夏夜の行進曲(きづあと) 投稿者: ウィル(YOU)
 夏、俺達、俺と柏木姉妹はこの辺りの盆踊り大会に来ていた。
「ふう、まったくかわんないな〜毎年毎年同じものばっかり、そりゃ楽しいけど
たまには趣向替えしてほしいよな」
隣で梓がそんなことをぼやいていた。
「ま、いいって、今までそうやってきたのが急に変わったりなんかしたら寂しい
だろ」
「ほら、せっかく来たんだから楽しもうぜ。初音ちゃんたちなんか・・・・
って、千鶴さんまで」
俺達の視線の先には、はしゃぐ子供たちにまじって夢中で花火をやっている千鶴
さんの姿があった。
「俺達はどうする」
「う〜ん、あっちのほうで踊ってよっか?」
こっちが恥ずかしくなるぐらいにはしゃぐ千鶴さんから逃げるように、俺達は
櫓の方へと向かった。
・・・でも、はしやぐ千鶴さんもかわいいよな・・・
「あ〜ん、あっちのお姉ちゃんが、はなびとったあああっっ!」
・・・・・・・・・・・・前言撤回、とるなよ子供の花火・・・・・・
そして、祭りはなにごともなくすぎていくかのように思われた。しかし、それは
すこ〜し、甘かった。
「おらおらおらおらおらっ」
めちゃ、気合いの入ってる太鼓と共に、そんな声が聞こえた。
やぐらの上か・・・?
千鶴さん・・・・・・・
しかも、上半身が少しはだけてる。酔ってるなありゃあ。
それをおれが止めに行こうとしたときだった。
突然、周りの空気が下がった。
・・・・・まじかよ・・・・・
おれは千鶴さんの方をあおぎ見た。しかし、千鶴さんはまだトランス状態のま
まだ。あの、鬼になったときの冷たさは感じられない・・・・
・・・・誰だ?このなかにおれたち以外の鬼が・・・・・
そう思ったときだった。
「ちょうしにのってんじゃねぇ〜ちぃづぅるうぅぅぅっ」

どぐあしっっっべきべぎぼぎぼぎべくぼぐっっっ

いきなりやぐらが、爆砕した。 
「なっ・・・・」
崩れ落ちた木材が、大量の土煙を舞い上げる。
夜風にその煙がゆっくりと流され、そこに立っている人影がみえた。
・・・・・・・・楓ちゃんだよ・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しばらく、おれは固まっていた。そして、俺の硬直を解いたのは、木材を素手で
はねのける千鶴さんの姿だった。
辺りの温度がさらに下がった。
「楓ぇ・・・・・・」
「ちづるぅ・・・・・・・・」
「お〜い、二人ともやめてくれえぇぇっ」
俺は無駄と知りつつも、そう呼びかけてみた。
すでに目がいっている。とても、人の話を聞ける状態とは思えなかった。
しかし、以外にも、二人はあっさりとこっちを向いた。
・・・・・あれ、おとなしい?・・・・・・・・・
「じゃまするんじゃねええぇぇぇっ」
「目障りです」
・・・・・・・・・・・・全然おとなしくないっ!
二人が、こっちに向かってきた。
「だああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ」
おれはとっさに鬼の血を動かして体を強化する。

ばしゆゅゅゅぅぅぅっ。

天地が3回ぐらい回転して、おれは夜店につっこんだ。
う〜、金魚が口に入った。水が・・・・・
そのとき、
体にかかっていた水が凍り付いた。
辺りの温度がまた下がったのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・かんべんしてくれょう・・・・
俺の顔は、ほとんど泣き顔だっただろう。 自分でも涙がでてくるのがわかった。
起きあがると、そこはすでに戦場だった。
千鶴さんはなにものおも切り裂く爪で、楓ちゃんは目から出す光線でたちむかっ
ていた。
エルクゥに目から光線っていう特技あったっけ・・・・
そんなことを思っている合間にも、祭りの会場は爪から生まれるかまいたちと、
楓ちゃんビームに6割方破壊し尽くされていた。
「お兄ちゃん!」
初音ちゃんがこっちに駆け寄ってきた。
「初音ちゃん!よかった君だけはまともみたいだ」
俺は初音ちゃんを抱きしめた。
どうやら、三度目の温度下降は梓のやつだつたらしい。
「ふふふふっ、おに〜いちゃ〜ん〜」
急に初音ちゃんが笑い出したかと思うと、その髪が舞い上がり、金色に近くなって
いくのがわかった。
「ばいばい」
顔を上げた初音ちゃんは、千鶴さん達と同じ血の色の眼をしていた。
そして、にゃっと笑ったのだ。

