Leaf K.O.F大会第十五回 投稿者:岩下 信


《この作品は連載物です。初めて読んでくださり方々には、》
《はじめにお詫び申し上げます。m(_)m              》
《ちなみに、ご希望があれば、メールにて過去ログをお送り》
《いたします。                                        》

  Leaf K.O.F大会第十五回『毒電波の戦い』

会場の中に入ると、俺達を歓声が包み込んだ。
耳が痛くなるほどの声。
「何か、アイドルにでもなった気分だな。」
俺は隣に居たあかりにそう言った。
「…えっ?き……な…い…。」
あかりは答えようとしたが歓声にかき消されて聞こえなかった。
「何でもねーよ。」
聞こえないと分かっていても、俺はそう返した。

リングサイドに俺達は位置した。
柳川たちは先に着いていたらしい。
余裕の笑みを浮かべる月島と柳川が見える。
そして、その隣に橋本先輩が居た。
「?」
なんだか橋本先輩の様子がおかしい。
あの笑みが顔から消え失せ、無表情のまま突っ立っている。
しかも、その手には見たこともないような剣が握られている。
「!」
橋本先輩の様子を伺っているうちに橋本先輩と目が合った。
その瞬間、俺は悪寒が背筋を駆け抜けるのを感じた。
どろりと濁って何の感情もない瞳。
一回戦の相手を思い出させる。
「…何故、"鬼の武器"が?」
その時、千鶴さんの震える声が聞こえた。
「"鬼の武器"?なんですかそれは。」
俺は千鶴さんに聞き返す。
「雨月寺から、盗まれたまま行方が分からなかった"鬼の武器"が、あの少年の手にあるのです。」
千鶴さんは橋本先輩の手にある剣を指差して言った。
「あれは…常人には扱えないはず…。」
千鶴さんは続ける。
「…いや、橋本先輩は普通の状態じゃない。」
千鶴さんの言葉を受け、俺は言った。
「え?『橋本先輩』ってあの少年のこと?………。」
俺はうなづいて同意を示した後に続けた。
「なんか、おかしいんだ。うまく説明が出来ないけど…。」
「うん、それは俺も感じるよ。」
「耕一さん…。」
「エルクゥの気配も感じるんだけど…なんか、変なんだ。浩之君と同じ
ように上手く説明できないけど…。」
…耕一さんも感じているらしい。橋本先輩の身に何が起こったと言うのだろう…

『お待たせいたしました!これより、LeafK.O.F大会決勝戦"柳川混合
チーム"VS"TH来栖川チームの試合を始めたいと思います!!』
アナウンスが声高々に告げた。
それを受け、会場の歓声が一段と大きくなる。
『それでは、両チーム一人目の選手を出して下さい』
そのアナウンスとともに相手のチームから月島がリングに上がる。
「先輩、一番手は誰だ?」
それを見て、俺は先輩に聞いた。
「……………。」
「『私が出ます』って?」
こくこく……。
ちょっと硬い表情でうなづく先輩。なんとなく迫力がある。
「…分かった。」
俺は先輩に言った。
先輩がそんな表情でいうのだから、何か理由があるのだろう…
そのままリングに上がろうとする先輩。
「先輩、気をつけてな…。」
「頑張ってください。」
俺とあかりは先輩の後ろ姿に声をかける。
先輩は少し微笑むと一言言ってリングに上がっていった。
「裕之ちゃん…先輩、なんて言ったの?」
あかりが尋ねてくる。
「『必ず勝つって』だってよ。」
「…………。」

