「H大好きっ」 投稿者: あんB
【Caution】※18禁…かもなぁ(爆)
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 「はぁ……はぁ…………う……うっ……」

 ――浩之ちゃん、気持ちいい?

 ――じゃあ、もっといっぱい、して…あげる。

 すらりと伸びた白く細い指先に、赤いマニキュア。
 ルージュが彩る、可憐な唇。ぺろっと柔らかな、ちいさな舌。

 全部を、使って――浩之ちゃんを、優しく、激しく、”愛して”、あげる。

 「あ、あかり……お、俺…もう……」
 「うふっ………ね、お口の中に・・・・いっぱい、出してね」


 今夜も……いっぱいいっぱい、浩之ちゃんを、”歓ばせて”、あげる――



 ―――がばっ!!


 夢。
 夢を、見てた。
 ……すっっっごく、えっちな夢。

 夢から覚めて、はじめて「あ、夢だったんだ…」ってわかる、夢と。
 夢の中でもう「あ、これって夢なんだなー」ってわかっちゃう、夢。
 ――さっきの夢は、あとの方。…いや、ホントに。

 もう、『夢のような』――って、夢なんだけど――すっっごい展開で。
 …わたしから誘って、自分から服、えっちに脱ぎ脱ぎして『誘惑』しちゃうし。
 …浩之ちゃんベッドに押し倒して、じーとお口でファスナー下ろしちゃったり。
 そ、それにそれに―――はうううぅ。


 ――そ、それにしても。
 あんな夢見るなんて、もしかして、わたしって『えっちな女のコ』なのかなぁ…?

 ……かああああぁ。(真っ赤)


               『H大好きっ』


 ちっく、ちっく、ちっく。
 わたしの枕元で、かすかに時を刻む、目覚まし時計。
 …休んだりしない、乱れたりしない、ちいさく規則正しい、針の音。

 いち、にぃ、さん、しぃ、ごぉ。ろく、しち、はち、きゅう、じゅう。
 …60まで数えたら、暗闇にぽおっと光る秒針が、ぐるりと1回転。

 「ん・・・・・」

 枕元でグリーンに光る針は、午前2時38分。
 …さっき見た『”とっっても”えっちな夢』の余韻に、身体に広がる、火照るような
熱っぽさに、なかなか寝付けないわたし…。

                 ***

 それにしても。

 …わ、わたし、どーしてあんな、えっちな夢見ちゃったんだろ?
 いわゆる『よっきゅーふまんの証拠』とか、『内なるがんぼーの表れ』、なのかな?

 ――わたし、浩之ちゃんに「あんな事」とか、してあげたいのかな?
 ――わたし、浩之ちゃんに「あんな事」とか、されちゃいたいのかな?

 ……きゃうううぅ。(赤面)


 でも…わたし、お洒落なガーターベルト、してたよね。……夢の、中で。
 下着も黒のセクシーなレースのしてたし、綺麗な白い肌に、色っぽい、すらっとした
手足だったし。
 ちょっと長く伸ばした艶やかな髪の毛に、きゅって引き締まっててかっこいいお尻、
柔らかくて”おっきい”、モデルさんみたいなきれいな胸。

 子供っぽい今のわたし……と、ずっと大人びた姿の、アダルトなわたし――。
 やっぱり、ちょっと『願望』も、あるのかも……うん。


 わたしも、ガーターとか、ビスチェとか、ウエストニッパーとか、綺麗で華やかな
インポートランジェリーとか、つけてみたいな……とか、思うし。
 ……そーゆーお洒落なのが似合う、魅力的な女のコに――オンナに、なりたいよね。

 清楚でやさしいホワイトが似合う、そして、シックで上品なブラックもよく似合う、
そんなひとに。


 ――なりたい、よね。

                 ***

 ちっく、ちっく、ちっく。

 …にじ、ごじゅう、いっぷん。
 身体が、ずっと火照ってる。胸が、ずっとドキドキしてる。

 耳から入って、頭の中でいつまでもちくたく鳴って耳に付く、ちいさな針の響き。
 …デジタルの目覚まし時計なら、こんな事にイライラしなくていいんだろうけど。

 ――でも、「あと5分〜」ってうとうとまどろむ朝は、やっぱりアナログがいいな。

 ちっく、ちっく、ちっく。ちっく、ちっく、ちっく。


 「ん・・・・・」

 人差し指、お口にくわえて、軽く噛んで。


 「ひろゆき・・・ちゃん・・・」

 枕に吸い込まれていく……声にならない、ちいさなちいさな呟き。
 …言葉じゃ伝えられない、胸のあたりがキュンっと締め付けられるような、この想い。
 あなたに伝えられなくって、もどかしくって、苦しくて、せつなくて……。

 …どんなに愛しても、どんなに愛されても、まだまだ足りないって、思ってる。
 だから――夢の中で、その足りなさを埋め合わせようって、その続きを探してる。


 昨日より今日、今日より明日。
 ――もっともっと、まだまだ、たくさん、いっぱい、あなたを好きになれる――

                 ***

 「んっ・・・・・」

 ――さっきは、浩之ちゃんのを……こんなふうに、して――あげてたんだ、よね。
 こうやって、口に含んだり、舌や唇で………そう、こんな・・・感じ・・・。


 ひとり、ベッドの中で。
 目を閉じて、自分の指で、あの夢の記憶を、あの夢の続きを――


 「ん……ふっ………」

 無意識のうちに、脚を堅く閉じ、ぎゅっと両膝を擦り合わせて。
 パジャマに手をかけ、震える指先でボタンをひとつ、ひとつ、外していく。
 ――寝るときはね、ブラジャー、してないの。

