逆襲のシホ 後編 投稿者: アクシズ
「アクシズ様、アクシズ様ああああ!!」
「なんナリトワイニング、騒がしい」
「こ、こ、こ、これを……」
「……これは今月号のコミック○ンボン……? …………こ、これは!!」
「そうです、そうなんですッ!!」
「ぎ、『逆襲のシャア』がこの冬プレステでゲーム化!? し、しかもこの画面は……」
「はい、この画面を見る限り、あのプレステのΖガンダムに準拠しているものと思えます!」
「期待できるな、トワイニング!」
「はい! 期待できますアクシズ様!!」
「……しかし……」
「?」
「これでいよいよ冬にプレステ買わなくてはならなくなったナリ、
チュンソフトサウンドノベル三部作も出るし……」
「いいことではないですか」
「けどなあ……」
「?」
「ドリームキャストも買わねばならんのだよナリ……」
「支出が大きいですねえ……」
「そろそろパソコンの買い換えも考えていたんだけどなあ……」
「それは贅沢ってもんでしょう梅安さん……」
「…………」
「…………」
「雪だね、彦さん……」
「鍋をつつきましょうよ、梅安さん……」
BGM:【フジテレビ、仕掛人藤枝梅安のテーマ】

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決戦の時は来た。
水泳大会は順調に進んでいる。
各クラスそれぞれに素晴らしい記録が生まれて行き、生徒達の盛り上がりも最高潮を迎えようとしている。
そして時刻はお昼時となる。
昼食後、まず最初に行われるのが、志保と智子の因縁の対決。
『どきっ! 女だけの騎馬戦大会』なのだった。
「我々の時が来たのよッ!」
2−Aの女子達を前にして志穂は高らかに演説をしていた。
「去年の大会では無様にもロンドベルの跳梁を許してしまったわ、けれど今年は違う! 
今年こそこの私の美しさと力で、見事この戦いに勝利してみせる! 
そして私は、ヒロのもとへと導かれるでしょう!!」
神の御子を抱くように両手を天に差し出す志保。
そう。
彼女の真の目的は、『いかに藤田浩之の気を引くか』、それだけであった。
その為にこの戦いに勝利する必要があったのだ。
そこに論理的矛盾が山のように立ちふさがっていても、思いこみで全てたたき壊す。
『志保の一念、岩をも通す』と言うことだ。

そして、志保とまったく同じ目的を持つ女がもう一人いた。
「藤田くん……見とってや……」
プールサイドでお弁当をつつきながら、智子はちょっと離れたところで
雅史と昼食を取っている浩之をチラと見て、そして頬を染めた。
「見事この戦いであの志保のおバカを宇宙(そら)の塵に変えて見せるで。そして二人は、
そして二人は………… ああもうあかんて、藤田くんそんな事したらあかん」
などと一人妄想しながら顔を真っ赤にして智子はイヤンイヤンと首を振る。

……所詮、同じ穴のむじなであった。

「さぁて、今年も始まろうとしています! 『どきっ! 女だけの騎馬戦大会』!!
毎年さまざまなドラマを生んできたこの戦いで、今年はどんな奇跡を我々は目撃するのでしょう!
実況はこの僕、佐藤雅史、そして解説はーー」
「うっす、おら浩之」
「の、藤田浩之。僕たち二人でお伝えします」
待機所のテントの中で、浩之と雅史はマイクに向かって喋り続ける。
「それにしても浩之、毎年なんだかんだと言われつつも続けられてきたこの騎馬戦大会、
今年の注目はズバリなんだろうね?」
「そうだな、やっぱなんつってもあの因縁の二人、志保と委員長の対決にケリがつくかどーかじゃねえの?」
あんまり興味なさそうに浩之は鼻くそをほじくっていた。
「そうだね、なんだか知らないけど……」
いいながら雅史は後ろをチラと見た。
「あの二人には、いつの間にかこんなに応援団がついているしね」
そう、そこには二人の応援団、と言うか親衛隊達が陣取り、“しっほちゃーん!!”とか、
“とっもちゃーん”とか野太い声を上げていた。
(ともちゃんて言うと、桜○智を思い出してなんかやだなあ……)
なんて事を今雅史が考えているとは誰が想像できようか?
ここだけの話だが、雅史はディープな声優ファンだった。
一番のファンは野○那智である。【深い……】

うおおおおおお……

その親衛隊達が歓声を上げた。
「あっ、いよいよ選手達の入場のようだね」
続々と入ってくる騎馬戦の選手達。
プールの右側からは、2−Aことネオジホンの一団が悠々と入場してくる。
その先頭ではヨットパーカーを身につけた志保が、親衛隊達に片手を振りつつ媚びを振りまくっていた。
そしてー

ばっ!!

