ある晴れた日の昼休み、僕は瑠璃子さんと屋上にいた。 「…くすくす…(ちりちりちり)」 瑠璃子さんは金網のそばで電波の受信をしている。 いつもと何も変わらない平和な日常だった。 …瑠璃子さんの頭に付いている赤いボタンを無視すれば… 「……『山崎、やっぱオマエ、屁タレや!』……(ちりちりちり)」 一体、何の電波を受信しているのだろう? 僕は電波の受信に夢中になっている瑠璃子さんに背後からそっと近づいた。 なんとなくイヤな予感がするけど、ボタンを押してみたかった。我慢できなかった。 昔の人は言いました。 「何故に君はボタンを押すのか?」 「ソコにボタンがあるから。」 瑠璃子さんは未だ受信に夢中だ。 僕は恐る恐る手を伸ばしボタンを押そうとした。 もう少し…真紅のボタンは目の前だ。 Let’s ポチっと……… 「…長瀬ちゃん。」 「えッ!!?あ、ああ、る、瑠璃子さんッ!?」 ビビった。 でも、普段は予想できない行動でドキッとさせてくれるので、 こういう普通の驚かせ方をされても一応ビビるものの面白くない。 そんなコトを考える僕を見ながら瑠璃子さんが言った。 「押すの?」 「え?」 「ボタン。」 「あ…いや…」 「押さないの?」 「いや、押すよ…」 「…長瀬ちゃん、頭いいんだね。」 「へ?」 「……長瀬ちゃん。どっちか選んで…」 そう言って、瑠璃子さんが差し出したのは……… 「ゴールデン…ハンマー……と、スーパーひ○し君人形…」 「……長瀬ちゃん、使う?」 「え……その…」 「使わない?」 「あ…じゃあ、ゴールデンハンマーを…」 僕は『世界不思○発見!』は毎週見てるが、ひと○君人形はブサイクなので嫌いだ。 「…はい。ハンマー。」 「…あ、ありがと。…それで…問題は…?」 「…問題。月島瑠璃子ちゃんと新城沙織ちゃんではどちらが胸が大きいでしょう?」 「………」 「………」 「………」 「……わからないの?」 「…いや、わかるけど…」 「制限時間…終わっちゃうよ…」 「………さ、沙織ちゃん。」 「………」 「………」 「………」 「…や、やっぱ瑠璃子さん。」 「…長瀬ちゃん。人の顔色で答を決めちゃいけないなぁ…」 「・……ご、ごめん。」