―月島拓也は考える。 いつまでも妹の尻を追いかけていて良いものか、と… 瑠璃子は可愛い。もぉ、食べちゃいたいくらい可愛い。そう思う。 でも、その溺愛ぶりのせいで容姿端麗、成績優秀、女子の間でも人気バッグン! ……のハズだったのが最近はどうにも良くない噂がたっている。 ハッキリ言って、瑠璃子以外の異性に興味はないし太田さんの世話で忙しいので相手をしている暇もない。 しかし……学校内で『変態』呼ばわりされるのには腹が立って仕方がない。 何より気に入らないのはあの忌々しい長瀬にまで『変態』呼ばわりされることだ。 なにが『変態』だ!? 僕は兄として純粋に妹を愛しているのに! …そりゃ、少し一線を越えそうになったこともあったけどサ…(つーか、越えた) でも、人間過去を気にしてたら生きてけないじゃないか! …とにかく、少し瑠璃子に対する態度を変えてみる必要がある… …くぅ…ゴメンな、瑠璃子…お兄ちゃん、これから少しの間ちょっと冷たくなるけど…それは瑠璃子、ひいては僕達兄妹の純愛のためだからね…!! ―と、そこへ… 「お兄ちゃん、お兄ちゃん」 る、瑠璃子が呼んでいる。 ふ、振り向きたい!振り向いて「なんだ〜い!?瑠璃子ぉ〜!?」と言ってやりたいっ!! …我慢だ、拓也!たった今決意したばかりじゃないか!ほんの少し…ちょびっとした後で優しく声をかけてあげよう! 「お兄ちゃん?」 すまん、瑠璃子!もう少しの辛抱だぞ! 「お兄ちゃん…」 ぐうぉ〜!!る、瑠璃子ぉ〜!! 「…………」 る、瑠璃子……今、振り向いてあげるからな! 「…どうしたんだい、瑠璃―……ぐへほっ!?(ばきっ)」 な、なんだ…何が起こったんだ…?…瑠璃子?どうして手をグーの形で差し出してるんだい? 「いけない、いけない、顔面モロになっちゃったよ。」 「る…るり…こ…な、なんだい?」 「お兄ちゃん…背中が痒いの。」 「そ、そうか…今かいてあげる…よ。」 …ぽりぽり… 「ふぅ…ありがとうお兄ちゃん(すたすた)。」 「る…るりこ……(ばたっ)」 教訓:返事はスグにした方が良い。