そのパーカーを一気に脱ぎさる。
男達の歓声が更に大きくなった。
「へえ、今年の志保は真っ赤なビキニなんだね浩之」
「……相変わらず派手好みだよなぁ、あいつ……」
続いて反対側のプールサイドに、智子ひきいるロンドベルが入場してきた。
先頭に立つのはやはり智子。
志保と同じように着ていたパーカーをさっと脱ぎさると……
「「「おおおおおおおおおおっ!!」」」
歓声が一段と大きくなる。
白。純白のワンピース。
涼やかにして、さわやかな色香の放つ美しいスイムスーツだ。
胸元にはυ、そして肩にはシール製のタトゥーでアムロのマークが貼られていた。
「ふっ……」
智子は反対側から自分を見ている志保の様子をうかがう。
予想通り、目を丸くしながら呆然とこちらを見ていた。
さらに智子は追い打ちをかける。
「神岸さん」
「はい」
言われてあかりは手にしていたバケツ一杯の水を智子に手渡した。
そして智子は、まるで湯浴みをするかのようにそれを体にかける。

「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」」」」」」」

プールサイドの歓声は最高潮を迎えた。
透けた。
透けたのだ。
肝心なところはもちろん生地を二重にして隠してあるのだが、それ以外の部分が、
しっとりと水着が肌に張り付いて何とも言えない色香を発していた。
智子は勝ち誇った表情を志保にむける。
「ざっとこんなもんや。ビキニぐらいで人目を引こうなんざ、工夫がたりんで」
一方志保は今や完全に冷静さを失っていた。
「お、おのれおのれロンドベルめええ、なんて阿漕な真似をするのよおおっ!!」

「いやあ、これはのっけからもの凄いパフォーマンスだね浩之」
「……でもよぉ、あれじゃ結局ビキニを来ているのと変わんねーんじゃねーのか?」
相変わらず浩之はさめていた。
結局のところ、彼にとって志保や智子がどんな格好をしていてもどーでもよかった。どーでも。
「要するに、チラリズムの美学ってやつだね」
雅史も雅史で、ただひたすら淡々と客観的に実況を進めている。
こんな二人だからこそ、今回この仕事を任されたのかもしれない。

「さて、いよいよ試合が始まろうとしています」
そう。今やネオジホン、ロンドベルの両軍がプールに入ってその時を待っていた。
志保は智子を睨み付け、智子は志保にガンを飛ばしている。
四人一組の騎馬隊。
二人は当然大将として騎馬にまたがっている。
この騎馬が崩れるか、頭に着けているはちまきを取られた騎馬がその時点で敗北となり、
最後まで残っていた騎馬の所属チームが勝つという、いわゆるサドンデスルールである。
「浩之ちゃーん、雅史ちゃーん」
ロンドベルに所属している神岸あかりが実況席の浩之に対して手を振った。
彼女の来ているスイムスーツは、智子のおさがりのリガズィだった。
(……この時点で彼女の運命は決まっていたと言って過言ではない……)
と、突然浩之に劇的変化が起こる。
「……あっかりいい〜〜〜〜〜【ハートマーク】 ガンバ〜〜〜〜【ハートマーク】」
今までずっと無表情だった浩之が、一転してでれでれした表情で両手をブンブンと振る。
それを見ていた志保の瞳の奥で狂気の光が輝いたことに気付く者など誰もいなかった。
「……あかり、まずはアンタから滅殺大決定……」
そして横に並ぶ久音井かず子に命令する。
「久音井、あんたはあかりを狙うのよ。他のスイムスーツには目もくれなくていいわ。
あかりだけを確実にボロボロにしてあげなさい」
「……り、了解しました」
ひょほほと笑う志保に何か危険なモノを感じながらも
久音井は下された命令を確実に遂行することを心に誓うのだった……

パンッ!!

