Leaf K.O.F大会弟十一回 投稿者:岩下 信


       Leaf K.O.F大会/第十一回『残虐な瞳・後編』

リングに倒れていた委員長は担架で運ばれていった。
なんとか意識はあるらしく、志保たちに「すまんなぁ…」等と言うのが聞こえた。

それを見送ると、嬉しそうな表情でリングに上がるレミィ。
その手には、しっかり弓矢が握られていた。
「ふふふふ…『狩りの時間』ネ…。」
レミィの眼はすでにイってしまっている。
例の『禁断症状』の時と同じだ。
志保はもう何も言わずにレミィの背中を見ていた。
こうなったら何を言っても無駄だと判断したのだろう。

レミィの言葉を聞き、柳川が嬉しそうな顔になった。
が、柳川は依然として、凍るような殺気を出し続けている。
「ほぅ…お前も"同族"なのか……。」
柳川の眼が怪しく光る。
「What's?ワタシ、『トーゾク』じゃないヨ。」
柳川の言葉を受け、レミィが言い返す。
「…いや……お前は"同族"ではないな……。」
柳川はレミィの言葉を無視して続ける。
「トーゼン!ワタシ、『トーゾク』なんかじゃないヨ。」
レミィはきっぱりと言い切る。

………レミィ、『同族』と『トーゾク』は全然違うって……

『第二戦・"柳川祐二"VS"宮内レミィ"、レディ・ゴー!』

アナウンスを聞くと、
「さぁ!覚悟するネ。」
レミィがいきなり、矢をつがえて弓矢を放つ。
ひゅん!
勢いよく、矢が柳川めがけて飛んで行く。
それを余裕の表情で見ている柳川。
そして、次の瞬間、柳川の姿は消えていた。
「!」
矢が今まで柳川の居た空間を通過した。
「What's ?消えた?」
レミィは慌てて次の矢をつがえる。
だが、肝心の柳川の姿が見えない。
レミィが柳川の姿を確認しようと辺りを見回すと、
「ここだ。」
柳川がレミィのすぐ後ろに立っていた。
「!」
レミィが慌てて振り向く。
「…人間にしてはよくやる方だな…だが……。」
柳川が余裕を見せてそう言いながら手を振り上げた時だった。
ざしゅっ!
レミィが手にしていた矢を柳川に突き立てた。
「ぐっ……。」
レミィの動きに気を配っていなかった柳川の隙をついてのレミィの一撃。
さすがにアメリカでハンティングをやっていただけはある。
レミィはそのまま一歩引くと、すぐに次の矢をつがえる。
「…やるな…楽しませてくれそうだ……。」
レミィの一撃はきいていないらしい。
にやりと柳川は気味悪く笑った。
すると、柳川の手に鋭い爪が生え始めた。
その姿はあかりが苦戦した"柏木千鶴"を思い出させる。

『まさか、こんな奴が他に居たなんて……。』
俺は思わずつぶやいた。
あの、あかりが"風神"を使っても苦戦した相手だ。
当然レミィが勝てるわけがない。

「!」
柳川の変化を見て、レミィが息を呑んだ。
だが、すぐにレミィは笑みを浮かべると、
「…それでこそ、狩りがいがあるネ。」
と言って、弓を放つ。
「遅い!」
柳川は一言言い放つと、自分目掛けて飛んでくる矢を叩き落とした。
そして、次の瞬間、レミィに向かって飛んだ。
一瞬の内に、柳川はレミィの懐に入る。
「what's!?」
柳川の動きの速さについてゆけず、レミィは一体、何がなんだか分から
ずに叫び声を上げた。
ザシュ!
柳川の爪が下から上へとレミィを切り裂いた。
柳川の目に残虐な色が浮かび、満足そうな表情を浮かべる。
「きゃあぁぁぁぁ……。」
レミィの悲鳴が響き、血が飛び散る。
その一撃でレミィは倒れそうになるが、柳川の一撃で生じた風圧で倒れはしなかった。
「先ほどの借り、返させてもらう。」
柳川は低く一言言うと、続けてレミィに爪を振るう。
『止めろぉーーーーー!』
俺は思わず叫んだ。
柳川の爪はレミィを確実に捕らえていた。
ザクッ!
爪はレミィの胸を一直線に通り過ぎ、五本の赤い線を残した。
「……………。」
レミィはそのまま何も言わずに、リングに崩れた。
『レミィィィーーーーーー!』
俺の叫び声が会場に響いた。

レミィが倒れたのを確認すると、柳川はくるりと背を向けた。
すると、月島が
「もう、終わりにするのか?」
と柳川に聞いた。
「あぁ、色褪せた炎など見飽きた。」
興味なさそうに柳川が答える。

炎?一体、何のことを言っているのだろう。
俺は柳川と月島の訳の分からない会話を聞いていた。

『WINNER、柳川祐二。』
アナウンスがそう言うのと同時に、担架が運ばれてきて、倒れているレミィが運ばれて行く。
レミィは無事なのだろうか?
俺はレミィの安否を確認すべく、担架の運び先であろうと思われる医療室へと駆け出した。
試合は奴等の勝ちであろうから、見る必要はない。


それにしても、恐ろしい奴だ。
俺は廊下を走りながら考えた。
レミィのあの状態でさらに追撃をかけるなんて、普通の感覚を持っている奴ならできないはずだ。
しかし、柳川は非情にもレミィを切り裂いた。
『許せねーな…』
俺の中に柳川に対する怒りが爆発しそうになる。

程なくして、医療室のドアの前についた。
そこに、うずくまるように座り込んでいる人影が一人。
それは、志保だった
「志保……。」
俺の言葉に顔を上げる志保。
その顔には、悲痛な表情が浮かんでいた。

                                           続く……
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   次回予告
        柳川たちに怒りを抱く浩之。
        ボロボロにされたレミィ達のために打倒を誓う。
        そして、芹香の口から大会出場の真意が語られる。      
    次回・『決勝前夜』
             「許さねーぞ、あいつら!」(浩之)
                                               お楽しみに!
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   お待たせしました。ここにLeaf K.O.F大会の第十一回を
   お送りします。

   えーと、レミィファンの方々、ごめんなさい。m(−−)m
   お願いですから、殺人メール等は許してください。
   私も書くのが苦しかったのです。(実はこれが遅れた理由だったりする)

   P.S
     最近、皆さんのペース、早いですね。
     ついて行くのが大変です。

    >久々野 彰様
       あまり、いじめないでください。