LF97ネタバレ? 告白イベント番外編その2 投稿者:おとうとねこ


好評なのかどうか反応が殆どないのでよく判りませんが、
第2弾を書いてみました。

『決戦前夜』

=坂下好恵さんの場合=

オレはロビーにある公衆電話を使い、ある家へと電話を掛けた。
番号を押して、しばし待つ。

ぷるるる、ぷるるる、ぷるるる…。
…カチャ。

『――はい、坂下ですが』
「あ、その声、坂下か? オレだ、オレオレ。元気してっか?」
オレが掛けた相手は、葵ちゃんと勝負をした、
あの空手部の坂下だった。

『なによ、突然。たしか今ごろは綾香や葵たちと
一緒に隆山温泉に行ってるんじゃなかったの?』
「だからその、隆山の旅館から電話してるんだって」
『へぇ、そうなの。そっちはどう? 楽しい?』
「ああ。色々とあったが、まぁ楽しいと言えば楽しいな。坂下も来れば良かったのにな」
『仕方が無いでしょ、たまたま昇級試験と日程が重なっちゃったんだから』
「全く、残念だよな〜。それでどうなんだ?次の段に進めそうか?」
『楽観視は禁物だけど、大丈夫だとは思う』
「そりゃ良かった」
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「なぁ坂下。やっぱ秋口はエクストリームに出るんだろ?
なんだかんだ言っても、葵ちゃんも綾香も、お前が来るの待ってると思うぜ?」
話題は、エクストリームの事へと移っていた。
『そうね…、空手の実力の違いを、大会を通して教えてあげる、っていうのも一興かもね』
「武道はいいぞー、拳を通じて、相手と分かり合えるっていうか」
『…それって葵か綾香かの受け売りでしょ』
「あ、やっぱ判るか?」
『当然』
フン、と鼻で笑う音が受話器から聞こえた。
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もう少し、もう少しと思い、ついつい長電話してしまう。
「なぁ、オレらが旅行から帰ったらどっか行かねぇか?
お前のことだから、この夏休み何して遊ぶとか、
そういった予定立ててないんだろー?」
『別にいいわよ、私は。興味も無いし』
「だーっ。駄目だぜ、女のコがそんな調子じゃ。
もっと柔軟に考えようぜ? 『柔よく剛を制す』って言うだろ?
 坂下のそういうガチガチに堅い思考、直していった方がいいと思う。
武道やる上でも関わってくるんじゃねーかな。素人意見だけどさ」
オレがそう言うと坂下は、しばしの間の後に、
『そうね…。じゃあ…、プールか海にでも、行くとしましょうか?』
と言ってきた。

「おっ! いいねぇ! じゃあ海で決まりな」
『どうせ神岸さんとかも誘って来るんでしょ?』
「もちその気でいるが…。なんだ? もしかして二人っきりの方が良かったか?」
『なっ…、そ、そ、そんなわけ、ないじゃない!』
声に動揺の色が見て取れる。
普段冷静な坂下の、こういう一面を見るのは、非常に面白い。
「はっはっは〜。それで、水着とか、どうする?」
『どうするも何も、学校で使用してる水着着るに決まってるじゃないの』
「あれぇ〜? いいのか〜? そんな事したら綾香から絶対に、
『あら好恵、そんなダサダサのスクール水着なんか着てんの?
まぁ、色気とかそういうのから程遠い好恵の事じゃ仕方がないかもね〜』
とか言われるぜ?」
『な、んですって?』
あ、口調が変わった。
ちょっと怒ってるな、これは。
「だから、そんなことが無いように、オレ達が
帰る前に可愛い水着を購入しておくよーに。いいな?」
『なっ…、なんで私がそんな事…』
「じゃあ綾香に、『好恵ってば相変わらず女っ気のカケラも見当らないわね〜。
そういうのと無縁だからね〜、好恵は』とかなんとか言われてもいいってわけだ」
『そんな事、言わせるもんですか!』
「はい、じゃあ決定な。思いっきり可愛いやつ選んでおくんだぞ」
『え…、あ…、あれ?』
「あっはっは、お前ってばホンットに、あしらい方分かり易いなー!
 自分で言ったから、もう訂正はナシな」
『…くっ』
「はっはー」
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『…ところで訊きたいんだけど』
今度は坂下の方から、なにやら振ってきた。
「おう、なんだ?」
『そっちで、何か、あったの?』
…鋭い。
「まあ、ちょっと、な」
さすがに、『明日、異世界の破壊神とひと勝負やらかす』とか、言う訳にもいかないので、
ぼかして答えた。
『…詳しくは詮索しないけど…。…帰って、来るよね』
「…ああ」
『約束よ』
「おう、坂下の水着姿も拝みたいしな」
『もう、解ったわよ。ちゃんと買っておくから、
その代わり五体満足で帰って来るのよ?』
「ああ、約束だ」
『じゃあもうそろそろ切るわね』
「そうだな。長電話に突き合わせてすまねぇ。
…おやすみ」
『おやすみ』
カチャ、と受話器をフックに掛けた。

…これで生きて帰る理由が出来た。
約束もしちまったしな。
明日はなにがなんでも、絶対に勝つ。勝ってみせる。
ここにいないことで、戦えない者達の為にも。

→To Be Continued 『Leaf Fight97』 Last Battle

あとがき
前回に引き続き、今度は坂下好恵さん編です。
『そもそもLF97に出てないじゃないか』
とかいった理屈は、私には通用しませんので、 あしからず(爆)。


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