午後一時半、ついに決戦の火蓋は切られた。
「「るおおおおおおおおおおおおおっ!!」」
互いにもの凄い勢いで前進するネオジホンとロンドベル。とても女子同士の試合とは思えない。
「そこまでだガン○ムもどき!!」
叫びながら久音井はあかりのリガズィに向かって突進する。
「え? え?」
突然のことにとまどいを隠せないあかり。
しかしそれは天性の感か犬の動物的防衛力か、あかりは久音井の繰り出す攻撃を
片っ端からよけまくっていた。
「クッ…… こ、こいつ手強い……」
「何をやっている久音井、さっさと片を付けるのよぅ!」
志保が三つ目のはちまきを手にしながら罵った。
自分は智子との牽制もあるためにあかりにいちいち構っていられないのだ。
それに浩之の心象を悪くしないためにもここであかりに手を出すのはまずい。
「きゃあきゃあきゃあ、いやいやいやいや!!」
「こいつちょこまかちょこまかと……」
あかりと久音井の決着はいつまで立っても終わりそうにない。
「浩之、あかりちゃん凄いね」
「あいつ本当に前世は犬だったんじゃねえのか……?」
などと言いながらもいまだ顔が崩れきっている浩之。

と、その時だった。

ぱこっっ!!

「……え?」
「……なに?」
「……なんだと?」

突然、どこからか飛んできたビート板、もといファンネルがあかりの頭を直撃した。
脳しんとうを起こし、くらくらと頭を振るあかり。
「死ねッ! ガンダ○ッ!!」
久音井は突然騎馬の上に立つと、そのままあかりに対して跳び蹴りをくれた。
声も立てず水中に没するあかり。
一方久音井はというと空中で華麗に一回転して、自分の騎馬に着地した。
別に自分が水面に落ちなければ何をやってもいいのだ。
「あっ…… あかりいいいいいいぃぃぃぃいいいいいぃぃ!!」
マイクの最大音量で絶叫する浩之。そして志保に向かってー
「志保てめえっ!! よくもあかりにファンネルを!!」
今まで事をつかめずにキョトンとしていた志保が、我に返って首をブンブンと振った。
「し、知らない、知らないわよッ! あたしじゃないわよう!!」
「嘘つけッ! ファンネルを使えるスイムスーツはお前のサザビィだけじゃねえか!!」
「そんなこと言われたって知らないモンは知らないわよッ!!」
「往生際が悪いで長岡さん……」
ニヤリと笑いながら智子が会話に割り込んだ。
「クックック、ファンネルが敏感すぎたんとちゃうか?」
その時志保は気がついた。あのファンネルはこの智子の仕業だと。
そう、あかりと浩之がイチャついていたとき、智子もまた狂気に支配されていたことに
だれも気付いていなかったのだ。
「あ、あかりいいいいいっ!!」
そのころあかりはプールから助け出され、昔のアニメみたいな表現で口から水をピューと吹き出していた。
「サラダを一緒に食べるんじゃなかったのかよおおお……」
目をなるとマークにして伸びているあかりを必死に看護する浩之。
「安心してや藤田くん、あかりさんの仇はうちが必ず取るかいなあっ!」
にこやかな顔で手を振る智子。
「……こ、この策士が……」
こめかみをひきつらせて怒りに燃える志保。
「とりあえず、こっちからやあああ」
いいながら智子は久音井かず子に対してフィンファンネルを投げつけた。
「え?」
ごすっ!!
あごにカウンターヒットして、空中でくるくる回転しながらプールに落ちる久音井かず子。
そしてまるでブーメランのように智子の手元に返ってくるフィンファンネル。
「どーやー!? 見ててくれたか藤田くーん!!」
「見たぞー委員長ーーっ!! 必ず勝ってくれよなあああっ!!」
浩之は、智子がファンネルを使っていることに全く疑問を持たない。全く。
「よーし長岡さん、次はあんたや!!」




アイキャッチ。

CM、ウ○ンターヒート編。

「あずさ三四郎、あずさ三四郎、梓さんと、シロ♪」
スケートリンクで、スピードスケートの選手と共にスタートを待つあずさ三四郎。
ばんっ!!
審判の合図と共に二人とも飛び出していく。
「うおおおりゃああああああああああああああっ!!」
走る。
走る。
もの凄い勢いで氷の上を走り抜けるあずさ三四郎。
そのあまりの重量に、バキバキと音を立てて割れる氷。
「うわああああああああああッ!」
割れた氷に飲み込まれていくスケート選手。
やがて振動は柱にも伝わり、崩れ落ちる室内スケートリンク。
「冬こそ燃えろおおおおおおおおぉぉぉぉっ!!」

