Leaf K.O.F大会第十九回 投稿者:岩下 信
Leaf  K.O.F大会第十九回『男の、戦いS1』

『第二戦、柳川裕也VS藤田浩之、レディーゴー!』
アナウンスが会場に響き渡る。
変化して行く柳川の体を見つつ、俺は“火神”を解放した。
腕輪から勢い良く炎が飛び散る。
「…行くぜっ!」
一言叫び、柳川に向かって炎を放つ。
変身途中の柳川はそれを見て舌を鳴らすと、横へ素早く飛び炎をかわす。
「……味な真似を……。」
柳川が間合いを取り、つぶやくのが聞こえる。
その間にも、柳川の体は変化し続けていた。
…避けられたか…
俺は心の中で舌打ちした。
柳川が『鬼』となってしまう前にかたを付けようとしていたのだが…
俺が考えている間にも、柳川の体はどんどん変化して行く。
…まだ、間に合うな…
変化し続けている柳川の姿を見て、俺は判断した。
『鬼』と化する前に倒せれば、楽に片付く事は間違いない。
今度は直接的に仕掛ける事にした。
「うらぁーーーーーー!!」
柳川に向かって飛ぶ。
柳川との間合いに入ると、拳を振りかぶりつつ、腕輪から炎を出す。
ずおぉぉぉぉ……
「燃えろぉーーー!」
振りかぶった腕をそのまま柳川に叩き付けるように振るい、炎をぶつける。
ごおぉぉぉぉぉ…!
しかし、炎はむなしく空を切っただけだった。
そして、次の瞬間、
「短気な奴だ……。」
と背後から、低い一言が聞こえた。
「!!」
慌てて振り返えり、体勢を立て直す。
そこには、不完全ながらも「鬼」と化した柳川が立っていた。
「…貴様にはこれで十分だろう…さぁ、始めようか…」
柳川がゆっくりと構えを取る。
「…後悔するぜ…。」
俺も“火神”を解放し構えを取る。
「さぁ、美しい炎を見せてくれよっ!」
柳川はそう言うと飛び掛かってきた。
「させるかよっ!」
炎を一直線に向かってくる柳川に炎を飛ばして、応戦する。
ずおぉぉぉ……
炎が柳川に向かって伸びる。
飛ばした炎を横に飛んで避ける柳川。
横から俺を狙ってくるつもりだろう。
『腕輪よ、壁を張れ!』
俺の周りにに燃え盛る炎の壁が展開する。
…これで、柳川の奴を防げるとは思っていない。
この壁は、牽制のつもりだ…
「ふっ…こんな物…。」
柳川が壁を切り裂き、くぐり抜けるその瞬間、
『今だ!弾けろ!!』
腕輪に命じた。
どぅん!
壁が俺の命令と共に、弾ける。
「ぐあぁぁぁぁぁーーー。」
壁の爆発をもろにくらい、叫び声を上げる柳川。
そのまま突っ込んでくる柳川をステップでかわすと、再び炎を打ち出す。
ごおぉぉぉぉ…
炎に包まれる柳川。
「ぐおぉぉーーー!」
炎に包まれ、のた打ち回る柳川。
『頼むからここで終わってくれよ。』
俺はのた打ち回る柳川を見ながら思った。

だが、それは甘かった。
柳川が炎に包まれたまま立ち上がってきた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!」
柳川が吠える。
柳川の周りの空気が突如上昇気流と化し炎を消し去る。
そして、火傷を負った顔で俺を見ると、
「…見くびっていた様だな…楽には死なさん!」
低く言うと、柳川の体が再び変化し始めた。
「見せてやろう…これが真の狩猟者の姿だ……。」
だんだん、巨大化して行く柳川の姿。
『ヤバイな…』
俺がそう思ったその時、腕輪が急に輝き出した。
「…なんだぁ?」
腕輪の光はだんだん膨れ上がりそして何の前触れも無く消えた。
「???」

「………………。」
「えっ?『火神が、相手と共鳴している…。』ですか…?」
こくこく……
先輩が緊張した顔でうなづいた…

「???」
…訳が分からない…
腕輪は光り出したりしない筈だが…
俺は試しに腕輪を使ってみる事にした。
『腕輪よ、炎を出せ。』
ずおぉぉぉぉ…
…いつもとは桁違いにデカイ炎が腕輪から出る。
一体今のは?…
俺が不思議に思い腕輪を見ていると、
「グォォォォォォォォーー!」
『何処を見ている』とも、言いたげに柳川が襲ってくる。
ひゅぉっ!
鋭い爪が俺を目掛けて飛んでくる。
『間に合わねぇ!』
反射的に炎を張り、腕でガードをとるような姿勢を取った。
じゅぅぅぅぅ………
「グアァァァァーーー!」
反射的に炎が上手く柳川の腕を焼いたらしい。
しかし、さっきは簡単に破られていた炎が何故今は破られないのだろう。
疑問を感じながらも俺は柳川から目を離さなかった。
「オォォォォォォーーー!」
再び向かってくる柳川。
俺はさっきのように炎の壁を作り、爆発させる準備を取る。
………だが、柳川の壁を切り裂く気配は伝わってこない。
その代わりに上空から何かが迫ってくる気配を感じた。
「!!上か!」
上に目を向けると、柳川が迫ってくるのが見えた。
『腕輪よっ!』
手を柳川の方へと伸ばし、炎の玉を放つ。
巨大な火の玉が生まれ、柳川へと飛ぶ。
「グオォォォーーー!」
ばしゅっ!
「なにぃ!?」
柳川に向かって飛ばした火の玉が柳川の手によって弾かれた。
弾かれた火の玉はあかり達の居るの方向に飛んで行った。
「やべっ…。」
俺はあかり達の方へ駆け出した。

