕一、初音を頼む・・・」
 何故か、彼女の手にはトカレフが握られていた。
「お、おいっ!!。梓!?」
「柏木家の鉄の掟・・・「愛情度75%以上、これで振られた者に生きる資格無し」つ
まり・・・あたしが生きる理由もない・・・」
「梓っ!?。早まるなっ!!」
「梓お姉ちゃんっ!!。止めてっ!!」
「二人とも・・・幸せになるんだぞ・・・」
 左手でこめかみに銃を当て、寂しく微笑む梓。


 一方、柏木家の風呂場で浴槽に俯せになって楓が浮いている。居間では壁に寄りか
かるように千鶴が座り込んで動かない。二人とも、耳に盗聴器のイアホンが差し込ん
であった。


「あ・・・ず・・・さ・・・」
「お、お姉ちゃん・・・」
 二人の目の前で梓は俯せになって倒れていた。銃口から煙を噴く銃を持つ手が震え
ていた。


 ・・・数年後

「その後、色々あったけど・・・幸せだな、初音」
「うん・・・」
 俺は初音と結婚、財産も独り占め、大層幸せな生活を送っている。初音は何故か知
らないが、催眠術の才能に目覚めたとかで、通信教育で講師を務めている。
 だが、時々思うことがある・・・俺は初音ちゃんの事が好きだったのだろうか?。

 でも、数日もするととても愛おしく感じる。何故だか感じる。だから、幸せだ・・・。

 HAPPY END

選択肢5の場合

「いや・・・特に、誰も・・・・・」
 俺はそう戸惑ったように答えると、
「誰もって・・・耕一、ホモなのか?」
 ビクッと、身を引き気味にする梓。何故、そうなる。
「どうしてそういう発想に直結するん・・・」
「やっぱり!!」
 俺がやれやれといった感じで抗弁しようとした瞬間、近くの茂みから叫び声が聞こ
えてくる。
「ち・・・千鶴さん!?。楓ちゃんに・・・初音ちゃんも!?」
 驚愕の表情をした千鶴を筆頭にわらわらと茂みから現れ、二人の元に来る三人。そ
れぞれ頭に木の枝をくくりつけていた鉢巻をつけて。
「な、どう・・して・・・」
「やっぱり、ホモだったんですねぇっっっっっっっ!?」
「違うわぁぁぁぁっ!!!!!!!」
「だって、だって・・・ねえ」
 千鶴が後ろを振り向くと、
「私のこの胸にときめかないなんて・・・」
「前世の結びつきを忘れるなんて・・・」
「ロリに興味ないなんて・・・」
 三姉妹がそれぞれ勝手な事をブツブツと言い、
「「「「やっぱりホモじゃん」」」」
 四人の声がハモる。

「違あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぅっっっっっ!!!!!!!!!!!」
 頭を抱えて否定するのだが、
「気、気にするなよ・・・耕一。これからも・・・友達でいようぜ」
「また・・・会いましょう」
「お兄ちゃんの事、嫌いになんかならないから」
「しくしくしく・・・これが運命なんですね・・・シクシクシク・・・」
「お前らぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!」
 誰も聞いてくれなかった。

 やっぱり一人に絞ればよかった・・・。

 BAD END

選択肢6の場合

「俺、梓も、千鶴さんも、楓ちゃんも、初音ちゃんも、皆好きだよ・・・」
 柔らかく包み込むように努めて優しい声色を使って梓に言うと、
「皆?」
 梓は眉をしかめる。
「そう、みんな・・・俺さ・・・」
「耕一」
 俺の言葉を遮るように梓が俺の名前を読んだ。冷たい声で。
「それって・・・恋愛対象に感じてないって事か?。それとも、ハーレム状態にでも
なりたいのか?」
「え"・・・?」
「私・・・耕一がそんないい加減な奴とは思わなかった」
「え"・・・」
「もういい。じゃあな・・・」
「え"・・・」
 公園に一人取り残される俺。
「な、なんで・・・」
 狙いは一人に絞ろう。次回への教訓だった。