アイキャッチ。




もう志保は何にも言えなくなっていた。完全に智子のペースに巻き込まれている。
志保は呆れ返ったままの表情で、向かってくる【智子withυガ○ダム】を迎え撃つ。
「き……貴様がいなければ!!」
叫びながら志保が飛ぶ。
「ふん……」
不適な笑みのまま智子もそれに答え飛ぶ。
空中で交差する二人。
「おおおおっ!!」
沸き上がる歓声。
「!? よけたッ!?」
そう、志保は智子のケリを思いっきり避けた。
驚愕しながら、とりあえず生き残っている別の騎馬の上に着地する智子。
志保ははじめから智子とぶつかるつもりがなかった。
では何をする気かというと……
「てりゃてりゃてりゃてりゃ!!」

歓声を上げながら、生き残っているロンドベル隊の他の騎馬をげしげしとつぶしに入っていた。
「!! そうか、志保めっ!!」
悟って、己もネオジホンの騎馬つぶしにはいる智子。
げしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげしげし。
まるで牛若丸のようにプールの上を跳ね飛び回る二人のスイムスーツ。
お互いが自分の騎馬に戻ったとき、他に残った騎馬はなにもなかった。
幾人もの女子生徒がぷかぷかと浮かぶ、修羅場と化した水面上。
「いくでえええええっ!!」
「といああああああああっ!!」
因縁のライバルが最後のケリを付けるために今まさに飛び上がろうとした。
と、突然、
「いけないよッ」
「!?」
いきなり耳に届いた知った声に、一瞬志保の意識がそちらへ飛んだ。
「いけないよこんな事、二人とももう止めなよ、こんな事いつまでも続けちゃいけないよ」
雅史だった。
雅史がマイクを手に、二人に向かって叫んでいた。
「雅史!? えーい、女同士の間にはいるなああああああぁぁぁあハブッッ!!」
最後の【ハブッ】は、志保が智子のケリの直撃を喰らった悲鳴であった。
めきょ、と言うイヤな効果音とともに顔のへこむ志保。
そしてそのまま大きな水柱と共に轟沈する。
智子と雅史は別にそんなに親しい間柄ではない。
雅史が何を言おうと別に気にする必要もない。
その事が決定的な差となった。
「よし、やったな雅史!」
実はこの作戦、【雅史に頼んで志保の気を逸らす】を考えたのは浩之だった。
雅史の手を取り嬉しそうにブンブンと振る浩之。だが一方雅史は、本当に二人を止めるつもりだったので
水中にぶくぶくと沈む志保を見て呆然としていた。
そう、雅史もまた浩之にだまされたのだった。
「……人は、争いを捨てることは出来ないんだね」
雅史は泣いた。
阪口○助の声で泣いてみた。
「すさんだ心に、武器は危険なんです保科智子さん……」

ぱちぱちぱちぱち……
プールから上がり、拍手で迎えられる智子。そこに嬉しそうな顔で浩之が近付いてくる。
「委員長、やったな!」
「藤田くん……」
と、智子の頬がみるみる朱に染まる。
「み、見とってくれたな、うちの活躍……」
「ああ見てたぜ、よくやった。よくやってくれた!!」
いいながらガッシと智子の手を握る浩之。智子の顔はますます赤く燃え上がっていった。
「よくあかりの仇を討ってくれたぜ!!」

………………
智子の中の興奮メーターが突然大きな音と共に急激に冷え込んでいく。
「あかりも別に対したことなかったし、いやあよかったよかった」
………………
(ちっ、遠慮せずに急所を狙うべきやったな……)
智子は心の中で舌打ちする。

だが次の瞬間ー
「おーっほっほっほっほっほっほっほっ!!」
突然の高笑いに場内は一転して緊張する。
死んだはずの(?)志保が、反対側のプールサイドでけたましく笑っていたのだ。
「よくもやったわねロンドベル、けど、ネオジホンは不滅なのよう!!」
と、突然ー

