「Hai!ヒロユキ!」 …と、レミィの声が聞こえた瞬間、オレは全身に強烈な衝撃を受けた。 何が起こったかは容易に想像がついた。 大方、『運命的な出逢い』ってヤツを勘違いしているレミィが全力で突進してきたに違ぇねぇ。 …で、普通ならこの後、 「しょーがねーなぁー」って顔で起き上がったオレがレミィのパンティを盗み見て、お腹一杯、ゴチですっ! …って感じでその場を締めくくるのだが……… 今日は違った。 具体的に何が違ったっつーと、だ。 床がワックスをかけた直後だった。 んでもって、レミィは自分が想像していた以上のスピードでオレに衝突した。 オレがいたのが窓際だった。 んでもって、窓は全開フルオープンって感じだった。 さらに……ここが重要なのだが…、 ここは………3階だった。 ………そりゃまぁ、そんな状況で体当たりされたら落ちるやなぁ、はっはっは! なーんてコトを考えながら、オレは頭から地上へ真っ逆さまに落下していった…。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ …目の前に座る金髪の少女の話を聞き終えた刑事は「やれやれ」と言いたげに苦笑した。 学校内で発生した殺人事件。 3階から落下した男子生徒は見るも無惨な死体だったらしい。 事故ではないのは数人の生徒が目撃して確認しているし間違いない。 この金髪の少女が男子生徒を突き落としたのだ。 聞き込みによると、どうやらこの少女は被害者の男子生徒に恋愛感情を抱いていたらしい。 …痴情のもつれからきた殺人か…、いや、心中するつもりだったのかもしれんな… 目の前で「運命的」等、理解できない殺害動機を話す少女を見ながら刑事はそう考えた。