 クリーム色のパジャマの下の、色白で、甘く柔らかな、胸のふくらみ。
 唾液で十分に潤った指先が、意識せずに、滑るようにその頂点に、辿り着く。

 「……ぁ………ひ…ひろゆき、ちゃん・・・っ…」

 身体の奥深くから、じんわりと泉のように沸き上がってくる、甘美な、秘密の歓び。
 細い指先が、自分の感じる部分を、「女」の自分を、ゆっくり目覚めさせていく…。

 「あ…、あっ……」

 鼓動が高ぶり、吐息が熱を、切なさを帯びていくの――

                 ***

 …ベッドの中で、パジャマのズボンとショーツ、重ねたまま膝まで下げて。

 焦れたように、待ちかねたように――すらりと伸びたわたしの白い手が、ゆっくりと
わたしの両脚の間、脚の付け根へと…。

 「…んっ……あ…………」

 ――わたしの、「女」の部分。
 ざわざわした茂みの下、くちゅっ…と指先に感じる、熱く濡れた、滑らかな感触。

 …いっぱい、感じているしるし。
 …とっても、高まってるしるし。
 ……わたしの、えっちなしるし。


 ちゅ、くちゅ…と、指をゆっくり前後に動かし、指先で一番敏感なところを転がす。

 「…くぅんっ!」

 身体に感じる、痺れるような、弾けるような、強い強い快感。
 ――そして、それとは別に胸に感じる、甘い甘い、切なさ…。

 頭の中が、ふわふわって、真っ白になっていく。
 わたしの意識の全てが、指先で触れられている部分に集中し――わずかな刺激も敏感
に感じ取り、びくんびくんと反応する。


 ふたりの、わたし。

 ――快楽を抑えようとする、理性のわたしと。

 ――理性を壊そうとする、快楽のわたし……。


 「ふっ……ふぁ………ああ……」

 ――快楽のわたしが、わたしに懇願するままに。
 濡れた指先を、ゆっくりと、熱く潤う「わたし」の内へ、差し入れる――

                 ***

 「あっ…いっ……!」

 右手の中指が、熱く、きつく、滑らかなものに包まれ、締め付けられる感触。
 ……白く眩しい閃光が、ぱちん!と、フラッシュのように頭の中で弾ける。

 「…は………ぁ………」

 突起を刺激しながら、ゆっくりと、そして次第に速く、指を中で動かす…。

 …前後に。
 …左右に。
 …また前後に。
 …奥まで。

 次第に激しく動く、指先……頂点に向かって、自分を攻め続け、追い上げて……。

 「う……っ、うん………。………く………ぅん…………」

 押さえきれない切ない喘ぎ声が、静まり返った夜の部屋に、吸いこまれていく――


 「やあ……あ、あっ………ひ、浩之ちゃん、ひろゆきちゃぁん……!」

 嫌々をするように頭を振り、髪を振り乱しながら、ひとりで自分を追いつめてゆく。
 えっちな水音と共に、ぎゅっと背を反らし、腰がびくっびくっと何度も跳ねて……
「わたし」が、びくっびくっとわたしの指をきつく締め上げ、熱いものを迸らせる…。

 …その熱い間隔が、どんどん短く、激しくなっていく。
 つま先がピンっと張りつめ、全身ががくんがくん、っと大きく震えて――


 ―――っ、もうっ、………もう………ダメ………っ!!


 「………あぁぁ…………っ………!!」

                 ***

 ――頭の中が、真っ白になる。
 全身が、甘い甘い蜜になってとろけてしまいそうな、不思議な感覚。

「………ぁ………、ぁ………」

 はぁはぁと荒い呼吸、全身を覆う快楽の余韻の、かすれたような小さな声…。



 ――やっぱりわたしって、『えっちな女のコ』なのかな?

 そう。

 もっともっと、浩之ちゃんを愛したい、浩之ちゃんに愛されたいって、思ってる。
 ……で、夜中にえっちな夢を見て、ずっと悶々として、我慢できなくて…。


 「ひろゆき・・・ちゃん・・・」

 ――ほろりと頬を伝い、枕にこぼれ落ちる、ちいさな涙。


 わたしをこんな、不安定な気持ちにしちゃってるのは、他ならぬ――あなた。

 …でも。

 それ以上に、わたしを幸せな気持ちにしてくれるのも、他ならぬ――あなた…。

                 ***

 「ん・・・・」

 身体を覆う、心地よい疲労と幸福感。
 まどろみのなか、うとうと夢見心地のまま、ごろん…っと、寝返りひとつ。


 そういえば。

 ――「夢を見る人」が「夢に出て来る人」を想うから、その人を夢でも見ちゃうの?

 ――「夢に出て来る人」が「夢を見る人」を想うあまり、その人の夢枕にも立つの?

 ……どっち、なのかな。…ねぇ、浩之ちゃん――。



 すやすやベッドの中で今夜も見る、あなたとの甘い夢。
 恋する、キモチは――寝ても覚めても、わたしの瞼に、そっとあなたを映し出す――。


 ―――ひろゆきちゃん、だーいすき……――――



             ・
          ――『Hiroyukiちゃん大好きっ』――


               <おしまい>
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【PostScript】

 3ヶ月ぶりでございます。
 ……ああ、なんかまた人としての道を踏み外したような気が(爆)

 タイトル:「H大好きっ」
 コメント:題名そのまんま(爆笑)
 ジャンル:らぶらぶ/東鳩/あかり

 『H大好きっ』とは『Hiroyukiちゃん大好きっ』の略でしたー…って、
 これじゃ言い訳になってないような気が〜(爆)
 …ちなみに、北海道には同名の深夜TV番組があります。いやマジで(笑)

http://member.nifty.ne.jp/AMB