  BAD  END

選択肢7の場合

「俺、実はかおりちゃんがいいなって・・・」
「かおり?・・・かおりって・・・まさか・・・」
 驚くのも無理はない。実は・・・滞在3日目に偶然彼女と出会い、それからイベン
トを次々とこなし、最初は反発していた彼女が、俺と口をきくようになる事二日、行
き違いから喧嘩になって再び無視状態が続く事一日半、金持ちの嫌みな青年に絡まれ
ていた所を追い払ってやってから急接近、初めは梓オンリーだった彼女の心を段々と
揺り動かして、「お礼に・・・デートしてあげるわよ」となったのが4日前、キスし
たのがその日の帰り道で"橋の下を散歩"を選択後、そしてチーマーを雇って復讐に来
た金持ちを撃退して、人気のないボート小屋で結ばれたのが遂、一昨日の夜の出来事
だったのだ。初耳だろう。だがそうだった。同時攻略で時間がキツかったが・・・。
「あ、ああ・・・その、何だ・・・」
 事の次第を言いにくそうに俺が説明しようとすると、
「いいんだ・・・」
 梓がそう言った。
「いいんだ・・・・」
 もう一度、今度は自分に言い聞かせるようにそう言うと、
「かおりを・・・幸せにしてやってくれ」
「・・・・・」
 涙を見せることなく、微笑みすら浮かべて梓はそう言うと、俺に背を向けて歩いて
いった。俺は、声をかける事は出来なかった・・・。
 御免な・・・梓・・・

「もしもし・・・かおりちゃん?」
 その日の夜、俺はかおりちゃんに電話を入れた・・・


 滞在最終日の翌日、帰りの駅のホームに荷物を持った俺はポツンと立っていた。
「やっぱり・・・来なかったか・・・」
 諦めて列車に乗ろうとしたその瞬間、

「耕一さぁぁぁぁ〜ん!!」
「かおりちゃん!!」
 ショルダーバッグを肩に担いで走ってくるかおりちゃんの姿が。

 〜〜エンディングテーマが流れ出す〜〜

「耕一さん・・・一緒に・・・いいですか?」
「勿論だよ、一緒に・・・暮らそう」
「耕一さん・・・好きっ!!」
 喜びの涙を浮かべて俺に抱きついてくる。その瞬間を画面一杯でCGが表示される
。そしてそのままスタッフロール・・・。
 誰も予期しなかったであろう、かおりとのハッピーエンディングだった。

「耕一さん・・・私、幸せです」
 ロールの最後に、数年後の俺と、かおりと、二人の子供が写った写真のCGが、メ
ッセージと共に表示される。勿論、それはアルバムモードに登録された。

 HAPPY END

選択肢8の場合

「俺、響子さんの事が気になってるんだ・・・」

「響子・・さん・・・て?」
 梓が俺の言葉を聞いた後、そう聞き返してきた。衝撃を受けた表情のまま。
「ほら、あの時、かおりちゃんと一緒に・・・」
 俺がそう言って色々と説明をする。そうすると梓は思い出したように、
「ああ・・・あの時の記者とか言う・・・」
「そうなんだ。どうもシンクロしてた時の思い出が忘れられなくて・・・」
「彼女、確かかおりとくっついたケド」
「はいぃぃぃぃ?」
 あっさりと言ってのけた梓の言葉に、顎が外れる俺。
「どうも、お互い中毒症状が引きずっていて・・・リハビリ中に愛が目覚めたとか何
とか言って・・・、耕一?。聞いてる?」
「んな、あほなぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」

 BAD END

選択肢9の場合

「俺・・・・・実は東京に彼女がいて・・・」
 そう俺が言い終わるや否や、
「この浮気者がぁ〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 秒殺・・・・・・・・。