ごごごごごごごごごごごご……
「!? な、なんや!?」
凄まじい轟音と共に、突然プールの水が抜け始めた。
「な、なんだとッ!?」
まるで鳴門海峡のように中心で過流を巻くプール。
「ほーっほっほっほっほ! 私の勝ちね保科さん! もしも負けたときのためにちゃんと
保険を用意していたのよ。部下に命じて、プールの水を抜くようにね! 
水がなくなれば水泳大会は中止、つまり、騎馬戦の結果も元の白紙に戻されるってわけ!
ほんっと、志保ちゃんって頭いいわあ!!」
それを聞いた途端、智子の怒りは爆発寸前になった。光を越えて明日を守る時空戦士だ。
「うおおおおりゃああああああああっ!!」
プールサイドを走り抜け、一気に志保の元へと近付く。
「どつくどこらあああああああ!!」
叫びながら志保の体をガッシとつかみ、
「いやああああああああ!! なにすんのよおおおおう!!」
「たかがプール一つ、ガンダムで埋め止めたるわあああああ!!」
そして二人とも再びプールの中に飛び込んでいった。
まっすぐ排水溝に向かって引き寄せられて行く二人。
「ちょっと保科さん、ガンダムって何よガンダムって!!」
必死で問いつめる志保に、智子はニヤリと笑って教えてやった。
「『眼下に広がるこの光景は、堕したアンタが、無理してでも責任取れ!』の略、つまり、
あんた自身のことやああガボガボガボ」
「ひいいいいい! たあすけてえええガボガボガボガボ」

プールの外では浩之達が心配そうにプールのそこを眺めていた。
「委員長……志保……」
心配そうにしながらも、決して自分は飛び込んだりはしない。
だって相手が志保と委員長だから。(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)(T-T)

プールのそこでは今まさに智子が排水溝に志保を押しつけたところだった。
「バカな真似は止めてよガボガボガボ」
「やってみな分からんガボガボガボ」
しかし水の流出は止まらない。
「プールの流出は始まってんのよガボガボガボ」
「υ智子は伊達じゃないでガボガボガボ」

その頃ー
プールの上では奇妙な現象が始まっていた。
「! ひ、浩之……」
なんと、突然女子生徒達が一斉にプール目掛けて飛び込み始めているのだ。
「浩之さんは、あかりさんの介抱にあたられたし、です」
理緒ちゃんがそう伝達して、彼女もまた飛び込んでいく。
「……なんだこいつら、一体何をやろうとしているんだ……」

それはプール底の智子達にも伝わっていた。
「なんや!? どういうんや!?」
女子生徒達が次々と飛び込んできては、その身を排水溝に投げ出していく。
「止めや! こんな事につきあわなくてええんやガボガボ」
プール底にその身を横たえた女子の一人が智子に笑いかける。
「ロンドベルだけにいい思いはさせませんよガボガボ」
「け、けどそのスイムスーツじゃ……ガボガボ」
それはあまりに無謀な行為だった。
彼女たちは激しい水流に耐えきれず、底からはがされ次々と排水溝に飲み込まれていく。
もちろんその筆頭は理緒ちゃんだ。
「ダメや! 濁流に流され下水道行きになるだけやガボガボ もういいんや! みんな止めや!!」
絶叫する智子の横で志保が悲しげにつぶやいた。
「結局……こんな悲しみだけが騎馬戦大会を包んで押し潰すのよガボガボ……
ならば男ども、特にエロ親父の先公どもは私たちに対し、女子生徒に対し贖罪しなければ
ならないのに…… 保科、なんでこれが解んないの!? 
こんな大会なんて、なくなってしまえばいいのよガボガボ!!」
「嘘やああああ!」
智子は絶叫し志保の頭をげしげしと蹴りつける。
「今んなっていいヤツになんなあ!! 適当に感動しそうなセリフ吐いとるだけやんかあああガボガボ」
「言っていることが適当でもつじつまが合えばそれでいいのっ! 
善いこと言っているんだから最後まで聞けええっーーーーガボガボ」

【突然CM、逆境ナインワイド版、絶賛発売中】

その時ー
どっぱああああああああああああぁぁんっ!!
水面からいくつものビート板、もといファンネルが飛び込んできたかと思うと、
次々と底の女子生徒達をさらって水面に押し出していった。
「こ……これは!?」
志保が突然のことに混乱する。

