ファンタジア from リーフ 投稿者:意志は黒

 「思い出の小箱」


   音楽というのは,一つの物語を,しかし無数にはらんでいます。
   喜び,哀しみ,切ない想いや燃える想い・・・。
   これは,「初音のないしょ!!」トラック14の曲から構想した物です。
   それでは,意志は黒の解釈をどうぞ。

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(音楽の前に:浩之とあかりは,紆余曲折の末に,ついに結ばれる。
       二人は,荷物の整理をしている時,多くの思い出の品を見つけ,
       それらが語る幾多の思い出に,そっと,耳を傾けている・・・)


 俺は山積みになったあかりの荷物の中から,古ぼけた,小さな木の箱を見つけた。

 「あかり」
 「なぁに? 浩之ちゃん・・・」
俺の手を見てはっとするあかり。

 「この箱,いったい何なんだ?」
 「ふふふ,開けてみて!」
あかりはそう言って微笑む。

 あかりは開けて欲しくて仕方が無いらしい。
俺だけが何も知らないまま,イルカの浮き彫りが施されたその木のふたに手をかけ,
そして,ゆっくりとその手を動かした――。


 「覚えてる?浩之ちゃん。」
あかりが箱の中に指差したのは,小さくて真っ白な石だった。

 「覚えてる,って・・・。…あかりは覚えてんのか?」

 時計の針の音が聞こえる。
 「私?私はもちろんおぼえてるよ。だって・・・」
あかりは言った。「浩之ちゃんからの,初めてのプレゼントだもの――!」

 白黒の画面が蘇ってくる。


 公園で遊ぶ僕とあかり。
僕がふと地面に眼をやると,宝石みたいな,真っ白い綺麗な石を見つけた。
 珍しがって手を伸ばす僕。
 僕はそれを持ってあかりに近づく。
「なぁに?」そう言ってきょとんとするあかりの小さくて可愛らしい手に,
半ば強引に,僕はその石を握らせた・・・。


 「浩之ちゃんと私だけの,大切な思い出だね!」
 「・・・って,そんな石が,か?」
 「うんっ!」っと,強くうなずくあかり。

 そんなあかりへの愛おしさで,心が満たされていく。
 俺はあかりを真っ正面から見つめた。
あかりも俺に応じてそっと眼を閉じ,俺達は,長く,長く,唇を重ね合った。
ことり・・・と落ちる俺達だけの思い出の宝石。

 このまま時間が止まってしまいそうな・・・そんな空気が俺達をつつんでいた。


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 こんにちは意志は黒です。
音楽を聴きながら片手間で書いたら,すぐに終わってアナザーを追い越しちゃいました(笑)
こういう事を以前書いた方がいらっしゃったら,今後その曲とは被らない様にします。

 …しかし,この曲短くって・・・全体が1’46’’ですから,
それに合わせた文量でして,書きたい事,ぜんぜん書けなかったです・・・。
こだわらない方が良いかもしれないなぁ・・・とか思っています。
・・・さ,アナザー書こうか・・・(笑)