似非・雫 投稿者:風見 ひなた
 1.名探偵に花束を

 僕の名前は長瀬祐介。
 教職に就いている叔父の依頼で夜中の学校に忍び込む事となった。
 パートナーはちょっと無表情な月島瑠璃子さんだ。
 さて…生徒会室に明かりが点いているな。
 これは露骨に怪しいぞ。
「瑠璃子さん、ここで待っててくれる?」
 ……返事が無いな。
 肯定と受け取っておこう。
 では…

♪あーかあーおきいろのーりっぼーんをつーけーたー
 さーんにーんむすめがーおっどぉりでってーるーんばーにあわーせてーおっどりだーすー♪

 中では頭に赤青黄色のリボンを結んだ沙織ちゃんと瑠璃子さんと瑞穂ちゃんが「てんとうむしのサンバ」
に合わせて踊っていた……。
 がらっと窓が開き、月島さんがにやりと笑いながら言う。
「すばらしい光景だと思わないかい、長瀬祐介君」


            いっぺん死なすぞ馬鹿兄貴

 2.毎日が秋休み

 私の名前は太田香奈子。
 月島さんに恋する優等生☆
 でも最近彼が冷たいの……。
 ちょっと前までは抜かず四発朝飯前でやってくれたのに、最近はもっぱら見物してばっかり。
 もしかして、私に飽きちゃったのかしら。
 こんなことじゃだめだわ!
 よーし、ここはちょっと乙女チックなムードを出して倦怠期を吹き飛ばしちゃえ☆
 「とりあえず朝早く学校に来て花を飾る美少女」なんぞ演出してみましょ☆
 昨日の夕方にお店で買ってきた白百合を持って…朝六時に学校に忍びこみっ!
 あとは生徒会室に入って月島さんが来る頃に花を活けるだけね。
 ……あれ?もう誰か居るみたい。
 もしかして月島さん、もう来てるの!?
 私が慌ててドアを開けると……。
「……つき、しま…さん?」
 ラメ入りの紫がかった全身タイツを着て鏡の前で硬直する月島さんの姿。
「…見たね?」
「…いえ、何も」
 私はその場でばたんとドアを閉めると、脱兎のように走り出したの。
 さよなら、私の初恋っっ!

(涙を散らしながら画面フェードアウト)

       太田香奈子が発狂したのは翌日の授業中の事であった。