相手はあの子のお兄さん。
あの子との約束を果たさなくては…
これは私にしか出来ない事だから…
私は約束を思い出しながらリングの中央に向かって歩いた。
『Leaf K.O.F大会決勝戦第一回戦"月島拓也"VS"来栖川芹香"レディ・ゴー!!』
私がリングに位置するのと同時にアナウンスが試合開始を伝えた。
私はそのまま"雷神"を発動させる。
私の周りに光があふれだす。
「…面白いおもちゃだね。」
余裕の表情を浮かべ、相手がそういうのが聞こえた。
「だけど、そんなもので、僕の力を止めることが出来るのかな?…いわ
ゆる自慢話で恐縮なんだけど、僕の力は何物をも浸透する電波なんだ。
そんなもので…。」
相手の前置きが始まった。
私はそれを無視すると、相手にすぅっと"雷神"の指輪の手を向ける。
『雷撃』
私がそう命じると、指輪からいくつもの紫電が生まれ、相手に向かって行く。
相手はそれをよけようとせずに、余裕の笑みを浮かべていた。
「避けないと、危険ですよ…。」
私はあえて忠告をした。
だが、相手はそのまま動こうとしない。
紫電が相手に届こうというその瞬間、バリバリッと音を立て消えた。
『!!』
「…同じ電気だと分かれば相殺出来るものだよ。」
相手は薄笑いを浮かべながら私に言った。
「…人の説明を聞いていないからこうなるんだよ。さて、こちらもお返
しをしないとね。…言っておくけどこれが君達が君達で居られる最後に
なると思うよ。」
「?」
「君たちは僕の玩具を壊した。だから、新しい玩具になってもらう事にしたんだ。」
何を言っているのか私には分からなかった。
だけど、相手から、すさまじい殺意を私は感じ取っていた。
…いけない、攻撃が来る…
「壊れて…しまえ!!」
私は慌てて『雷壁』を展開する。
バリッ!バリッ!……
相手の電波が雷壁に当たって四散しながら音を立てる。
しかし、四散した電波は消えずにあちらこちらに飛び散らかって行く。
「ふふふ…。」
それを見て、相手が不敵に笑う。
バリッ!!バリッ!!
相手の電波がより強くなり、雷壁が押され始めた。
…このままでは…


月島が何かを言ったその瞬間の事だ。
「うわあぁぁぁぁぁーーーー!」
俺は思わず頭を押さえて叫んだ。
俺の頭の中をちりちりと何かが通り抜ける。
長瀬の奴にやられた時と同じ感覚だ。
「あっ…あぁぁぁぁぁぁ。」
隣からあかりのか細い悲鳴が聞こえる。
見ればあかりは頭を抱え込んでうずくまっている。
「どうした!?何が起こっているんだ?」
耳鳴りに混ざり、耕一さんの問いかけが嫌に遠く聞こえた。
視界が歪み、頭が切り刻まれる感覚。
自分の存在がぐちゃぐちゃになって行くようだ。
『…ここでやられちまうのか…』
まともに思考が働かない状態で俺はそんな事を考えていた。
「ひっ…ひひろろゆゆききちちゃゃんん……。」
あかりの悲痛な声が耳鳴りと混ざる。
『…くそっ!こんな所で……』


私が相手の電波をどうにか防いでいると、浩之さん達の叫び声が
聞こえてきた。
「…君の仲間は壊れ始めたようだね。」
相手がどろりと濁った目で私に言う。
「…心配はいらないよ。君もすぐに同じようになるのだから…」
相手は依然強力な電波を放ってきている。
このままでは私の雷壁を破るのも時間の問題かも知れない。
そして、浩之さんやあかりさんの事も気になっていた。
このままでは二人とも確実に壊されてしまう。
…仕方がありませんね…
私は最後の切り札を出す事にした。

                                  続く…

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どうも、お久しぶりの岩下です。
体調を崩して、アップが遅れました。
お待たせして本当にすいません。m(_)m
ちなみに今回から予告はなしということでご勘弁ください。

Leaf K.O.F大会第十五回、いかがだったでしょうか?
このままだと、完結は年明けになりそうです。
……驚きですね……←わかる人いるでしょうか(^^;)
本当にお待たせしてスイマセン。
それと、私いろいろと皆様にご迷惑をおかけしました。
メールくださった方々には改めてレスします。
家にネットがほしい岩下でした。

P.S.
 
 >リレー小説
   承諾ありがとうございます。今、書いてます。
   だけど、私で本当にいいんでしょうか?
   次の人が大変になると思いますが・・・・

  >ジン・ジャザム様
    むーん・・・サクラ大戦ですか・・・
    オオボケ、笑わせて頂きました。