そのとき、太田さんが両手でおもいきりバーンと机を叩いた。 一斉にシーンとなる教室。 目を丸くして見つめる生徒達の視線のなかで、彼女は低い声で ひとこと 「マックス」 と言った。 「アムロ入籍で思い付いたので言ってみました。」 一拍おいて、教室はどっと爆笑の渦につつまれた。 「アハハハハ、おもしろいよ、それ。サイコー香奈子。」 「せっくすとまっくすをかけてるのね。」 「ボキャ天ならイチバン確実だな。」 「で、香奈子このSSのオチはどうなるの?」 得意気な太田さんに隣の席の女の子が訊ねた。 「よくぞ聞いてくれました。すっごいのを用意してますよー。」 そう言った刹那、香奈子は机に飛び乗り、ポーズをキめた後、口を開いた。 「相手がサムだけに、さっむーーーーーーー。なんちて。」 凍てつく教室。針の落ちる音が聞こえるとはこの事か。本当にサムい。 「何よ何よ皆クラスメートでしょ。社交辞令つーもんがあるでしょうが。」 だが反応は無い。 「だいたい柏木千鶴の「たまたま」よりはマシでしょ。何よあのニャンニャンってのは。」 怒る香奈子に女生徒がおずおずと口をはさむ。「あの、その柏木って人誰?」 「誰って鬼の血をひく柏木四姉妹の長女よ。きまってるでしょ。」 「鬼・・・・・・」生徒達の顔がこわばる。 「モニターの前の皆さんは解ってるからいいのよ!」 「モニター・・・・・・」 笑っている生徒は、もう一人もいなかった。 今や誰の目にも、太田さんが尋常でないのは明らかだった。 以下、「雫」本編と同一なので割愛させて頂きます。