味音痴  投稿者:丹石 緑葉


先日ついに、セリオさんはお掃除の奥義を拾得したそうです。
わたしも負けてはいられません。
おいしいご飯を、浩之さんに食べて貰うのですー。
とりあえず、道具をセリオさんに貸してもらうのです。

えへへー、レシピまでいただいてきました。
「? マルチ、今日はやたらとアンテナがでかいな?」
「はいっ、外部記憶装置その他ですっ」
「・・・そのほか?」
「セリオさんと通信できる、PHS機能付きです!」


さて、道具を並べて、戦闘開始なのですぅー

お塩さんは、このぐらいでしょうか?
・・・あうー、入れすぎてしまったのです。
もう少し減らして・・・
ああっ

「お? 天秤ばかりに、ビーカー?
 マルチ、理科の実験か?」
「いえ、浩之さんの晩御飯なのですー。
 かの芹香さんも、使った道具だそうですよー」
「・・・れんきんじゅつ?」
「がんばるのですー」
「今日の昼飯は?」
「え? えぇ?!
 す、すみませーん、わたしったら・・・」
「・・・いい、適当に食べとく」

ああ! 麺をゆがいているのを忘れていました!
あうー、これではアンデルセンにほど遠いのです。
・・・あ、こういう時は冷水で揉んでやると、麺が締まるんだそうです。
? 麺がくっついちゃって、えらく太くなったよーな?

浩之さん、甘いものはお好きでしょうか?
とりあえず、借りてきた鍋に片っ端からアイスやプリンを作ってみたのですー。
次はケーキを作るです!

とりあえずスープは、基本のコンポタなのですー。
次はこの鳥さんとお魚さんですー。
こんがりと狐色に・・・
「狐色な出来上がり」は、基本なのですー。

これでおーどぶるはばっちりなのですー。
? ああ!
ソースで炒めていたのを忘れていましたー!
ああ、めいんでぃっしゅが・・・

・・・うう、なぜでしょう。
今度はじっくりと時間をかけて作ったのに。


「・・・マルチ、今日はやたら豪勢な晩飯だな」
「はいっ」
「うん、サラダの盛りつけもばっちりだし、前菜のスープや鳥の照り焼きもいい感じだ」
「えへへー、うれしいですー」
「何故かある、コロッケなんかも、からっと揚がっててうまそうだぞ」
「じっくり時間をかけましたから」
「デザートも、各種取りそろえてうまそうだぞ」
「がんばりました!」
「・・・しかし何故に、」
「ううっ」
「何故にメインディッシュがミート煎餅なのだ?」
「ふえぇーん、りべんじならなかったのですぅ」


まともな味だったのは、ミート煎餅だけだったし・・・