―夢。 漢が生涯を費やして追う価値のあるモノ。 それが…夢。 浪漫チシズム溢れる漢の夢。 「なぁ、長瀬君、…長瀬君には夢ってあるかい?」 「…夢…ですか?」 「そう、夢。男として、いや、人間として心から叶えたいという夢。」 「……月島さんて意外にロマンチストなんですね。」 「ははは、からかわないでくれよ。」 「いやぁ、すいません、お義兄さん。」 「お義兄さんって呼ぶな、青二才。」 「………」 「………」 「………はは、は。」 「………は、は…。」 「ははは。」 「ははっ、…で、夢だよ、長瀬君。」 「夢ですか。」 「夢だよ。」 「僕にはそんな夢なんて………強いて言えば…瑠璃子さんと―」 「黙れ、早漏。」 「………」 「………」 「………月島さんの……月島さんの夢はなんなんですか?」 「………僕の…夢…か…。」 「………」 「そうだな…僕の夢は―」 (妄想モードin拓也) …老人になった僕がいる。 暖かな日差しの中、椅子に腰掛けまどろんでいる。 …いい気分だ。 …お兄ちゃん。 …ん? 瑠璃子だ。 ふふ、何時見ても瑠璃子は可愛いなぁ…。 僕が老人なのに瑠璃子が高校生なのは奇妙だが。 …お兄ちゃん、お漏らししてるよ。 何ィッ!? 言われて股間に目を向けると、湯気がたってた。 ぼんやりとソレを見ながら、どこかの幼児ロボじゃあるまいし、とか思った。 …しかたないね、とりかえないとね。 そう言うと瑠璃子はどこからか取り出したオムツを片手に僕の下半身を… 瑠璃子…そんなに見んといて… …さん! …まさん! 「月島さん!」 「あ〜、瑠璃子ぉ、ちょっと強引だってば………」 「月島さん!どうしたんですか!」 「………はっ!…なんだ、長瀬君か、どうしたんだい?」 「どうした?、じゃありませんよ。アブナイ感じなコトをブツブツ呟きだして怖かったんですよ。」 「いやぁ、すまないね。ちょっと…。」 「大丈夫ならいいんですけど…」 「………」 「………」 「………夢…」 「…え?」 「僕の夢な……『幸せな老後』…かな?」 「…へぇ…。」 「意外そうだね…。」 「月島さんって案外質素なんですね。」 「ははっ、言ったな、コイツゥ。」 (がすっ!) 「はは、痛いじゃないですか、月島さん。」 (ぼすっ!) 「ははは。」 「ははは。」 …今日も世界が平和でありますように。