風邪ひいてねんね  投稿者:丹石 緑葉


 風邪ひいて寝込んでいる。
 いくら親がそばにいるとはいえ、これは応える。
 
 「うう、せめて瑠璃子さん見舞いに来てくれないかな・・・」
 
 ちりちりちり・・・
 「長瀬ちゃん、電波届いた?」
 
 ああ、その電波だけで元気になれそうな気がするよ・・・
 


 風邪ひいて寝込んだ。
 まさしく鬼の霍乱という奴だ。
 独り身にこれは、結構応えるもんだ。
 
 ピンポーン。
 
 「耕一さん、大丈夫ですか?」
 
 千鶴さん、何故ここに?
 
 「何となくこんな気がして・・・
  出張だって出てきました。
  妹たちには内緒ですよ?」
 
 ところでその手に持っているものは?
 
 「あ、手料理をご馳走しようと思って・・・
  早く、元気になってくださいね(ポッ)」
 
 頼むからやめてくれ・・・
 結局、俺は1週間寝込むことになった。

 
 俺は今風邪ひいて寝込んでいる。
 一人暮らしにこれは、かなりきついぜ。
 せめて誰かお見舞いに来てくれれば・・・
 
 「って、何でおまえしかこないんだ?」
 「ん? どうしたの、浩之?」
 
 雅史しか来てくれなかったらしい。

 

 風邪ひいて寝込んでしまった・・・
 でもこんな事、弥生さんに言えるわけがない。
 ましてや由綺にも。
 心配してとんでくるから。
 
 ピンポーン。
 
 「由綺?!」
 「ん。お見舞い」
 なんだ、はるかかよ・・・
 
 「俺、今風邪ひいてるんだからな、おまえの相手できないぞ」
 「ん、見てるだけ。
  ほー、これが風邪ひき冬弥」
 
 「何故、俺の枕元に座る?」
 「ん、座敷はるか」
 「はぁ?」
 
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