鬼畜セリオ物語 投稿者:風見 ひなた
 今日もまた、朝がやってきた。
 セリオとマルチはそれぞれの制服に着替えてバスに乗り込む。
 早朝のバスは意外に混んでいるので、二人は座ることが出来なかった。
 仕方なく吊革につかまって二人は並ぶ。
「セリオさん、今日も頑張りましょうね」というマルチの笑顔にセリオもこくこ
く、と頷く。
「たくさんの人間の方々に喜ばれればいいですね」
 こくこく。
「セリオさんは何のお仕事が一番好きですか?」
 セリオはぴたっと止まる。
 しばらく黙ってから、上を向いてぽつりと呟く。
「…お掃除」
 それを聞いてマルチは満面に笑みを浮かべた。
「わあ、セリオさんもそうなんですか!私もお掃除が大好きなんです。そう言え
ば最近お掃除を手伝ってくれる方が居て…」
 マルチが顔を赤くして照れるように話すのを、セリオはじっと眺めていた。
 無表情に、ただひたすら…
 と、突然セリオの表情が少しだけ動く。
 感情のこもらない眼だけを後ろに向ける。
「清掃対象物発見」
「え?」
 マルチはぎょっとして顔を上げた。
「第一種接触を感知」
「セリオさん、どうしたんですか?何を言って…」
 がちん、とセリオの身体のどこかのアタッチメントが外れる音がした。
「排除!」
 その時、マルチは確かにセリオの表情に歓びを見た、と思った…。

 ばじょぎががががががががががががが!

「セリオさん、お掃除ってこういうことだったんですかあ」
 こくこく。
 マルチは額に一筋の汗を流しつつ、にこにこと笑っていた。
 本能的に危険を感知して。
「背中に焼け焦げがついてますよ、あとで取りましょうね」
 マルチは出来るだけ床にはいつくばる男を見ないようにして、言った。
 こくこく、とセリオが素直に頷く。
 痴漢はしばらくバスの床で炭となっていたが、次の停留所で人がたくさん乗
ってきた頃には跡形もなくなっていたという。

 放課後。
「おう、マルチ!バス待ちか?」
「あ、浩之さん。こんにちわ」
 ゲーセン前で浩之とマルチはばったり出会った。
「セリオ待ってるのか…」
 *う呟いて、浩之はなにか面白い悪戯でも考えた子供のような顔をして、にや
っと笑った。
「じゃあ、セリオが来るまで遊んでこうぜ」
「え、で、でも…」
「いいからいいから」
 とまあこんな感じで浩之がマルチをゲーセンに引きずり込んでいくのをセリオ
はちょっと離れた場所から見ていた。
 少し遅れてしまった隙に、マルチは連れて行かれてしまったようである。
 とりあえずマルチが帰ってこなければ自分も帰還するわけには行かない。
 だが長瀬主任にはこういう場合二人の邪魔をしてはならないと言われている。
 セリオはしばらく動きを止め思考してから、マルチが出てくるまで待つことに
した。
 三十分経過。
 一時間経過。
(…遅い)
 そんなことを考えてただ佇み続ける彼女に、軽薄そうな声がかけられる。
「そこの可愛い君!こんなところで一人じゃ危ないよ、僕が一緒に…」
 問答無用で格闘技データから落とされてきた鉄拳が男の腹にめり込む。
 一瞬のラグを置いて、男は果てしなく通りを吹き飛ばされて行った。
 これで二十三人目である。
 なんだか向こうの通りのほうでショーウインドウの中でうめき声を上げている
黒い固まりがあるような気がするが、セリオには目にはいっていなかった。
(…暇)
 セリオは視線を空から石畳に移す。
 …視線が止まる。
 ある一点をセリオはみつめ続けていた。
 そこにはこう書かれていた。
『危険!地下、電気ケーブルあり!』

 どずかべきずがごぉおおおおおおおおおおお!

 セリオは眩しく輝くゲームセンターを恍惚の表情で眺めていた。
 その背中にはしっかりケーブルが指し込まれていた。
「…綺麗…」
 中から阿鼻叫喚の叫びが聞こえてくるような気もするが、セリオはただただ黙
ってゲーセンを眺め続けていた…。

