「あれっ、琴音ちゃん」 学校からの帰り道、オレは商店街の入り口で琴音ちゃんを見かけた。 ゲーセンに寄った帰りで、もう時計は9時を指していた。 当然、商店街に軒を並べる店も、その殆どがシャッターを下ろしている。 「どうしたんだ、こんな時間に・・・!?」 オレはそう言いかけて口をつぐんだ。 琴音ちゃんは泣いていた。 勿論、声を上げて泣いていたわけではない。 声を殺して、ただその両瞳から溢れる涙はそのままに、その場に立ち尽くしたままで俯いて泣いていた。 「ど・・・どうしたんだ?琴音ちゃ・・・」 オレがそう声をかけ終わるか終わらないかのうちに、オレの存在に気付いた琴音ちゃんは、はっと顔を上げるなり、 「ひ・・・浩之さーーーんっ!うわぁぁぁぁぁんっ!!」 オレに抱きついて大声で泣き出してしまった。 9時とはいえ、まだ往来にはかなりの人通りがある。通り過ぎる人達がオレをじろじろ見ていく。 この状況ではまるでオレが泣かしたみたいじゃないか! しかし、琴音ちゃんはよほど辛いことがあったのか、オレの胸の中で泣きじゃくっている。 ここはやはり落ち着くまで泣かせてやった方がいいだろう。 そう思ったオレは、周囲の目に耐えながら暫くの間琴音ちゃんが泣きやむまで待った。 琴音ちゃんが泣きやんだ後、とりあえず話を聞いて上げることになって、オレは彼女を連れて家に帰ってきた。 散らかった室内を片付けて、とりあえず居間のソファーに座らせる。 「紅茶で良かったかな?」 オレが台所から入れたばかりの紅茶を持って来ざまにそう尋ねると、 「・・・・・・」 琴音ちゃんは無言で頷いた。 「んじゃ、ハイ」 オレが紅茶を手渡すと、琴音ちゃんはそれを受け取って、ゆっくりと飲んだ。 暫くして、そろそろ様子が落ち着いてきたのを見計らって、 「・・・で、一体どうしたんだ?」 オレは琴音ちゃんにそう尋ねた。 琴音ちゃんは暫く言いあぐんだ挙げ句、決心したように顔を上げ、 「わたし・・・今日、人に大怪我をさせてしまいました」 そう言った。 「それって、例の予知で人が怪我するのを見て、その通りになったってこと?」 オレがそう問うと、琴音ちゃんは少し間をおいてコクリと頷いた。 「まだそんな事を・・・予知したからってその人が怪我したのは琴音ちゃんのせいじゃないよ。そんな事を気にかけてちゃ・・・」 「違うんです!」 その時琴音ちゃんは強くそう言い返した。 「今日のはそれだけじゃないんです!」 「それだけじゃないって・・・?」 オレがそう問うと、琴音ちゃんは、 「今日のはいつもと違ったんです。この手に感覚が残ってるんです。あの人を車道に突き飛ばした感覚が・・・」 「それって、もしかして・・・」 「この間浩之さんは、わたしの力は予知じゃなくて念動力だとおっしゃってましたよね。今日のあれで分かりました。やっぱりわたしがみんなを不幸にしてたんですね・・・」 「いや、でもそれは琴音ちゃんの意志に無関係に、勝手に力が働いたという事じゃないのか?」 オレがそう言うと、 「例えそうでも、わたしが突き飛ばしたことには変わりありません・・・。本当は浩之さんにも近付かない方が良いんでしょうが、どうしても誰かに話を聞いてほしくて・・・」 琴音ちゃんはそう言って俯いた。 せっかくだんだんと笑顔も見せるようになって、普通の女のコに戻れそうだったのに・・・。 !そうだ!あの事を言えば・・・。 「琴音ちゃん!そうじゃないぜ!」 オレは琴音ちゃんの両肩に手をおいて、その両瞳を見つめて言った。 「そうじゃないぜ、琴音ちゃん!琴音ちゃんの力は必ずしも他人を傷つけるだけじゃない・・・。助けることも出来るんだ!」 「え・・・・・・?」 「あの子犬のことさ!琴音ちゃんはあの子犬を助けたんだ!」 オレの言葉に琴音ちゃんは意外そのものといった顔をして、 「あの子犬は、わたしに関わったせいで車に撥ねられて・・・」 「違う!琴音ちゃんはオレが目を覆ったせいで撥ねられた瞬間を見てなかったから分からないだろうけど、あの瞬間、子犬のからだが後ろに動いたんだ。そのおかげであの子犬は車との衝突の衝撃を軽減できたんだ。目の錯覚だと思っていたけど、琴音ちゃんの念動力のせいだと思えば納得できる。つまり、琴音ちゃんの力は他人を救えるんだよ!」 「わたしの力が・・・他人を救う・・・?」 「そうさ!現にあの子犬は軽傷で済んだだろ?」 オレの言葉に、僅かながら琴音ちゃんの瞳にまとわりついていた翳りが晴れていった気がした。 「そう・・・ですよね。わたしの努力でこの力を制御できるようになれば、この力も他人を救う力になりますよね!」 「そうさ!その為なら、オレも及ばずながら協力するぜ!」 「わたし、頑張ります!」 琴音ちゃんは、迷いがふっきれたかのような晴れ晴れとした表情でそう言った。 オレは、その時強く思った。 琴音ちゃんがこの力を制御し、普通の女のコとして生活できるようになるのなら、どんな協力だってしようと。 PS:稚拙な文章ですみません。 これでも夢は小説家という、大きすぎる野望に押しつぶされること必至の おばQです。 いつもファンタジー物しか書かないので、このタイプの文章は苦手です。 自分のHPでもこの類の小説を連載しようかと思っているので、是非皆さん 見に来てみて下さい。m(_ _)m (本音はアクセスカウンターのカウント数を増やしたいがため) この程度の文章に二時間もかかってしまった・・・。まだまだ自分は未熟で すね。 では、下らないことばかり書いてすみませんでした。おばQでした。 ちなみに明日はテストなのに、これを徹夜明けで書きました。テストが怖 い・・・。 あと、感想をメールでいただけるとうれしいです。 では、この辺で失礼します。http://village.infoweb.ne.jp/~hvkobq/index.html