「おいっこっちに来るぞ!早く逃げないと!」
耕一さんが叫ぶ。
「………………。」
「えっ?『風神を使って下さい』って?」
こくこく……
私は先輩の言う通りに“風神”を覚醒させた。
「くまちゃん!!」
ひゅうおぉぉぉぉぉ……
“風神”から、放たれた風が浩之ちゃんの飛ばした火の玉に当たる。
だけど、火の玉は消滅せずに私達に向かって落ちてくる。
されに…風を当ててから、さらに大きくなったみたい……
「……………。」
「『相殺せずに、風神の力を吸収してしまったようですね。』…ですか…。」
こくり……
「じゃあ、どうすれば……。」
私は慌てて先輩に尋ねたその時、
「耕一さん!」
「あぁ、やってみる……。」
隣に居た耕一さんが“鬼の力”を解放した。
「グォォォォォォォォーーーー!」
一歩前に出て、火の玉をあの相手と同じように弾こうというつもりみたい…
だけど、その前に巨大な火の玉は違う方向へ飛んでいった。
「えっ?」
何時の間にか、私達の目の前には浩之ちゃんが立っていた。

俺はあの火の玉に新たな炎をぶつけ、弾き返す事に成功した。
『なんとか、間に合ったな…』
一安心した所で、
「大丈夫か?」
俺はあかり達に聞いた。
「うっうん……だけど浩之ちゃん、いつの間に来たの?」
俺を見てあかりが言う。
「間にあわねぇと思ったんだけどよ…間に合って良かったぜ…。」
俺が一息ついて言ったその瞬間、
「グオォォォォォォーーー!」
「浩之ちゃん!後ろ!」
うなり声とあかりの声が重なる。
「やべっ…。」
俺は慌てて振り返ると体勢を立て直す。
そして、次に目にした物は、目の前に迫った鋭い爪だった。
「ちっ……。」
俺は無駄々と思いつつ、反射的に目を閉じてガードの構えを取る。
キイイィィィィン………
金属音に似た音が響いた。
……俺はおそるおそる目を開けた。
すると、俺のガードの腕が柳川の爪を止めていた。
「信じられねぇ……。」
生身の腕が柳川の爪を止めただと?
「グオッ。」
柳川が素早く後ろへ飛び、間合いを取る。

……一体何だって言うんだ?
俺は柳川の爪を止めていた腕を見た。
腕に傷一つ付いていない。
俺の体は一体どうなっているんだ?
…そう言えば、さっきあかり達の方へ駆け出した時、自分の体が嫌に軽
感じられた様な気がする。
もしかして…俺ってとてつもなく強くなっているのでは?
腕輪が輝いた時から、なんだか体に違和感を覚える。
…試してみるか…
俺は構えを取り柳川を一瞥する。
そして、
「うおおぉぉぉぉーーー!。」
吠えながら柳川に向かっていった。

                                                                                                         続く
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どうも、忘れた頃に顔を出す岩下です。
L.K.O.Fをやっと出す事が出来ました。
いつもながら、お待たせしてすいません(ぺこぺこ)

では、感想レスです。
>風見 ひなた様
  ご感想、ありがとうございました!
  浩之はこんな風に出ました。
>NoGod  様
 ご感想ありがとうございます! 
 月島兄は良い人?だったのですよ。
 扉を開くまでは…ですけど…

>dye様 
 ご感想ありがとうございます!
 予想外ですか?
 お約束を理解していない人ですから私は…(あせあせ)
 期待に添えるように頑張らせていただきます!

>無駄口の人様
  月島さんの敗因は…筆者の都合上………と言うのは冗談で、
  実力を出さない内に切り裂かれたのです。
  
>佐藤  昌斗様
  ちょっと古いですが、「−想いー神岸あかり編」良さげです。
  気に入っています。
  続痕ーぞく きずあとーも期待しています。頑張って下さい。

>HP制作日記にメッセージをくれた方々
  ありがとうございます!
  頑張らせていただきますので、ひとつよろしくお願いします。

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  ではでは、今回はこの辺で失礼します。

http://www.geocities.co.jp/Playtown/6385/