「楓ちゃんって、日本茶が好きなんだよね?」 居間で湯呑に茶を注ぐ楓ちゃんに俺は何気なく尋ねた。 「…はい。熱いお茶って、美味しいんです。」 「ふ〜ん。」 「耕一さんのもお入れしましょうか?」 「いや、俺はいいよ。」 「…そうですか…。」 「…うん。」 「………」 「………」 俺も楓ちゃんも言葉無く、ぼ〜っとしていたがしばらくして楓ちゃんが茶を飲もうと湯呑を口に近づけた。 俺は楓ちゃんのその動作を何気なく見つめていた。 楓ちゃんが茶を飲み始めた。 じゅるじゅるじゅるじゅる 「………楓ちゃん?」 「…はい?」 「………」 「どうかしましたか?」 「…い、いや…なんでも…ない。」 「そうですか。」 楓ちゃんが再度、茶を飲み始めた。 じゅるじゅるじゅるじゅるじゅる〜〜〜〜〜ごくっ 「………楓ちゃん。」 「…はい?」 「あのさ………」 「………?」 「…ゴメン、やっぱ何でもないよ。」 「ふふふ、変な耕一さん。」 か、楓ちゃんが…あんな、あんな…『じゅるじゅる』なんて音をたてて茶を飲むなんて……!! ………なんか…なんか…ムチャクチャ嫌だけど………ちょっと好きだ…。 フッ…ワイって、ホンマ、ダメ人間やなぁ………