Leaf K.O.F大会第二十回 投稿者:岩下 信
前書き…どうも、お久しぶりです。どうにか空いている時間で続きを書きました。
        あらすじとかは…過去ログを参照して下さい。(^^;
        では、久々のL.K.O.Fをどうぞ…

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     Leaf K.O.F大会第二十回『男の戦いS2』

「うおぉぉぉぉぉぉぉーーーー!」
柳川に向かって走り出す。
…さっきのが偶然だとしたら?…
そんな考えが頭をかすめる。
だが、体の奥底からみなぎる力。
それが俺を突き動かしていた。
すぐ目の前に柳川が迫る。
柳川は動揺の為か動作が一瞬遅れたものの、俺を迎え撃つ体勢をとる。
『………来るっ!』
そう思った時、柳川の爪が迫ってきた。
『!!』
俺は、一歩踏み込んでそれをかわす。
…といっても、自分の意志ではない。
勝手に体が反応したのだった。
ぶぉんっ!
頭上を空気を切り裂く音とともに、爪が通過する。
柳川が驚いた目でこちらを見た。
…いけるっ!
柳川の動きが動揺の為か止まっている。
「食らいやがれっ!」
俺は立ち尽くしている柳川に向かって渾身の拳を叩き付ける。
どすっ!
俺の拳が柳川の腹にのめり込んだ。
「グォッ!」
俺の拳を受け、一瞬唸ると柳川は俺に向かって蹴りを放ってきた。
「くっ!」
俺は柳川の蹴りを屈んでかわした。
そして、そのまま二発めの拳を叩き付ける。
「ッ!」
同じように腹に拳がのめり込む。
柳川は俺の拳を受け、今度は一歩引いた。

…やっぱりそうだ…。
俺は自分がとてつもなく強くなっているのを感じた。
体が人間ばなれして動く。
さっきまでは「感覚」でしか分からなかったが、今は「確信」をする事
が出来た。
…だったら…このまま追い討ちを掛けた方がいいだろう…

「グォォォォォォォォーーー!」
間合いを取った柳川が仕掛けてきた。
黒い疾風となって迫ってくる
『これで、終わりにしてやる!』
俺は迎え撃つ構えを取った。
目の前に鋭い爪が迫る。
きいぃぃぃん……
俺の左腕が柳川の爪を弾く。
「うりゃあぁぁぁーーー!」
爪を弾いた時に生まれた隙を狙って柳川の腹に拳を打ち込む。
「グォッ!」
手に伝わってくる鈍い感触。
効いている!
俺はそう直感した。
その証拠に柳川は体を折る様にして動かない。
いけると判断した俺は
「へっ…食らいやがれっ!」
と、そのまま打ち込んだ拳から、炎を放ち一歩引く。
「グァァァァァァァーーー!」
炎に包まれ、柳川が絶叫する。
そして、柳川は炎に包まれたまま、やっきになったように爪を振り回す。
俺は、それを難なくかわすと、再び柳川に向かって炎を放つ。
「これで、終わりだっ!」
ごおぉぉぉぉ……
腕輪から炎がほとばしり、柳川に向かって伸びて行く。
どごおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……
放った炎が柳川に当たり、巨大な火の柱が上がる。
「グォォォォォォォォ…………。」
火の柱の中で柳川が断末魔の叫びを上げた。
そして、そのまま崩れ落ちる。
……終わった……
俺は柳川が倒れるのを見ると炎を消した。
そこに残ったのは、鬼の姿のまま倒れている柳川だった。

「勝ったのか?」
俺は用心しながら柳川を見ている。
これまで幾度と無く立ち上がってきた相手だ。
油断は出来ない。
時が硬直したように会場内は静まり返る。
………
……
…
どれだけ時が過ぎただろうか?
『…勝者、藤田浩之!!』
静まり返った会場にアナウンスが響き渡った…
アナウンスに続いて割れんばかりの歓声が会場に響き渡る。

「ふぅ、どうにか勝てたな…。」
俺はため息混じりにつぶやいた。
「さて…次は、橋本先輩。あんただぜ。」
リングの端で不敵な笑みを浮かべたまま俺の試合を見ていた橋本先輩に向き直る。
「くっくっくっ…藤田ぁ…殺してやるよ…。」
俺の視線に橋本先輩がそう答えてきた。
どろりと濁った視線が気味悪く感じる。
「…けりをつけようぜ…。」
俺は腕輪から炎を出しながら橋本先輩に言った。
「…てめえの死をもってな…。」
ゆらりと橋本先輩がリングに上がってくる。
明らかな殺意がびんびんに感じられる。
これは、妙な仏心を出さないほうがいいだろう。
「橋本先輩…何があったか知らねーけど、ここでは敵同志だ…手加減は無しでいくぜ。」
「ふっ…。」
俺の一言に低い笑いで答える橋本先輩。
「いくぜ……。」
俺は炎を開放しつつ構えを取る。
「殺してやるよ…。」
橋本先輩も手にしている剣を構えた。

同時刻、会場内にて…
「ふぅ、落ち着いた…。」
初音がトイレから出てきて一言言った。
「あっ梓お姉ーちゃん、お待たせ…。」
ぱたぱたと梓に向かって走る初音。
「おぅ、戻ってきたか…じゃあ戻るか。」
初音の姿を見て梓が言う。
「うん…あれっ?楓お姉ちゃんは?」
きょろきょろと周りを見渡して、初音は梓に聞いた。
「うん?…そう言えば姿が見えないな…。」
梓もあたりを見渡した。
「何処行っちゃったんだろう…。」
「さぁ?確か今までここに居たんだけど…。」
梓は周りを楓を探して見渡しながら言った。
「…どうしょうか…。」
初音が心配そうに言う。
「とりあえず、探してみるか…。」
梓がため息と共につぶやく。
「…うん。」
初音も梓の意見に同意した。
二人は楓を探してしばらく会場内を歩き回った。
売店前・廊下・トイレ…
考えられる可能性のある所をくまなく二人は歩き回った。
だが、楓の姿は見当たらない。
「居ないねぇ…。」
「…何処に行っちまったんだか…。」
梓は頭をぽりぽり掻きながらつぶやいた。
と、その次の瞬間
「!!」
梓の表情が厳しくなった。
「?…どうしたの梓おねーちゃん?」
「…近くに…何かが居る…。」
「えっ?」
初音が梓に聞き返す。
「…初音、気を付けるんだ…。」
辺りに気を配りながら梓が低い声で言う。
「?…うっ…うん。」
初音は梓の言葉の意味が分からないものの、ただならぬ雰囲気を感じてうなづいた。
「……来た…。」
梓がとある一点に視線を走らせる。
そこには、何処へ行ったか分からなかった楓の姿と、一人の男の姿があった……

                                                               続く

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すいません、今回は感想なしです。
では、失礼します。