蟹のある風景 投稿者:あかすり 投稿日:4月11日(火)23時22分
 梓が告白した。

「…あ、あたし………今の今まで隠してたけど…実は…『カニ』だったんだ!」


「…へぇ…。」
「…そぉ…。」
「…ふぅ…。」
「…えぇ〜っ!?梓お姉ちゃん、『カニ』だったのぉ!?」


「ゴメン…今まで黙ってて……」
梓は涙ながらに告白した。


「…はぁ…千鶴さん、今日の晩御飯なに?」
「実はまだ決まってないんです…ごめんなさいね、耕一さん。」
「………(ずずっ)。」
「そ、そんな…梓お姉ちゃんが『カニ』だなんて…『カニ』だなんてっ!?」


「さらに言っちゃうと………実は『カニカニ星』の『カニカニ星人』だったんだ!」
梓の告白は最高潮に達していた。


「…そうだなぁ…久しぶりに鍋なんてどうかな?」
「そうですね…久しぶりですね。」
「………(ぷはぁ〜)。」
「嫌だよ…嫌だよ…梓お姉ちゃんがカニ型宇宙人だなんてっ!」


「昨日だって、夜中にコッソリ泡吹いたり、横歩きしたりして喜んでたんだ!!」
梓の告白は続く。


「鍋ってもなぁ……具は何がいいかな?」
「そうですねぇ。」
「………(とぽとぽとぽ)。」
「は、初音が寝てる間にそんなコトしてたなんて!?」


「ホントに今まで黙ってて、ゴメン!あたし謝るよ!」
梓の告白は終了した。


「カニ鍋もイイねぇ。」
「季節ですもんね。」
「………あっ!(がちゃん!)」
「…梓お姉ちゃん…もういいよ、頭上げてよぉっ!」


「あたし…過去を捨てる…スベスベマンジュウガニだった過去を捨てて人間として生きる!」
梓は吹っ切れた。


「スベスベマンジュウガニだってさ、千鶴さん。」
「スベスベマンジュウガニですか…。」
「姉さん、スベスベマンジュウガニは毒入りよ…。」
「じゃあ、食べれないね…。」




…その夜は『カニ』鍋だった。