Leaf K.O.F大会第四回/『あふれる電波』
俺は琴音ちゃんや葵ちゃんの安否が気になって医療室へと足を運んだ。
俺が部屋に入ると琴音ちゃんが起きていた。
あとの二人はまだ寝ているらしい。
「やぁ、琴音ちゃん。具合のほうはどうだい?」
「私は平気です、浩之さん。」
琴音ちゃんは俺の顔を見ると微笑んで答えた。
「後の二人の様子は?」
「葵さんの方はただ、寝ているだけで、マルチさんはオーバーヒートしたとかでメンテ中です。」
「そうか…まっ怪我がなくてよかったじゃないか。」
「えぇ………。」
そう答えると琴音ちゃんは暗い表情で続けた。
「明日は、浩之さん達があの人達と戦うのですよね。」
「おぅ、明日は琴音ちゃん達の敵を取ってきてやるぜ。」
「気をつけて下さい。あの人たちは私以上の力を使います。」
琴音ちゃんは俺の顔を真っ直ぐ見つめて言った。
「琴音ちゃん以上の力?」
「そうです。あの長瀬とか言う人は頭の中に直接干渉できる力があります。
そして、それを受けると目の前が真っ白になり、頭の中を光の粒が溢れるというような感覚に襲われ、
自分の意志で体を動かすことができなくなります。」
俺は琴音ちゃんの話を聞いていたがさっぱり理解不能だった。
「分かった。気をつける事にするよ。」
俺はとりあえずそう答えた。
気をつけると言っても何をどのように気をつければいいのか…
そして、次の日、俺達の第二回戦が始まろうとしていた。
リングの先に見える二人の女の子と、さえない面した野郎。
その『野郎』が曲者だった。
何しろ、人の頭に直接攻撃を仕掛けてくるというのだ。
一体、どんな力を持っているのか……。
俺には想像が出来なかった。
『お待たせいたしました。これより“雫・長瀬チーム”VS“TH来栖川チーム”の試合を始めたいと思います。』
会場の歓声が沸き起こる。
優勝候補のチームが出るのだから盛り上がりも一際大きい。
いつも通り、一番手は俺ということにした。
相手も一番手は新城さんだ。
『新城さおりVS藤田浩之、レディ・ゴー!』
アナウンスが試合開始を告げた。
昨日と同じように新城さんはバレーボールをどこからともなく取り出した。
“さおりんスパイク”を打とうというのだ。
「遅い!」
俺は『火』を出して一気に仕掛けた。
炎が新城さん目掛けて飛んでいく。
「ちっちょっと待ってよ!一回ぐらい攻撃させてくれたって…。」
いきなり迫る炎に動揺する新城さん。
「問答無用!」
俺はそう言った。何しろ遊んでいる暇はない。
次にはあの『長瀬』が待っているのだから………
「きゃっ、熱いぃぃぃぃぃぃ。」
新城さんはよけることも出来ずに炎に包まれた。
そして、あっけなくその場に倒れた。
俺が火を取り払うと、
「やっぱりあたしってば『やられ役』なのよねぇぇぇ。」
しみじみと新城さんはつぶやき、意識を失った。
そして、
『WINNER・藤田浩之ぃ!』
アナウンスが俺の勝利を告げた。
第二戦、次の相手は予想通り長瀬祐介だった。
リングに上がると長瀬は俺を睨み付ける。
『気合十分じゃねーか……』
俺も長瀬にガンを飛ばしてやる。
『第二戦“長瀬祐介”VS“藤田浩之”・レディ・ゴー!』
試合開始だ。
俺はフルに『火の腕輪』の力を解放した。
今までとは桁違いの炎が飛び出す。
「一気に片をつけて…」
俺が長瀬に向かって炎を放とうとしたその瞬間、俺の頭の中に
ぱぁっと光の粒が溢れた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
俺は溜まらず叫んだ。
…何だこれは、視界がぐにゃりと揺れ、耳鳴りがする。
これがやつの力なのか?
「こここここのののののヤヤヤヤヤロロロロロ………。」
俺はどうにか体を動かすと炎を長瀬に向かって放つ。
だが、炎がやつに届く前に、一際でかい衝撃が俺を襲った。
脳みそが切り刻まれるような感覚。
激痛に耐え切れず俺はその場に崩れ落ちた。
続く……
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次回予告
圧倒的な『電波』の力に倒れる浩之。
それを見た芹香は自ら進んでリングに上がる。
無表情な仮面の下に隠された怒り。
芹香の力が祐介を襲う。
次回、『芹香の怒り』
「……………………。」(芹香)
〈何言ってるんだか分からないってーの〉
お楽しみに。
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うーん。やっぱりペース早いわ。
『交錯』の方はもう少しお待ちください。
楽しみに待たれている方々、申し訳ございません。
必ず上げますから……(^^;)
明日あたりには…多分・・・
PS.今までのメールアドレスに間違いがありました。
今回のは間違っていないと思います。
今までメールを送って下さった方々にはお詫び申し上げます。
これに懲りずにメールなどいただけると嬉しいです。
でわでわ 岩下 信