アルツハイムな彼女 投稿者:あかすり 投稿日:5月19日(金)19時53分
…月島さんの狂気の世界を消し去った僕は関係者の記憶を削除した。
…したはずだった。…なのに彼女は…瑠璃子さんは…。



「くすくす、……覚えているよ。」

「る、瑠璃子さん……。」

「忘れないよ………だって…田中ちゃんだもの。」

「えっっ!?」

「うん、田中ちゃんは優しいからね。」

「る、瑠璃子さん…ぼ、僕は田中じゃなくて…」

「………」

「僕は…僕の名前は『なが―…」

「いけない、いけない……間違えちゃったよ。」

「瑠璃子さん…(安堵)。」

「忘れないよ………だって…鈴木ちゃんだもの。」

「すずき!?」

「…鈴木ちゃんはわたしを助けてくれたもんね。」

「…瑠璃子さん…僕は…その…『なが―…」

「鈴木ちゃん、これからはずっと一緒だよ…。」

「いや、だからね…僕は『長瀬』だって…」

「………え…?」

「……だ、だから『長瀬』というのが僕の名前であって…。」

「………」

「…お、思い出してくれた?」

「………」

「る、瑠璃子さん?」

「…いけない、いけない…騙されちゃうところだったよ…。」

「えっ!?」

「…ごめんね…人違いだったよ…。」

「いや、あの…その違うけど違ってない…ていうか…。」

「じゃ、さよなら。(とてとて)」

「あっ!?ちょっ…瑠璃子さん!?瑠璃子さぁ〜〜ん!!」


           〜『雫』…完〜