幼き日の柏木家でのことだった… 「よろしくね、耕ちゃん…あっ!?(ばしっ)」 俺はセーラー服の千鶴さんが差し出した手を強めに振り払った。 「………ご、ごめんね、耕ちゃん…。」 悲しそうに謝る千鶴さんに対して俺は心の中で必死に弁解していた。 …違う!違うんだよ、お姉ちゃん!お姉ちゃんの手が僕の頭に触ったとき…… …僕、僕、怖くて…僕の頭の『十円ハゲ』に触っちゃうんじゃないかって…… もし、お姉ちゃんに『十円ハゲ』がバレたら笑われるんじゃないかって……! 梓は黙ってるって言ったけど、その前に大笑いしたんだもん! ……梓だけならともかく、楓ちゃんと初音ちゃんまで……僕と目を合わせないように「ぷっ」って!! 今だから言えるよ…ゴメンね、千鶴お姉ちゃん…