「るりこ、やっと…もどってきてくれたんだね。」 私はただうなずいて、お兄ちゃんの側に座る。 「るりこ、ごめんね。ぼくは…ぼくは……」 「もう良いんだよ、お兄ちゃん。」 お兄ちゃんの言葉を遮り、私は…お兄ちゃんを抱きしめた。 …暗い闇の中。 …夜明けの来る事の無い世界。 …だけど、私のたった一人のお兄ちゃんが居る世界。 だから…私はここに戻った。 「るりこ、これからは…いっしょだよね?」 「そうだよ、お兄ちゃん。私、どこにも行かないから…」 「るりこ!」 私を力強く抱きしめる。そこには、確かなぬくもりがあった……。 周りの寒さとは違って、暖かかった…。 『どうして、こうなっちゃったのかな…?』 『いつから、私達はこうなっちゃったのかな?』 優しかったお兄ちゃん、狂っちゃったお兄ちゃん、壊れちゃった私。 そして、私とお兄ちゃんと同じように苦しんでいた長瀬ちゃん… 長瀬ちゃんだったら、お兄ちゃんとおんなじだから… 長瀬ちゃんだったら、私とおんなじだから… 助けてくれると思った……… でも、私もお兄ちゃんも、そして長瀬ちゃんも助からなかった… 私には分かる。 長瀬ちゃんがまだ、泣いているのを。 「さみしい、さみしい」って泣いてる。 いままでのお兄ちゃんとおんなじように…… 今のお兄ちゃんは泣いていない。 私がそばに居るから。 さびしくないから…でも、長瀬ちゃんは…… 「…ごめんね、長瀬ちゃん…今も…大好きだよ…。」 だから私はここから長瀬ちゃんに電波を送るの… 「長瀬ちゃん、電波届いた?」 END ===================================== 「想い」シリーズの第二弾。 分類はシリアスです。 ところで、コメントって自分で付けた方がいいのでしょうか? 必要であれば言って下さい。 では、よろしくお願いします。