艦長 藤田浩之 5話 白衣の天使? 投稿者:暁 千破也

「駆逐艦トゥハートの艦長藤田浩之を確認し、連れ去る作業を潜伏中の
 工作員マルチに命令する。
 あと仲介役に会ってある物を受けとっておけと通信しておけ」
「はい、セバスチャン様」

( マルチにやらせるには酷な仕事だが芹香様のためしょうがない。
  とりあえず侵入さえしてしまえば藤田浩之が庇ってくれるだろう  )


「そんな馬鹿な! 何かの間違いに決まってるぞ矢島中将」
「それがどうも間違いじゃないそうだ。橋本中将」
「トゥ トゥハートがたった1隻で来栖川帝国の偵察艦隊を全滅だと?あの藤田が」
「Leaf連合は藤田の昇進を検討中らしい」
「昇進だと?」
「しかし、上層部より先に私達が恩賞を与えれば各方面に覚えがいい」
「貴様は軍人よりも政治家になるべきだったな矢島中将」
「橋本中将も体力だけで昇進した訳ではないだろう」
「恩賞を何にするかはお任せしますよ。私は忙しいのでね」


「上層部からの特別恩賞ね。どうせなら休暇がほしいですね」
「何だろうな? 長瀬主任」
「腕のいい看護兵だそうよ。梓」
「私より腕のいい軍医はいないと思うぞ」
「いや、女らしいとの噂ですよ」
「おおぅ! 出てきたぞ!」
「皆さんこんにちわですぅー」


( 前の戦いを報告したほうがいいのかしら。
  でも浩之だから報告しなくてもいいや。
  私も浩之のことに関して甘いわね・・・

  あれっ浩之ちゃんどこへ行ったのかしら?
  探しに行かなくちゃ            )


( ここが艦長の部屋なんですね        )
コンコン
「入ってくれや」
「では失礼します」
「おや?マルチじゃねえか。どうしたんだ?」
「はい、浩之さん。トゥハートの看護兵として配属されました。
 これからもよろしくお願いします」
「おう、こちらこそよろしくな。
 それにしてもマルチ、そのスカートやけに短くないか?」
「そ、そんなに見ないで下さい!浩之さん」
「スカートがどうしたって?浩之ちゃん(怒)ピクピク
 ブリッジを離れる時、私に知らせてくれなきゃ駄目だよ。規則なんだから」
「マルチの配属祝いをするけど一緒に飲むか?」
「浩之ちゃんまだ昼間だから駄目だよ」
「ちっ、しゃぁねえな」
「浩之ちゃん!」


「それでは包帯を巻きますね」
ぐるぐるぐるぐる
「あれぇ、なんだかミイラのようになったですぅ。
 あのぉこれじゃ駄目ですか?」
「マルチちゃんがやってくれるだけでいいよ」
「そうですか。安静にしておいて下さい」
「それでは次の人」
「ちょっと腕の骨が・・・」
「腕の骨ですか?ここですね」
ギュッ
「ギャーーーーーーー!!」
「あれ? この人寝てしまったようですね」
「それじゃ、添え木ぐらいしておきましょう」
「それでは次の人」
「ねぇ琴音ちゃん、なんでここにいるんだ?」
「はい、念動力を使った後疲れるので栄養剤を貰おうと思って。
 梓さんはどうしたんですか? 殺しても死にそうもないんですが・・・」
「いいかい琴音ちゃん。この体を維持するのにはこまめに健康診断して
 おかなきゃいけないんだよ」
「そうでしたか、かおりさんがいないので今のうちに違う人と仲良くなろうと
 したんですね」
プルプル
「なんだってぇ琴音ちゃん」
「いえ、梓さんの心を語ったまでです」
「ほぉ、そんなこと言う口はここか!」
「ほぇ そほぉんなほろ」
「こらあなた達何してるの!」
「「綾香さん」」
「弛んでいるわよ! まったく」


「えっ?なんだって。どういう事だ?」
「だ・か・ら これ以上艦内の風紀が乱れる事は・・」
「あかり、何か乱れてるか?」
「砂糖に群がる蟻 かな?」
「あかりさん」
「綾香さん、ただ単に珍しいだけやで。時間が経てばなんとかなるんやないか?」
「まっ、そういう事だから。綾香もマルチに診てもらったらどうだ?
 マルチはドジだからなぁ 怪我するかもしれないな。
 でもマルチは見ているだけでも心が安らぐなぁ。
 マルチだけじゃないぞ。
 あかりは家庭的な所
 委員長は鋭いツッコミ」
「藤田君。そんなにツッコミを入れて欲しいなんて言ってくれれば・・・」
「琴音ちゃんは一途な所」
「藤田先輩」
「綾香はグラマーな体と俺のサポート。
 まぁ背中を安心して任せられる相棒かな」
「もう、話しをはぐらかすんだから 浩之ったら」


「はい、OKです。異常ありません」
「はぁ皆さん、マルチさんに集まっていますね」
「千鶴姉しかたないよ。純粋無垢なマルチを見てロリコン派が黙っていないよ」
「皆さんロリコンなんですね。でも私は耕一さんだけで・・・」
「よろしいでしょうか?」
「なんでしょうか」
「何の用?」
「お二人の健康管理の為、血液採取させて頂けませんか?」
「血液採取ですか」
「ちょっとだけお願いします。それでは始めますね」

( この人達は鬼の血を引く人達ですね。 
  少し調べておきましょうか          )
 
 ・
 ・
 ・
「どこがちょっとなんだ? 千鶴姉」
「私に聞かないで 梓」
「二人とも大変なお仕事ですね。浩之さんの元で働けるなんて」


「浩之ちゃんどこへ行くの?」
「おう、マルチにでも健康管理してもらおうと思ってな」
「そう、医務室ね」
「いいや、もっと健康にいい所だよ」
「浩之ちゃんいったいどこなの?」
「昼風呂だよ。一番健康的だからな」


「失礼します。このたびトゥハートの看護兵として着任したマルチ伍長です」
「白衣の天使のようで綺麗ですね」
「楓お姉ちゃん、みんなが騒ぐのが分かるね。
 ところでマルチちゃんどうしたの?」
「皆さんの健康管理のためカルテを作りに来ました。
 その方が浩之さんの為になりますから。
 お二人だけですか?」
「あっちに耕一お兄ちゃんがいるよ。耕一お兄ちゃーん」
「初音ちゃんどうしたんだい?」
「うん、マルチちゃんがカルテを作ってくれるんだって」
「そうだな。じゃ作ってもらおうかな」
「それでは始めますね」
ピタ ピタ ピタ
「くすぐったいよマルチちゃん」
「動かないで下さいね 耕一さん」

( 何か嬉しそうに見えるんだけど・・・。
  耕一さんには私がした方がよかったかしら

  耕一お兄ちゃんがデレデレしてる。
  千鶴お姉ちゃんに後で知らせなきゃ             )


ピ ピ ピ
「こちらマルチです。セバスチャン様、浩之さんを確認しました。
 クルーには、綾香様、あかりさん、琴音さん、保科さん、長瀬主任、
 鬼の一族が搭乗しています。この中では浩之さんを連れてくるのは難しいです」
「よし、こちらで策を考える。そのまま続けろ」
「はい、分かりました」

( んー、綾香様や鬼の一族がいるとなるとそう簡単には連れて行けないな。
  だが、芹香陛下の為にはここは泥を被るか              )

「藤田浩之待っておれ!」