第五話 智子、心の向こうに 投稿者:梓弐號



意味もなく長いです。しかもTo Heartのネタバレあり。
おまけにちょっとお下品。(^^;
誰か神戸弁の方言指導求む。
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 前回雨に打たれつづけて風邪を引いた智子にプリントを届けるべく保科家を訪れた博之は、
壊れた呼び鈴を何度か押した後、何気なくドアノブに手を伸ばした。すると意外にも何の抵抗もなく
扉は開く。
「委員長、いるかぁ?」
 博之は呼びかけるが返事はない。母子二人暮らしで母親は勤めに出てるのだろう。
「委員長、上がらせてもらうぞ」
一応断りを入れた後、人気のない3LDKに靴を脱いで上がっていった。
「委員長、いないのか?」
智子の名を呼びながらふとバスルーム前の脱衣場に入ると、ハーフフレームの眼鏡が
置かれているのが目に付いた。
「なんだ、これ…?委員長のか?」(そりゃそうだろ)
そう言って何気なく眼鏡を手に取って見ていると、突然ガラリとガラス戸の開く音がした。
振り返った先には、浴室から出てきたばかりの、下着一つ何も着けていない智子の姿があった。
「きゃぁぁぁ!藤田君、何してるん!?」
「い、いや、これは、その…」
慌てて言い訳しようと智子に歩み寄った博之に更に智子が悲鳴をあげた。
「こ、来んといてんか!わたしまだ何も着て…」
再び浴室に逃げようとする智子の手を博之の手がつかんだ、
と、思った瞬間。
「きゃああ!」
浴室の床に落ちていた石鹸で足をすべらせ智子は浴室の床に転げ込んだ。
「うわ!」
智子の手をつかんでいた博之も智子に重なるようにして浴室の床に手折れ込む。
「つつつつ…」
どうにか智子にのしかかる前に身体を支える事ができた博之はうめきながらも立ち上がろうとし、
ふとその手の違和感に気がついた。床に頬を押し付けられるような格好になった智子の顔も
そこはかとなく上気している。その原因はすぐに分かった。体を支えようと前に出した博之の
右手の指が、智子の下半身のあらぬ場所へ差し込まれたいたのだ。
「…指、抜いてくれへん?」
 智子の哀願に思い出したように博之は慌て出す!
「あ、うわ、すまん!」
 慌てて抜こうとするが、括約筋の収縮により急には抜けない。
「ちょ、ちょっと早く抜いてんか!」
「いや、ちょっと待て、今抜…」
思い切って力を入れ、指を引き抜く。ようやくうつ伏せになって床に押し付けられ
るような姿勢から開放されると、あわてて脱衣場に飛び込みガラス戸を閉めると服を着出した。
「す、すまん、委員長、俺、そんなつもりじゃ…」(じゃ、どんなつもりだったんだ?)
 しかし智子は何も応えずに服を着るとそのまま家を飛び出した。
「委員長、スマン、悪かったってば…」
慌てて追いかけてきた博之があたふたと弁解する。しかし智子は顔を真っ赤にしたまま
何も言わずにすたすたと早足で歩きつづける。
しかし慌てて出てきたので眼鏡もつけてなかった智子はバス停の標識を見誤り、
思わず勢い良くぶつかってしまった。
「いったぁ!どこ見てけつかんのや、オッサン!」(それは神戸弁じゃないぞ、委員長)
 混乱して標識を人と誤ったままの智子が悪態を吐く。
「違うって、ほら、委員長、眼鏡眼鏡」
 智子は博之が差し出した眼鏡を引ったくるように奪うと、すちゃっ、と装着し、
自分がぶつかったものを見る。と、再び顔が真っ赤になる。
「委員長って、案外とそそっかしいんだな」
 くっくっと声を殺しながら博之が笑う。それに更にカッとなった智子が食ってかかった。
「それゆうんやったら藤田君は何なん?マルチ量産型のユーザー登録忘れて、
長瀬開発主任に叱られたうんちゃう!?」
「げ!委員長がなんでそんなこと知ってるんだよ、シナリオが違うのに!」
「おまけにマルチちゃんのあそこをティッシュでふきふきなんぞして…このスケベ!
ああ、もう信じられへん!」
 智子は絶叫すると博之の頬を思いっきりひっぱたいた。
 いつのまにか周囲には遠巻きの人だかりが出来、
『ママ、ふきふきってなに?』と聞く子供に、
母親が『いい子は知らなくてもいいの!あっち見ちゃいけません!』などと言う
お約束の光景が広げられてる。
「ま、待てよ、委員長!何もこんな往来で言う事…」
 叩かれた頬を押さえながら言う博之を野次馬の中に置き去りにして智子は
すたすたとその場を去ろうとしていた。
「ちょっと待てぇ!俺はこのまま置き去りか!?」
 女を怒らせると恐いぞ、博之君。