 その夜、パジャマ(!?)に着替えたマルチの頬には、でかでかとバンソー
コーが貼られていた。
「今日大変なことがあったんですよぉ、セリオさん。
何故か突然ライトが眩しく輝いて、筐体のフィルターと一緒に破裂してしまった
んです。それで、私はこれだけですんだんですけど三十人ほど救急車で運ばれて
いってしまったんです…」
 話しているうちにその時の恐怖を思い出したのが、マルチのカメラ・アイが潤
み始める。
「可哀相です、あの人たち…私、何もしてあげられませんでした…」
 いや、マルチは怪我人の心配をして泣いていたのだ。
 セリオはその頭に手を置くと、ゆっくりと撫でてやった。
 マルチは不思議そうにセリオを見る。
「…セリオさんも悲しいんですか?」
 こくこく。
「そうですか、じゃあ一緒にあの人たちが元気になるようにお祈りしましょう
ね」
 こくこく。
 二人は眼をつぶって手を合わせると、黙とうを捧げ始めた…。

「あれぇ?」と研究員の一人が不思議そうに声を上げた。
「主任、これ変じゃありませんか?」
「どれ?」
 長瀬はひょいと研究員の持っているデータを横から覗き見た。
「なんだか、セリオの今日の電力消費量がとんでもなく高いんですが…」
 長瀬は懐から扇子を取り出すと、ぱたぱた扇ぎながら快活に笑った。
「ま、その分たくさん学んできたんだろう。何もしないよりいいことだ、気にす
ることはないだろ」
「そりゃそうですね、あははははは…」
「わはははははははははははははは…」
 二人はどこか引きつった調子で笑った。
 ちょうど部屋のテレビが夕方のゲーセン爆破事件のレポートを報道していた。

「ところでセリオさん、今日はどちらに居られたんですか?」
「…花火」
「花火ですかぁ…いいなあ、私も一度見てみたいです…」
 そんなマルチの表情を見て、セリオは唇の端に少しだけ笑みを浮かべた。
「花火、とっても綺麗でした…」
「じゃあ、今度は二人でいきましょうね」
 セリオはにっこり微笑んで、頷いた。
 こくこく。

                           落ちなし
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ひ:セリオファンの人ごめんなさい!ネタ切れのうえ超スランプです…
み:うわぁ…今までで一番面白くないんですが…
ひ:もう僕はだめかも…
み:落ち込む前にとりあえずはレスしましょうよ
ひ:ううう、レス!
    久々野さん…ええ、確かにあかりは手を抜いてます^^
                書いているうちにストーリーに引きずられてオチが甘くなって
                しまっています。ああ、反省。
                ところでもしや僕はサディストと思われているのでは…。
                まあ、いいや。でも「抵抗力がついた奴苛めても面白くない」
                というのはちょっと違います。抵抗力がない奴苛めて壊れちゃ
                ったら困るじゃないですか(おい)
                ところで美加香はもともと「手紙を渡す少女A」だったと思っ
                たけど…きっと今は「少女B」なんだな。
                葵が一番だったかな、デンパマン…。  
   まさたさん…は、もしやあなたとは気が合うのでは!?
               熱血はいいですよねえ。学園モノ全ての基本だ!(ホント
               か?)
               B・Bについては深く気にしないで下さい。感想なんて人*れ
               ぞれのものですから。
   ひめろくさん…何をおっしゃいますやら。
                 この前は初対面の方に失礼しました。
                 これからもよろしくお願いしますね。
   無口の人さん…いえ、僕は構わないんですが師匠が…(笑)
                 ほのぼの童話調で強烈なインパクト…まだこんな方法が残っ
                 てたんだなあ、と感心することしきりです。
   無駄口の人さん…いいえ、「富士見」です!
                   この人たちの能力は大体「スレイヤーズ」か「はぐれ旅」
                   を基準に決められているようです。(ホントか、おい!)
   ハイドラントさん…いえいえこちらこそよろしく。
                     うーむ、ガディム…原作では単なるミノタウロスだった
                     くせに出世したなあ(こら)。
                     でも、「俺の神」って…なんか神戸の少年Aみたいで凄
                     い表現。不覚にも笑ってしまいました(気を悪くしない
                     で下さい。こういう奴です)
   ゆきさん…スランプのときってなんだか言葉づかいが荒くなりますよね。
             いま、その気持ちがすっごくよく分かります。
             で、あらすじですが…しっかりと理解できました。
   健やかさん…これで雫のキャラは瑠璃子を残すのみ…誰か勇気のある人、瑠
               璃子を取ってくれれば完全に埋まりますね。
               加奈子ファン…ああ、でも加奈子やるからって月島につきそう
               でちょっと恐いな。
   dyeさん…ううう、僕のほうが模倣みたいなもんなのに…なんだか凄い罪
                悪感が…^^
                B・Bですが、あれはそのとおりです。延々と繰り返す輪廻が
                この後も繰り返される、というエンドです。
                二月十五日のアレは…忘れてください(汗)
                自虐の歌…どうやってかますのでしょう?やっぱりあの三人を
                召喚するのかな?
   鈴木R静さん…ふええ、シリアス…。息も出ません。
                 うーむ、この世界じゃ僕なんかは用なしですね。だって根本
                 的に僕はギャグキャラだもん^^
   岩下さん…ああ、よかった。月島が死ぬのかと思ってどきどきしながら読ん
             でました。浩之がどう出るか凄く楽しみです。
   セリスさん…葵…葵…葵は…う、いかん、発作が…。
             葵好きなのでかなり期待してます。
   へーのきさん…だって僕ギャグキャラだもん。^^
                 夏場は暗器のせいで冬服が脱げなくて大変です。重いし。
                 ちなみに僕はシリアスを書いて盛り上がり、そのあまりの勢
                 いでコメディを書いて一気にしぼみます。今、その状態。
                 だからシリアスとコメディではタッチが全く違ってます。
   kuramaさん…やはりあの食卓のシーンの梓の影では凄まじい光景が展
                     開されているのか!?早食いで大食い、なんだか凄いキ
                     ャラだと思います、あのお方。
                     …と思ったら全く違う彼女…ううん、やられました。
   意志は黒さん…うわあ、これは…痛烈ですね…。
                 誰もが一度はとおる道、なのでしょうか?
                 僕はそこで挫折するのでしょうか?…まだ、解らないで
                 す…   
   アルルさん…ごめんなさい、とてもではありませんが感想は言えません。
               僕はまだ幼すぎるんだと思います。
               感想を言う資格のない者は、何も言うことはできません…  
   Hi−Waitさん…まるで僕が脅迫したような言い方はしないでくれ^^
                      しかし書いたのか、やっぱり。そろそろ僕が代りに書こ
                      うかな、なんて思ってたのに。ちょっと残念。
   RUNEさん…真の「ごめんなさい大賞」!
                 うわあああ、あなたを忘れていたなんて風見 ひなた、一生の
                 不覚!この埋め合わせはいつかきっといたします!

