「瑠璃子さん、なんでマゲ?」 …いきなりオチを言ってしまった様な気がするが、今日の瑠璃子さんの髪型はマゲだった。 そりゃあもう、「おれのマゲをもらってくれねーか?」と言ってしまうくらい見事なマゲだ。 「長瀬ちゃん、相撲しよ。」 「…なんで?」 「…長瀬ちゃん…嫌?」 「…嫌じゃないけど…でも…」 「………最近、長瀬ちゃん反抗的だよね…(ぼそっ)」 「え!?」 「…………」 よく聞こえなかったが、今なんかとんでもないコトを口走った様な気がしないでもない。 「相撲…とろう?」 …今日は…いや、今日もしつこい。 …でも…そんな瑠璃子さんにメロメロなので従っちゃう。 「うん、わかったよ。相撲とろう、瑠璃子さん。」 「ありがとう長瀬ちゃん。」 …しかし、瑠璃子さんだって女の子だ。 沙織ちゃんの様に活発でもなければ、特別運動もしていない。 正直、どうやって手加減しようか考えてた。 「長瀬ちゃん…塩。」 そう言いながら瑠璃子さんは塩を差し出した。 ヘンなところで細かい。でも、瑠璃子さんらしい。 ばばっ… 塩をまく。 「瑠璃子さんはまかないの?」 「うん……まくよ。」 「…………」 「………長瀬ちゃん、アレ…」 そう言いながら瑠璃子さんはあらぬ方向を指差した。 つられてその方向を見上げた時だった。 ばばっ…… 多量の塩が僕の顔にかけられた。 「痛たたたたた!!目に入った、ちょっ、マジ痛い!瑠璃子さん!?」 ドンッ!…… 突然、体当たりされて思いっきり転んだ。 「痛たたっ!今度はいったい…瑠璃子さん!!?」 僕がようやく目を開けると、瑠璃子さんは勝ち誇った笑みを浮かべていた。 「………瑠璃子さん、今の……」 「長瀬ちゃんの負け。」 「ワザと?」と尋ねる前に遮られる。 「いや…今のってさ…」 「長瀬ちゃん、負けたよね?」 「…だからさ」 「長瀬ちゃん、ま〜け〜。」 「………」 「わたしの勝ち?」 「…はい。」 なんか最近どんどん嫌われていく様な気がする。