 BAD END

選択肢10の場合

「なんだよ、好きだって言って貰いたいのか?」
 俺は冗談ぽく言った。
「なっ! ばっ、馬鹿! そっ、そんなんじゃ!」
 耳まで真っ赤にして慌てふためく梓。
(ほんと、こういうところはウブというかカワイイというか・・・)
 と、俺は心の中でほくそ笑んだ
「そりゃ、そりゃさ、わたしも耕一の事・・・嫌いじゃないし・・・だから、耕一の気持ち
も・・・その、ちょっとは気になるっていうか・・・」
 俯き、指をモジモジと絡めながら、聞き取れないような小さい声で梓が何か言って
いる。
 そんな梓を、俺はニヤニヤしながら見ていた。
 やがて、梓は俺のニヤけた視線に気付くと、
「うーーーーー・・・もういい!」
 と、俺に背を向けて走り去ろうとした。
「待てよ、梓」
 俺は梓の手を掴んだ。
「え? な、なに?・・・」
 ゆっくりと振り返える梓。
 戸惑いと、少しの期待を込めた眼差しで俺を見ながら、俺の次の言葉を待つ。
「好きだよ、梓」
 優しく微笑みながら、囁くように俺は言った。
「こういちぃ・・・」
 瞳を潤ませながら、梓が俺の胸に飛び込んできた。
「・・・嬉しい、とっても嬉しいよ・・・」
 震える声で言いながら、梓は俺の体を抱きしめる。
「梓・・・」
 俺は梓の頭を優しく撫でてやった。
「耕一・・・」
 梓が俺の顔を覗き込む。その目からは今にも涙がこぼれそうだ。
 頭を撫でていた手を頬に持ってくる。
 すっ、と梓は目を閉じ、少し背伸びをした。閉じた目から一滴の涙がこぼれる。
 俺はそれを指で拭ってやると、梓の唇に自分の唇を重ねた。
 そんな二人を包む風は、とても優しかった。

 HAPPY END

選択肢11の場合

「何それ?。食いもん?」
「・・・・・」

 ぴゅうぅぅぅぅぅ〜〜〜

 二人の間に冷たい風が吹く。

「耕一。突然訪れて、凄く恐いものって知ってるか?」
「ううん?」

 びゅうぅぅぅぅぅ〜〜〜

 立ち尽くす梓に冷たい風が吹く。
「さ・て・と・・・そろそろ、帰るか・・・」
 いつも通りの微笑みを見せながら、公園を後にする梓。だが、その頬には涙の雫が
残っていた。

 BAD END

選択肢12の場合

「誰を選ぶかなんて・・・俺には出来ないっ!!」

「そうか・・・・・、選べないのか・・・・・・」
 梓が、俯く。
 肩が、震えている。
 泣いている、のだろうか?
「・・・・・・・・なら、こちらから、選ばないとな・・・・・・」
 にいっ、
 梓の口元に、笑みが浮かぶ。
「・・・・・・・・へっ?」
 俺の背筋に、悪寒が音速の速さで駆け巡る。
 その時。
 俺の後ろに、三つの影が現れた。
 さっきまで、気配は一切感じることは、出来なかった。
 エルクゥの力を持っている、俺の超感覚をもってしてもだ。
 かなりの、使い手だ。
 ごくり。
 唾を飲み込み、俺はおそるおそる、振り返る。
 その影は俺の良く知った、人であった。
「ち、千鶴さん・・・・・、それに、楓ちゃんに初音ちゃんまで・・・・・」
 俺の目の前には、三人が少々思い詰めた顔をして立っていた。
「耕一さん・・・・・・・、選べなかったんですね・・・・・・」
 哀しそうな顔をした、千鶴さんが言う。
「こうなっては仕方がありません、耕一さん・・・・、貴方を倒さなければいけません」
「・・・・・・・ええっっ!」
 どういう事だ?
 俺の頭の中は、混乱した。

