Leaf K.O.F大会その五 投稿者:岩下 信


            Leaf K.O.F大会第五回『芹香の怒り』

『WINNER、長瀬祐介!』
アナウンスが響き渡る。
「浩之ちゃん!」
「…………。」
浩之が長瀬の“電波”に崩れ落ちるのを見て、二人は慌てて駆け寄る。
「浩之ちゃん!浩之ちゃん!」
あかりが懸命に浩之に呼びかける。
だが、浩之は答えない。
浩之は“電波”の力によって軽いショック状態となっていた。
その様子を見ていた芹香は意を決したように言った。
「…………。」
「えっ浩之ちゃんをリングサイドに連れていって事ですか?」
こくり……。
芹香は手にしていたバックから怪しい薬瓶を取り出すと、
それを浩之に飲ませるよう指示した。
「……大丈夫なんですか?」
あかりは当然のように心配そうに芹香に聞いた。
こくり………。
力強くうなずくと、
「次は、私が出ます。神岸さん、浩之さんを早く……。」
あかりにも聞こえるように芹香は言った。
「えっでも……。」
あかりはその言葉に困惑して、答えた。
「すぐに済みますから……。」
芹香は微笑んであかり言った。
「…………分かりました。来栖川先輩。」
あかりはしばらく考えていたものの、納得したように芹香に答えた。

『許さない…第一波で倒せたものを、第二波まで使うなんて…』
私はリングの上で余裕の表情で立っている相手を睨んだ。
『しかも、第二波は強烈な物。相手は浩之さんを壊そうとした。』
肉体的なダメージだったら医療ポットで回復出来る。
でも、精神的なダメージは直せない。
『占いの通りなのね……』
私は相手の力が何なのか分かった。
それは“電波”。
人間の神経に直接干渉するいわゆる『毒電波』。
占いにこの事が出ていたので、私は“雷神”のアイテムを持つ事にした。
これを持つ私にしか相手は倒せない。
だから、私が出るしかない。

『第三戦・長瀬祐介VS来栖川芹香、レディ・ゴー!』
アナウンスが会場に響き渡る。

その声を聞くと私は右手をすぅっと上へあげた。
その手には、怪しく光る指輪がつけてある。
『雷神よ…』
私がそう念じると、指輪から光が溢れる。
相手はそれを見て一瞬引く。
「なっなんだ…あれは……。」
相手の動揺が呟きとなって出てきた。
「…くっ……。」
相手は私を睨むと“電波”を飛ばして来た。
『雷壁……』
私の前に目には見えないが一つの壁が出来る。
相手の電波がその雷壁にぶつかった。
バチバチバチバチバチ……
いくつもの紫電が弾け、相手の電波は四散する。
「そんな…僕の電波が……。」
相手は驚きを隠せない。
「こっこのぉぉぉーーー。」
相手は躍起になって先ほどより、巨大な電波を私に向けて放つ。
しかし、私の雷壁にはまばれて、四散してしてしまう。
「なっなんで…電波が消えるんだ……。」
相手はまるで宇宙人を見るような目つきで私を見た。
『手は出尽くしたようね……。』
相手の顔色から判断すると私は上に伸ばしていた手を相手のほうへ向けた。
「許しません、貴方は……」
私は相手にそう言うと、
『雷撃……』
いくつもの放電が走り、相手へと向かって行く。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー。」
相手は私の雷撃を浴び仰け反る。
「−−−−−!。」
声にもならない悲鳴をあげて、相手は倒れた。
私はその様子を確認すると、雷撃を止めた。

静まり返る会場。
しばらくして、
『WINNER.来栖川芹香!』
アナウンスが私の勝利を宣言した。

                                                 続く……

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次回予告
   怒りが爆発し、 『雷神』の力により祐介を倒した芹香。
   芹香によって勝利に導かれる浩之たち。
   そして、次の相手「月島瑠璃子」。
   彼女の口から、語られたことは?
 
    次回・『願い』
            「私ってこういう性格だったのですね……。」(芹香)
            「怒らせると恐いんだね。」(あかり)
            「………………。」(筆者)
                                       お楽しみに!
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   どもどもっ!Leaf K.O.F大会第五回をお送りしました。
   ご感想、ご意見の方をお待ちしております。
   今回は芹香の性格に苦しめられました。
   この性格は私の勝手な判断により決定しました。あしからず。
   先輩ファンの方々、失礼しました。殺人メールだけはご勘弁を…
                                         でわでわ 岩下 信