『The Swinging Star』 投稿者:あんB
  Twinkle, twinkle, little star,
  How I wonder what you are!
  Up above the world so high,
  Like a diamond in the sky.

  When the blazing sun is gone,
  When he nothing shines upon,
  Then you show your little light,
  Twinkle, twinkle, all the night.

  Then the traveller in the dark,
  Thanks you for your tiny spark,
  He could not see which way to go,
  If you did not twinkle so.

  In the dark blue sky you keep,
  And often through my curtains peep,
  For you never shut your eye,
  Till the sun is in the sky.

  As your bright and tiny spark,
  Lights the traveller in the dark, 
  Though I know not what you are,
  Twinkle, twinkle, little star.

                 ***

 トゥインクル・トゥインクル・リトル・スター。

 ――わたしの一番大切な、きらきら輝くお星さま。

 わたしの、道しるべ。
 わたしの手を、そっと引いてくれる人。

 『彩のやりたいことを、やってごらん』

 …和樹さん。

 あなたが、そう言ってくれるから。
 ひとりポツンと俯き気味に黙り込んで、寂しく本を売ってたわたしに、ひとすじの光を
与えてくれた、わたしを新しい始まりへと導いてくれた、あなたが。


 今までずっと、ひとり膝をかかえて沈んでいた、わたし。

 …でも。

 何かが、変わる。
 何かが、変わっていく。
 何かを、変えていく。

 …そんな、はじまりの時。


 ――ちいさなちいさな夢を、形にしていこう。

 いろいろ、迷うことも、悩むことも、あるけれども。
 でも、あなたが、居てくれるから。

 …きっと、大丈夫。

                 ***

 トゥインクル・トゥインクル・リトル・スター。

 ――暗い暗い闇の中に見つけた、ぽつりと光る、わたしのちいさなお星さま。

 今はまだ手の届きそうにない、遠い遠い星。
 わたしの夢、わたしの目標…。


 ナーサリー・ライムズ。

 子守唄、物語、数え唄、なぞなぞ、早口言葉、古くから伝承されてきた童謡。
 ちいさな子供が、最初に出会う絵本。
 英語の語感やリズムを身につけるための、大切なバイブル。

 …でも、子供たちだけのものじゃない、お話たち。

 文学作品のモチーフ。
 新聞・雑誌、広告の見出しや文章。
 映画の台詞や題名、音楽の歌詞。

 …英語文化の血や肉として、そんな所でも、とても広く使われているんです。

 はじめて、手に取る本。
 その一句一句に親しみながら、自分の中に新しい世界が広がっていく本。
 お父さんお母さんと一緒に読み、そして自分がお父さんお母さんになったとき、子供に
一緒に読んであげる本。
 大人になっても忘れられることなく、誰もが持つ共有の記憶、「心のふるさと」として、
日常生活でも広く用いられたりする本。


 …和樹さん。

 そんなお話を、わたしも書きたいって思うんです。

 大好きな人と、一緒に読めるような。
 一生ものの、大事な思い出になるような。
 大人になっても、自分の心の一部になって残るような…。


 トゥインクル・トゥインクル・リトル・スター。

 …今はまだ、手の届かない星。
 でも、少しずつでもいい、ゆっくりゆっくりでも、いい。
 わたしの星に向かって、歩いていこう……。

                 ***

 そして。

 …いつもより高く、そしてとても青い、今日この日の空。
 さんさんと降り注ぐ初夏の陽射しに、よりいっそう眩しく輝く、純白のドレス。

 チャペルの、澄んだ音色の祝福の鐘。

 恋人たちが、生涯を共にしあう儀式。
 神の前で、永遠の愛を誓い合う儀式。

 ――いつの世も、女の子がピュアに夢見る、素敵なフェアリーテール。


 今日、この日のための、特別なドレス。
 純正統派、プリンセス・ラインのオリジナル・ウェディングドレス。
 レースを幾重にも重ねた、ボリュームのあるスカート。
 上質なシルクサテンにレースを重ね、胸元にはパールを1つ1つ手で縫い込んで、
花柄の刺繍レースで飾られた、清楚で、可憐な雰囲気のオフショルダードレス。

 アップにした髪から淡く透けるヴェールヘッドドレスを垂らし、アクセサリーには
輝くティアラとパールのネックレス、イヤリング。
 髪にさしたフラワー、肘まで覆う長いシルクの手袋、素敵な生花のブーケ。


  Something old, something new,
  Something borrowed, something blue,
  And a penny in her shoe

 ”古いもの、新しいもの
  借りたもの、青いもの 
  そして靴の中には1ペニー”

 ――『結婚式の日に、4つのSomethingを身につけた花嫁は幸せになれる』

 「過去」と「未来」、「現在」、そして「清純」を意味する、4つのサムシング。
 古くから語り継がれてきた幸せのおまじない、花嫁さんたちの素敵な言い伝え。

                 ***

 …和樹さん。

 病めるときも、健やかなるときも。
 その身が、天界に召される時まで。
 貴方を永遠に愛すると、誓います。

 あれから、もう6年。…本当に、いろんな事が、ありましたね。
 そして、そんな事を乗り越えて、今、わたし達はここにいます。
 これからも、ずっと――



 トゥインクル・トゥインクル・リトル・スター。

 ――わたしの星は、今、ここにあります。


                 <Fin>

=======================================

(※ナーサリー・ライムズ(Nursery Rhymes)とは、『マザー・グース』(Mother Goose)の
 英国的な呼び方です)


http://member.nifty.ne.jp/AMB/