…そう、アタシがヒロユキを初めて見たのは子供の頃デシタ。 そして、ソレはアタシが初めてハンティングの恐怖を知っタ時でもあったワ。 〜10年+α前〜 「あかり〜、こっちだぞぉ〜!」 「待ってよ〜、浩之ちゃ〜ん!」 公園中を走る子供2人を追いかける犬一匹。その名をボスという。 そして、公園脇の歩道を小振りの弓矢を片手に歩くインチキ黒髪の長ったらしい名前を持つ少女、その名を宮内レミィ(仮)といった。 「ハァ…退屈デス。」 この少女は小学校低学年に相する年齢で生命を狩り取る楽しみ、すなわち狩猟者の心を理解していた。 「いくらハンティングがしたくともシンディのオウムをハントしたのは失敗デシタ。」 そう、彼女はつい先刻内に秘めたる欲望に堪え切れずたまたま眼前を通過した姉のペットのオウム、チャーリー(♂2歳)を 一撃で仕留めたのだった。…結果、ケンカして家を飛び出したのだった。 彼女には姉の悲しみが理解できなかった。 彼女にとって『狩り』は絶対的のものであり、『弱いモノは強いモノにパクパク』なのであった。 そんな彼女の耳に入る、熱き獣のソウルフルな雄叫び… バウバウバウバウ!!ガウッ! 「OH!獣チャンの元気な雄叫び、アタシの中のハンター魂が唸ってるネ!!」 瞬間的にハンターモード発動。 弓をしっかりと持ち、矢を力いっぱい引く。 オモチャの矢なので刺さっても、殺傷能力を全くの0。 …が、密かに栽培した必殺のトリカブトがそれをカバーする。 不運にも浩之、あかりから遠く離れた位置にいるボス。 浩之もあかりも遊びに夢中でボスに注意を払ってない。 ボスは犬としては、強い部類に入り勘も効いた。 …が、熟練が無かったとはいえ天性の才能を持つ生粋のハンター相手には部が悪かった。 「フフフ…射程内、バッチシネ!」 不敵に微笑むその顔は冷徹なものであったとさ。 「…Shot!!」 キャウッ!?…………(ずたっ) 百発六十中の腕前でレミィの矢は正確に眉間を貫いた。 飼い主が来る前に獲物を頂戴するために駆け出したレミィだったが、それ以上体が前に出るコトは無かった。 何故なら、彼女の前に彼女以上の素質を持つハンターが現れたからだ。 ソイツは赤い髪に黄色いリボンをしていた。 そしてその目は………悪魔、デェ〜ビィ〜って感じだったネ…と後に宮内レミィは語った。 睨まれて身動き出来ないレミィにソイツは言った。 「ふふふ、誰だか知らないけどボスちゃんを殺ってくれてありがとう。 このワンちゃん、前からわたしと浩之ちゃんの仲を邪魔してたんだもん。」 「………Oh my godネ!!」 「大丈夫、証拠は隠滅しとくよ…。」 そう言うと赤髪の少女はボスから矢を抜くとポケットにしまい込んだ。 「さぁ、早く行きなよ…浩之ちゃんが戻って来ちゃう。」 「Oh…Oh…こ、コワイですゥ!!」 これがハンター・宮内レミィの最初で最後の敗北だった。 相手とは格が違いすぎたのだ。 それでも、好奇心から覗いていると後から男の子がやって来た。 …フフフ…上物デース… 初めての異性とも言える対象に、レミィのハンター魂がまたも刺激された瞬間だった。 これが宮内レミィが初めて藤田浩之を見た瞬間であった。 彼女はこの後あらゆる策謀を張り巡らし浩之とイイ感じになり、わざわざ演出のためにと家族を巻き込み海外に移住したのであった…。 …公園… 「うぅぅ〜、ボスぅ、ボスぅ、しっかりしろ!」 「浩之ちゃん…。」 「死んじゃ嫌だよ!ボスぅ…ボス…」 「浩之ちゃん…仕方がないよ…」 「なんで…なんで…さっきまで元気だったのに…」 「もしかしたら病気だったのかもしれないよ。」 最後のあかりの一言により、謎に包まれたボスの死は病死として処理されたのだった。 〜現在〜 「…というコトがあったのヨ。」 「オマエなぁ……他人の飼い犬を撃つなよ。」 「No!No!No!アタシも子供だったから殺生をしなかったネ!!」 しっかり殺ってた。 「ふ〜ん。…ま、レミィは昔もカワイイ女の子だったってコトか。」 「そーゆーコトネ、ヒロユキ!」 「はっはっは(笑)」 「HAHAHA(笑)」 それは平和な午後の一時でしたとさ。