大阪猫ゴハン 投稿者: あんB
注:題名は、モーニングに掲載されてた『大阪豆ゴハン』のもじりです。
  ……いや、内容とじぇんじぇん関係ありませんが(苦笑)
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 ――春。

 厳しかった北風が、優しい南風に変わり。

 太陽のよーく当たる暖かい場所が、ぼくたち猫さんの、心地いい居場所になる――

              。。
              ○°『大阪猫ゴハン』


 学校の中庭の、ベンチの上。
 …この学校に居着いてるぼくの、お気に入りのうたた寝場所。

 校舎の中で、みんなが(…そうじゃない子もいるけど)一生懸命、お勉強してる頃。
 …その頃ぼくは、ぬくぬくなベンチの上でまあるくなって、おめめとろーん……

 ――春って、どうしてこうねむねむになっちゃうのかにゃあ……Zzzz……。


 ぐぅぐぅぐぅ、すやすやすや……。

 ふわふわ雲さんがぷかぷかと流れる、どこまでも広がる澄んだ青空の下。
 穏やかな時間、平和な安らぎ――お日さまさんさん、そよそよそよ風。

 ぼくはくーくー、………はらぺこおナカが、ぐぅ〜〜。


 …ん……おナカすいたぁ…。

 ――じゃ、お昼ご飯にしよっと!

              ***

 き〜んこ〜んか〜んこ〜ん……って、お昼休みのチャイムが鳴るとね。
 今日みたいにお天気のいい日は、みんながわいわいとお外でお昼ご飯食べに、
ここ中庭に出てくるんだ。

 …ぼくのお目当ては、かわいい女の子達が賑やかにお弁当広げてるところ。
 そこに「ねぇー、ごはんちょうだい〜」って、にゃあにゃあと甘え声で寄ってくとね、
「かわいいー!」「おなかすいたの?」って、お弁当のおかず分けてもらえるのっ。

 白身魚のチーズ焼き、たこさんウィンナー、一口サイズのベビーオムレツ。
 …人間さんの一口ぶんは、ぼくたち猫さんには何口になるのかな?


 ――え、男の子?

 だってぇ、男の子は女の子よりお弁当箱ずーっとおっきいくせに、ぼくにあんまし
おいしいのくれないんだもん、ぷんぷんっ。
 美味しいおサカナの…頭と骨だけとか、カツサンドの…レタスの葉っぱとか。
 ……もぉ、けちー!!


 そんな男の子はプイって放っといて、優しい女の子の前で、ちょこんってお座り。
 そして、はーいっ…ってお弁当分けてもらったら、ぼくちゃんと「ありがとぉ!」って
頭ひょこっと下げるんだよ、礼儀正しいでしょ?

 はぐはぐはぐはぐ………んー、おいしいおいしぃー!!

 …でも、ねぇねぇ、そうやってよいしょっとぼくの前にかがみ込んで「おいし?」って
してると、短いスカートからぱんつ見えちゃってるよぉ、えへ。

              ***

 女の子のとこに行くのはね、おいしいおかず分けてもらえるからだけじゃないの。
 …だってね、ぼくが「おいしー!」って喜ぶとね、うふふって優しく頭なでなで…って
してくれるんだもん。

 ぼくたち猫さんにとっても優しくしてくれる、とっても心優しい人に。
 そっと抱っこしてもらって、柔らかな胸の中で、ぱふぱふぱふ、ごろごろごろ…。
 …ぼくにごはんくれる優しい人、みーんなぼくのお友達。

 「よしよしっ」ってなでなでしてくれるかわいい手から、優しさが伝わってきて。
 ……たからぼく、なぁおぅ……って、おめめ細めてうっとりしちゃうんだ。


 ぼくたち猫さん、人間さんに頼らないと生きてけない…なんてこと、ないんだけど。

 おナカすいたら、ネズミとかスズメ捕まえちゃうし。
 独立心旺盛で、放っとかれてもすぐ野生に戻れるし。
 寒いところでも暑いところでも、どんな環境にもすぐ適応して生きていけるし。


 ――ぼくたち猫さん、1人(1匹?)でも、ちゃんと強く、逞しく生きて行けるの。

 ――でも、人間さんに優しくしてもらう幸せも、共に生きる喜びも、知ってるの――

              ***

 翌日。
 ぼくたち猫さん、タンスの上とか塀の上とか、高いところスキ。
 …でもね、縁の下とか、暗くて狭くて静かで暖かいとこも、大好きなんだっ。
 ぼく暗くてもおめめぴっかり光るから、大丈夫なんだよぉ……あれれ?

 「…ちっちっちっちっち……おーい、ネコやーい」

 ……にゃ?ねぇ、ぼく呼んだ?――なーんだ、男の子かぁ、ちぇっ。

 「……」

 …え、怖くしないから、こっちおいで、って?……はーい!!
 とっても可愛い女の子には、にゃんと愛想良く……だって、ぼく男の子だもーん。


 にゃあにゃあと擦り寄ると、よいしょっと抱っこしてくれて。
 胸の中でごろごろごろ、嬉しいなぁ……ってしてたら、なでなで…って、ぼくの頭を
優しくなでてくれて。うーん、気持ちいー。

 ぼくの頭の上でさらさらっと流れる、とっても綺麗な長い髪の毛。
 ……黒猫のぼくと、おんなじ色だねっ。

 なでなでなでなで………ぼくの中に広がる、何とも言えない、この幸せなキモチ。
 仔猫になった気分で、柔らかおっぱい前足でふにふにふに、しっぽの先ぴこぴこ。


 「なんだよ……可愛くねーネコ」

 …うるさーい!!

              ***

 ――春。

 …ねこに、うってつけの季節。

 そして……新しい、出会いの季節――。



 (――ところで、『生贄』って、なぁに?)


              <おしまーい>
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【PostScript】

 芹香シナリオの『中庭に住み着いた黒猫』さんのお話です。
 …道産子のσ(^^)には「関西弁喋りのねこ」は書けませんでした(汗)

 ぽかぽか暖かい平和な中庭で、ごろごろのびのび……とっても幸せな猫さん。
 「Oh!BlackCat……Let's Huntingネ!」「……いやああああぁぁ〜ん!!」
 ……あんまし平和じゃないか、あそこは(^^;)

 久々野 彰さん、sphereさん、NTTTさん、takatakaさん。
 くまさん、たろすけさん、貸借天さん、『きみといっしょ』に感想感謝です(^^)

 今回は「猫の可愛さ」を追求してみました(「可愛くない猫」なのにね>浩之談)


 それでは(^^)

 タイトル:大阪猫ゴハン
 コメント:中庭に住み着いた黒猫さんと、来栖川センパイとの出会い
 ジャンル:ほのぼの/東鳩/黒ねこ

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