進め!柏木フアミリー 投稿者: YOU
「どうしてこんなことになっちゃったんでしょう・・」
千鶴さんがそうつぶやいた。
俺達の前には、累々としたエルクゥたちの死体が転がっていた。
「まだ・・・死んで・・・ごふっ、げ〜ほげほげほ」
おお、苦しみながらもつっこみを入れてくるとは、なかなか芸人根性のある奴め。

そう、そのエルクゥの言う通り。彼らは死んではいなかった。 ただ、その苦しみは死ぬことの比ではないだろう。
集団食中毒(みたいなもん)だった。

すべては、エルクゥの船が、救難信号を受け、この星に来たことから。全ては始まった。 
戦うのは極力避けたい。
そう思った俺と柏木姉妹は、とりあえずフレンドリーに彼らに迫ってみた。
そしたら、以外にも彼らはあっさりと俺達を受け入れたのだった。
俺は梓とともに、奴らの大将をペテンに・・もとい、説得し。地球から、早々に立ち退かせるよう働きかけていた。
 全てはうまくいっていた。 これまでは・・

食事当番
これがくせものだった。 千鶴さんが「やる!」と言い張ってしまい。 なにを思っていたのか俺はそれにオーケーしてしまったのだ。
一応アシスタントとして、ついていたものの、できた料理は、人間より抵抗力のあるはずのエルクゥたちをも一杯で倒してしまうほどの威力を誇っていた。
「やっぱり、あの緑の調味料がいけなかったんじゃあ」
「え、でも、こういちさんだって、あの怪しげなサプリメントいれてたじゃないですか」
「千鶴さんだって、なんか変な瓶に入った調味料いれてたじゃないですか。どこからもってきたんです。あんなの」
「どこって、そこの食糧庫から・・・」
「あ・・れは・・薬品庫。そのラベルは・・ちょー劇薬・・だ」
倒れていたエルクゥの一人がそうつぶやいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・沈黙
「ほら、やっぱり千鶴さんのがいけなかったんですよ」
「え、ええ、そんな・・」
「今・・お前らが言ったの・・は、全部劇薬なんだが・・・」
別のエルクゥの言葉
・・・・・・・再び沈黙・・・・・・・
「おまけに、入れた薬・・・が相互干渉起こし・・・て数十倍の威力を誇っている・・・ような気が」
・・・・・・・・・・・・さらに沈黙・・・・・
「やっぱ、おまえらに・・・当番をまかせた・・のは失敗だったか・・」
『だって、エルクゥの食べ物なんかわかんないも〜ん』
千鶴さんと俺の声がハモる。
その言葉に、動けるエルクゥは何故か俺達を睨んでいた。
「まったく、たいしたものだ・・・宇宙でわれらに効く毒は2,3種類しかないというのに・・それらを越えるとは・・・」
突然、後ろから声がした。
振り向くと、おれと梓が説得していた相手、エルクゥのリーダーが立っていた。
「いや、たいしたものだよ。まったく、」
声は落ち着いているように聞こえるが、俺にはそこにかなりの怒りが含まれてい
る気がした。
「どうやら、おまえたちは我らに害をなす存在だったようだな」
リーダーの体がさらに大きくなってゆく、戦闘態勢に入ろうとしているのだ。
「ちょっ、ちょっと待って下さい。わざとじゃないんです」
千鶴さんはそう言うが、むろん。そんなことが信じてもらえるはずがない。
偶然、劇薬をいれて、偶然、それらが相互干渉おこして、偶然、宇宙でも指折り
の毒薬ができてしまったなどと、柏木フアミリー以外で信じるやつはいないだろう。
「いっときますけど、こういちさんもかかわってるんですからね」
俺の考えを見透かすように、千鶴さんが言ってきた。けっこう声に迫力がある。
「う゛っ、すいません・・・」
俺は素直にあやまった。 俺はまだ死にたくない・・・・・
そんな、会話を交わしているうちにエルクゥは戦闘態勢に入っていた。

ぐあぁぁぁぁっ

叫び声をあげてこっちに飛びかかってくる。
それをおれは鬼の力を発動させた右手で・・・・・
右手で・・・・・・・・・・・・・・・

ばしゃあっ

突然エルクゥの上から大量のピンク色の氷が降ってきて、エルクゥの体にかかった。
しゆゅゅゅゅぅぅぅっ
エルクゥの体が溶けていた。 つんっと鼻を突く刺激臭。
「ぐあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっ」
エルクゥは悲鳴を上げながら床に倒れた。 大きな振動が部屋を揺るがす
「だいじょうぶ?。お姉ちゃん達!」
上をみあげると初音ちゃん達が手を振っていた。


かくして、平和は戻った。
エルクゥ達は強制的に船ごと、本国へ送り返した。
そして、俺達はなつかしの柏木家に戻ってきた。
「ねぇ、初音。不思議だったんだけど。あのとき、なにをかけたの」
千鶴さんの一言に、食卓の空気が重くなった。
「そ、それは・・ねぇ梓お姉ちゃん」
「あ、ああ、なあ楓」
「は、はい、あのぅ・・・」
それっきり黙ってしまう楓ちゃん。
「なによ、みんな黙っちゃって」
千鶴さんがすねたようにつぶやく。しかたないのでおれがいうことにした。
「あのですね。あのとき初音ちゃん達がかけたのは・・」
「わっ馬鹿!」
「まって、お兄ちゃん!」
「それは!」
三人がおれの口を塞ごうとするが、すでに俺の口からはその答えの大部分が出ていた。
「千鶴さんのでざ・・むぐむぐ」
口を押さえられてしまう。
しかし、すぐに離された。すでに、手遅れだという事を悟ったのだろう。
千鶴さんの肩が震えていた。 部屋の温度がホントに5度下がった。
「あなたたち、わたしの作ったデザートをっ!」
このあとは、ご想像に任せよう。
それにしても、人間用の食べ物で、エルクゥ(それもリーダークラス)のをぶち倒すとは、おそるべし、千鶴さんの手料理・・・・・・
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どうも、お初で〜す。 勢いで書いた奴ですので気にしないで下さいね。
んでは!
追伸、個人的には楓かな?