水面上では、残った男達が次々とプールにファンネルを投げ込んでいる真っ最中だった。
「急げ雅史、流された女の子達を追いかけるんだ」
ファンネルを投げながら浩之が叫んだ。
「分かったよ浩之」
叫びながら雅史がプールを飛び出していく。
いまごろ下水道を流させているだろう、理緒ちゃん達を助け出すために。

「……そう、そうなの…… けど、この温かい心を持った男達がこの大会を企画したのよ。
……それを分かるのよ智子ガボガボ!」
「わかっとるわ! だから、学園の男達に私らの戦いぶりを見せなくちゃいけないんやろガボガボ!」
「ふん、そういう女にしてはヒロに対して冷たかったじゃないの、ええガボガボ!」
「うちはマシーンやない! 神岸さんの変わりなんかできへん! 
……だからか、長岡さんは藤田くんに対してワザとからかう態度をとってガボガボ」
「そう、ヒロはあかりを求めていたの、それを私は不快に思って、
ヒロに対して不真面目な態度をとり続けたのねガボガボ」
「……アンタらしい、子供っぽい態度やガボガボ」
「……ヒロは私と一発したかもしれなかった男よ! それを邪魔した女が、言うことガボガボ!?」
「……一発!? ヒロと長岡さんが!? ガボッ!」
刹那ー
「うわあああああああああっ! ガボガボ!」
「いやああああああああああっ! ガボガボ!」

「!? な、なんだ!!」
浩之は突然大きな水柱をあげたプールを見て絶句した。
彼のそばにいた一般男子がその様子を伝える。
「プールが、水位を増していきますッ!!」
「!? ……そんな、馬鹿なッ!?」

ちゃ〜ら〜〜 ちゃ〜〜らら〜〜 ちゃ〜〜ら〜〜ら ちゃ〜〜らら〜〜♪
【BGM:逆襲のシャアサントラより、オーロラ】

「プール、水位上昇確実! 水泳大会を続けられますっ!」

遠くから聞こえてくるその学校放送を静かに聞き入る雅史。
彼の傍らには助け出された理緒ちゃん達が座り込んでいる。

そしてプールの真ん中には……目をなるとマークにしたままプカプカと浮かび続ける
志保と智子の姿があった。
「……浩之ちゃん……」
ようやく気がついたあかりが、呆然と立ち尽くす浩之の横に立ち、その身を預ける。
「……これが、これが愛の力なのね……」
「そうだ。これが愛の力だ」
そして抱きしめあう二人。
「あんたらなああ……」
爆死寸前の智子が絞り出すように声を出した。
「どっかの宇宙戦艦やあるまいし、何でもかんでも愛で片づくとおもうてか……ガボガボ」
けれど負けずにあかりは続ける。
「愛の力ね……」
そして浩之が言葉をしめた。
「アー○マットの力である」
「…………そ、そんなんが……」
「……そんなのが、オチなのおおおおうぅ……」
そして二人は力つき、再びプールの底へと沈んでいくのであった。ガボガボ。
二人が回収され、再び水泳大会が始まったのは十分後のことである。

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「本当はこの後感想と続ける予定でありましたが、かなり本文が長くなったので
これにて終了にいたしたいと思います」
「………………」
「どうされました? アクシズ様」
「……これは一体どういう事ナリ……」
「まだ、コミックボ○ボンを見ておられたのですか?」
「なぜ、V2が、入っていないのだ……」
「は? ああ、この『君が選ぶガンダムアンケート』ですね」
「トップがウイングゼロカスタム? くっ…… 翼の元祖はV2なのに……」
「……ちなみに、アクシズ様の好きなガンダムはなんなんですか?」
「そう、初代を別にするなら、一位V2、二位F91、三位は同率でマークツー(スーパーガンダム)、
ゼータ、ゴッド、Vダッシュ、サイサリス、υ、ゼロカスタム辺りかナリ?
このあいだ発売されたマスターグレードのサイサリスは素晴らしい出来だった。バカでかいけど」
「……やたらと三位が多いですね……」
「ちなみに一番嫌いなのは……」
「ストーーーーップッ!!」
「ふがふが……」
「いけませんアクシズ様、どんなガンダムにも必ずファンはいるのです! 
デザインにはそれぞれ人の好みというものがあるのです!!」
「ふがふがふが……」
「……エー、それではお見苦しいところを……」
「(ぷはあ)なんで子供がネェル・アー○マを動かせるんじゃあああああッ!!【血涙】」
「うわーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!」

ーー回線切断ーー