み:以上!
ひ:うーん、なんだか僕が美加香を苛めて喜んでるいじめっ子みたいだなあ、最
    近
み:違うとでも言うつもりですか?
ひ:もちろん違う。その証拠に僕は一度も貴様を殴ったことはありませんよ
み:盾にしたり人間ミサイルにしたり踏み付けにしたりしてるじゃないですか!
ひ:あれは行動の過程でそうなったんです。「敵を倒そうとして」投げたり、
   「身を守ろうとして」盾にしたり…
み:踏んづけたのは?
ひ:あれは、足元に「たまたま」貴様が居たんです
み:ううう、そう言えば本当に直接的に殴られたことはない…
ひ:さーて、次はどう料理しようかな…
み:あああ、やっぱり苛めてるうう!
ひ:へへん。…そう言えば、貴様は技あったんでしたっけ?
み:ええ、まあ一応
ひ:どんな技でした?必殺技は…
み:ええと、「辛辣な一言」で、属性は「知」です
ひ:はあああああ?「知」だぁ?こんな馬鹿にそんな事できるわけないじゃない
    ですか
み:できますもん!
ひ:じゃあやってみなさい。言っておきますが僕とて通常攻撃に「残酷な一言」
    を持つ身。そう簡単には…
み:「筆弁慶」
ひ:ぎくぅっ!?
み:「作品中でばかり偉そうなこと言ってないで現実でも自分の意見がはっきり
     言えるようになったらどうですか?」
ひ:いやあああああ!?や、やめろぉぉぉ!?
み:「ちょっと誉められたからっていい気にならないで下さい自己満足の癖に」
ひ:美加香、貴様被造物の癖にそんな口聞いて…
み:「所詮は一人よがりの文章書いて誰かに誉めてもらいたいって思ってるだけ
     なんでしょう?」
ひ:ひいい、やめてくれええええ!?も、もういい!わかったからやめ…
み:「今スランプだから、って言えば皆が励ましてくれる…なんて思ったら
     大間違いですからね」
ひ:う、う、う…うあわああああああん、ちくしょぉぉぉぉぉぉぉ!

み:あーあ、ひなたさん逃げちゃいました。
    私の言葉なんて「自虐の歌」に比べればたいした事ないのに。
    まあ、次に帰ってくる頃には心の痕も塞がっているでしょう。
    それでは「もう立ち直れないかも…」風見 ひなたと「デリケートな作者を
    持つと大変!」赤十字 美加香がお送りしました!