―わたしは決心した。全てを話してしまおう。前世のこと、エディフルと次郎衛門のこと全て… 「耕一さん、実はあなたとわたしは前世で恋人同士だったんです。」 「………」 「わたしは鬼の娘、エディフェル。耕一さんは侍の次郎衛門なんです。」 「………」 「二人は出会ってお互い一目で恋に落ち、ラブラブでいちゃいちゃしてたんです。」 「………」 「前世では離れ離れになってしまったけど……わたし…忘れなかった…。」 「………」 「耕一さん…好きです。」 わたしはそっと目を閉じた。 そして耕一さんの唇がわたしの唇に……… 「ちょっと待った。」 キスなんてしなかった。 「どうしたんです、耕一さん?」 「楓ちゃんには悪いんだけどサ……実は俺の前世、次郎衛門じゃないんだよね〜。」 「え、マジ!?」 ついつい素が出てしまう。 「うん。俺の前世は次郎衛門の飼っていた手乗り文鳥だったんだ…。」 「そ、そんな…。」 「ごめんよ、楓ちゃん。ぬか喜びさせちゃって…。」 「………いいんです。…わたし、知ってたんです。耕一さんが手乗り文鳥だったってこと。」 「楓ちゃん…。」 「でも…耕一さんが自分のことを思い出さなければ…それでいいんじゃないかって…。」 「………」 「ずるい女ですよね…わたしって…。」 「楓ちゃん…(抱きっ)。」 「あっ………耕一…さん…。」 「俺は楓ちゃんが好きだよ。俺の前世が手乗り文鳥だろうとヤンバルクイナだろうとそんなこと関係ないよ…。」 「………耕一さん、わたし…うれしいです。」 「楓ちゃん…。」 「耕一さん…。」 わたしは再度そっと目を閉じた。 今度こそ……… こうしてエディフェルと手乗り文鳥の愛は時代を超えてついに成就したのでした。 ―めでたし、めでたし― ―で、 「なぁ、藤田…。」 「おぅ、どうした矢島?」 「いや、最近さ…妙な夢を見るんだよ…。」 「夢ぇ?」 「ああ、夢の中のオレは侍なんだよ…そんでもって―」