来栖川綾香は自室でセリオの頭をなでていた。 …なで〜り…なで〜り… つい最近まで、藤田浩之とその妾ロボ、マルチを内心バカにしていた彼女だったが、 いざ自分つきのメイドロボ、セリオに試してみたところ途端にハマってしまったのだ。 …なで〜り…なで〜り… もともとクールな表情だったセリオが『なでなで』をした瞬間に快楽に身を任せた妖艶な笑みをするのである。 普段は絶対に見ることの無いであろうセリオの表情に綾香は完璧に虜にされてしまったのだ。 …なで〜り…なで〜り… …ああ、なんて気持ち良いの!こんなに楽しいコトが世の中にあったなんて!! もぉ…セリオったら……可愛い…。 来栖川綾香はセリオをなで続けて、なでまくった。 〜一週間後〜 長瀬源五郎は目の前の二人から事情を聞くと溜息をついた。 「すると…お嬢さまはここ一週間、休まずに全力を尽くしてセリオをなでた、と?」 「…ええ。」 応えながらも、綾香はセリオの頭をなでるのを止めない。 …なで〜り…なで〜り… 「なでている手には常に渾身の力を込めていたと?」 「…そうよ。」 …なで〜り…きゅっ…なで〜り…つる… 「………『なで』というより『摩擦』ですな。」 「…ワザとじゃなかったのよ。ただ…ちょっと気合が入りすぎただけで…。」 …なで〜り…きゅっきゅっ…なで〜り…つるつる… 「ちょっと、じゃあこうはなりませんよ。」 「…悪かったわよ…反省してるわ。」 …なで〜り…なで〜り…つるつる…きゅっきゅっ… 綾香の手加減を知らぬ力で『なで』た、いや、『こすっ』た結果… 「しかしですねぇ…植毛というのも、なんだか…」 「お願いッ、こんなセリオ、セリオじゃない!」 長瀬と綾香の会話が続く中、セリオは傍らで光る頭を反芻するようになでながら笑っているのだった。