「それでは、説明いたしましょう」
 と、その時ピンスポットライトを浴びて、一人の男が現れた。
 赤いスーツを着て、蝶ネクタイ、片目にはアイパッチをしている。
「・・・・・・長瀬さん?」
「・・・・・・・いえいえ、私は只の「ストーカー」ですよ」
「・・・・・・へ?」
 俺の言葉を無視して、長瀬さん・・・・・・じゃなくて、ストーカーが言葉を続ける。
「エルクゥの一族には、恋人を選ぶためには、その相手を倒して自分のモノにすると
いう神聖な儀式があるのです」
「・・・・・・・」
「人は・・・・・・、いえ、エルクゥ達はそれをこう言います、「エルクゥ・ファイト」と
!!」
「・・・・・・・・をい」
「さあ、本日の闘いは柏木耕一対四姉妹という、変則デスマッチです!!」
「もしもーし・・・・・」
「最初に柏木耕一を倒し、恋人に出来るのは一体誰なんでしょうかー!」
 ストーカーの言葉が、興奮してきている。
「それでは、皆さん!エルクゥ・ファイトおぉぉぉぉっっ!、レデイィィィッ!、G
O!!」
 ごきんっ。
 俺の回し蹴りがストーカーの後頭部に直撃して、ストーカーは地面にめり込んだ。

「・・・・・・・・と、言う訳なんです。」
 千鶴さんが、言う。
「・・・・・・なにが、と、言う訳ですかーー!」
 俺は、頭を抱える。
「でも、ウチの一族はそうやって、結婚相手を選んだんだよ」
「んな、無茶苦茶な・・・・・・」
 梓の言葉に、俺は軽い目眩を覚えた。
「・・・・・・・でも、お兄ちゃん、可哀想だよ・・・・・・」
 じーん。
 初音ちゃんの言葉に、俺の胸は感動に打ち震えた。
「・・・・・・・初音ちゃん・・・・・・」
「だめよ、初音」
 俺の言葉を千鶴さんが、遮る。
「千鶴お姉ちゃん・・・・・・」
「・・・・・・・貴女も、耕一さんのこと、好きなんでしょう?」
「・・・・・・・うんっ」
 初音ちゃんが恥じらいながら、頷く。
「なら、その拳で耕一さんに「想い」を伝えなさい、所詮エルクゥは拳と拳でしか、
語ることを知らない不器用な、一族・・・・・・・」
 おいおい。
「・・・・・・うんっ、わかった。私もお兄ちゃんにこの拳で、「想い」を伝えてみる!」
 あああああああああーっ、初音ちゃんまでぇぇぇぇっっ!
 も、もう、こうなったら・・・・・・。
「か、楓ちゃん・・・・・・」
 唯一の心の拠り所の楓ちゃんに、俺は顔を向ける。
 楓ちゃんは、俺の瞳を、じっ、と真っ直ぐに見つめていた。
「耕一さん・・・・・・・」
 楓ちゃんの口が開く。
「・・・・・・・な、なに?」
 ぞわり、
 俺の背筋に、「何か」が疾った。
「・・・・・・・・私の想い、伝えますから・・・・・・」
 そう言うと、楓ちゃんは、ぐっ、と俺の前に小さな拳を出した。
「・・・・・・・・・もう、好きにして・・・・・・」
 俺の髪は燃え尽きたかのように、真っ白になっていた。

「・・・・・・まあ、それじゃあ」
 と、梓。
「エルクゥ・ファイトおおぉぉぉっっ!」
 と、千鶴さん。
「レディィィッッッ!」
 これは、初音ちゃん。
「・・・・・・・・・GO」
 ボソリと、楓ちゃんの声を合図に、遂に決戦の火蓋は切って落とされた。
「なんで、こうなるんだああぁぁぁぁぁっっっ!!!」
 抜けるような、青空に俺の絶叫が、空しく響いた。

 BAD END

選択肢13の場合

「実はマルチ、買っちゃったんだ」
「はい?」
 意味が分からずに聞き返す梓。キョトンとしている。
「だーかーらぁー。俺はマルチを買っちゃったから、もう女はいらないの。分かるか
なあ?」
「な、何だよ、それ?」
「お前、知らないのか?。遅れているなあ・・・マルチってのはな、来栖川エレクト
ロニクスのメイドロボットで・・・」

 バッシーン!!