・・・・・・・・・・俺がいったい何をした・・・・・・

そして、俺はまたも、吹き飛ばされた。今度は鬼の力のガードなしで・・

ってぇ、・・・・・
体のあちこちがぎすぎすする。またも、おれは屋台に叩きつけられたらしい。

それにしても、あの姉妹って酒癖悪かったんだな・・・・・・・
んなことを考えながら、眼をあけると梓の顔があった。
「よかった、目が覚めた・・・・・」
「お〜、梓か、って、おいっ!」
突然梓が俺の胸の上につっぷして、顔だけこっちに向けてきた。
「よかった、心配してたんだよ。いつまでたっても、目、さまさないからさ」
そういいながら、俺の顔を手でそっとなぜる。声も艶めかしい。

・・・・・・・・・・い、嫌すぎる。梓にしては色気がありすぎる。
おれは全身に鳥肌がたつのを覚えた。
「ねぇったら、ねぇ〜」
「だああああああああっっっっっ」
おれはたまらず、あずさをほうって、走り出した。
「ああんっ、まっとくれよっ」
ぞぞぞぞっ     またしても、鳥肌、
走って、梓の声の届かない所まで来ると、何の因果かそこはあのやぐらのあった所
だった。
「この、偽善者、偽善者、偽善者、偽善者、偽善者、偽善者、」
「ぺちゃぱい、ぺちゃぱい、ぺちゃぱい、ぺちゃぱい、ぺちゃぱい、」
とても、酒でろれつが回っているとはおもえない発音だ。しっかりしている。
そんな会話をこの千鶴さんと楓ちゃんは続けていた。
「何、てめぇねんちょーしゃだからっていばってんじゃねぇよ!」
「なんですって、き〜!」
そうして、またさっきのように打ち合う、爪と楓スペシャル(目からビーム)で

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
おれは両手を地面に付き頭をガクッっとたらした。
ぽんっ
誰かに肩をたたかれた。振り返ってみると、初音ちゃんだった。
・・・・・・・目が赤い・・・・・・・・・
おれはふか〜いため息をつくと、目をつぶった。

それから30分ほど、ふっとばされては追いつかれて、また、ふっとばされるを
繰り返した後で俺はやっと解放された。
初音ちゃんは、近くでなっているパトカーのサイレンにつれられて、どこかへい
ってしまった。
まあ、銃声とか、なにかが炎上する音が聞こえるが、気にしないことにしょう。
・・俺も、今日一日でおおらかな性格になったものだ・・・・
「ほら、嫌なときはこれでも飲め」
いきなり目の前に一升瓶がつきだされた。
そうだ、おれも飲んでしまえばいい、そして、狂ってしまえばいいのだ・・・
そう思い、差し出された一升瓶をごくごくと一気に飲み干す。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・う〜きたきたっ
って、そういえば、これをくれたのは・・・・
振り向いてみると、そこには手を振って、「ハアィ?」などとほざく柳川がいた。

そして、俺はこの過酷な現実からの逃避を果たしたのだ。
意識を失うことによって・・・


 朝、目が覚めると、いつもの柏木家の客間にいた。
「ん・・・・」
誰もおこしに来ない?不思議に思って居間へと向かう。
その途中で、俺は昨日のことを思い出した。
「そういえば・・・どうなったんだ・・・」
居間にはいると、柏木姉妹全員が、こわばった顔でおれを迎えてくれた。
「あ、おはよう・・・」
なんか、挨拶がかけにくかった。
「おはようございます」
「あ、わたし。お買い物行って来る」
「朝顔の観察日記つけないと・・・・」
「墓地の散歩に・・・・・」
そういって、下の3人は部屋を出ていき、居間には千鶴さんだけが残った。
なんか、みんな顔が赤かったが・・・・・・・
「いったい・・・・・・」
「そ、それは・・・・・・」
千鶴さんは顔を赤らめていた。
「おれ、なにか、しました・・・・・・・・あのあと・・・・・?」
「そ、そんな、とても、口には・・・・・・」
「えっ・・・・・・・」
「あ、でも、あんなことしたんですから。責任はとってくださいね。一人で結構
ですから」 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いったい・・・・・・・・・・・・・・・
聞くのが怖くて、おれは、しばらく、そのことについてふれることができなかった
。

あの後、おれがあの薬入りの酒を飲んで、フアミリーの人全員に、プロポーズし
、唇を奪ったということを知るのは、それから一ヶ月もあとのことだった。

あぶない、あぶない                
                            60l
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みなおしなし、で、かいたやつですので、かなり、不安定なしろものです。
すいません・・・・あと、読んで下さって、ありがとうございます。
あとあと、YOUからウィルに社名変更いたしました。
こちらの諸事情です。 
あと、作品(なんてよべるしろものか、これがぁ)に対しての文句、苦情などあ
りましたらメールでおねがいします。