「な、なんで・・・」

 BAD END

選択肢14の場合

「梓、2号で我慢してくれるか?」
「え・・・?」
「だから、2号さんで我慢してくれるか?」
「・・・こ、耕一・・・誰か好きな人が別にいるのか?。それだったら・・・」
 そううつむいたまま言いかける梓に、
「いやあ。梓は2号でなくちゃ駄目だろう?。お約束として・・・」
「お、お約束?」
「ベタなんだから言わせるなよな。あずさ2・・・」

 バッシーン!!

「な、なんで・・・」

 BAD END

選択肢15の場合

「何だ、俺の事、好きなのか?。なら、犯ろう。今、ここで」
「え・・・?」
 突然の俺の言葉に戸惑う梓。
「動物は本能のままに生きるのが一番だよな、うん」
 そう言って俺はそそくさと服を脱ぎ出す。
「お、おいっ!?」
「ほら、とっととしないと冷えるぞ。さあ、暖めあおう!」
 俺は早くも全裸になると、そのまま梓に迫る。

 バッシーン!!

「な、なんで・・・」

 BAD END

選択肢16の場合(せっかくなんでコ○ミコマンドを入力(上上下下左右左右BA))

「俺・・・・・・・実はレッドブラッツなんだ」

「そうだにょ!」
 どこからともなく現れるアリエoタ。
「な、なんだぁ。おい耕一!この子は?」
「梓…、実は俺たちつきあってるんだ。悪りいな…」
「お前、何言ってるか分かってるのか!犯罪だぞ、それ!」

「そこまでにするにょ!」
 ジャングルジムの上でアルルさんが仁王立ちをしながら叫んだ。
「アリエoタを返してもらうにょ!、とう!」
 などとかけ声をかけてジャングルジムから飛び降りる。
 そこで、アリエoタが叫んだ。
「アルルお兄ちゃん、ごめんだにょ!」

 ぐしゃ…

 ここに、また一人の猛者が消えていった…

「めでたし、めでたし。さて、アリエoタちゃん一緒に帰ろうか?」
「今日の晩御飯は何がいいにょ?」
「…っておい、ちょっと待て!耕一、これはどう言うことなんだ!」
 一瞬、何が起こったか分からず意識の飛んでいた梓が訪ねてきた。

 だが、すでにアリエッタとふたりっきりの世界に入ってしまっている耕一は梓を無
視してそのまま去っていく。
「そうだなぁ。やっぱりカレーがいいなぁ。」
「分かったにょ。材料を買いに行くにょ!」

「一体、どう言うことなんだよ〜!!!」

 危険な世界の扉を開いてしまった耕一を呆然と見送りつつ、梓は一人、ずっと叫ん
でいた。

 HAPPY END

選択肢Xの場合(トゥルーエンド後に追加された選択肢)

「俺……取っちまったんだ」
 俯く俺。訝しげに眉を顰める梓。
「何を?」
「いや。その……だな。先週イギリスに行って来て……取っちまったんだ」
 だから何を、という未だ理解しきれていない梓の表情に、俺は決意した。
 ズボンをいきなり、ずり下ろす。
「な、な、な……」
 恥じらいも忘れて梓が食い入るように、その不在を凝視する。
 追い打ちをかけるように、俺の声。
「いやあ。何か、奴とシンクロしたときに響子さんが何か凄く羨ましくなって。凄い
乱れっぷりだったもんだから……」
 ガビーン。
 そんな擬音とともに、梓の時が停止する。
 夕焼けは何処までも紅い。平和をまさしく象徴するかのような公園の風景。
 影になった梓の顔の片側で、見開かれたままの瞳が、完全に死んだ魚となっている
のが、その暗さにも関わらず、はっきりと見て取れる。
「おし、これで厳密には意味は違うが柏木五姉妹だな!  はは、はははははは」
(仁王立ちして笑う耕一をバックに、草むらを背に体育座りをしていた残る三姉妹が
、梓と同じ表情で額に縦線入れて固まっている。どこまでも、どこまでも紅い夕日)

 HAPPY END