過去の魂(2008/1)


2008/1/30(Wed)

 車で帰宅の途中、信号のある交差点で停止したのだった。もちろん、自車の進行方向に赤信号を認めたからなのだが、停止線の付近が多少上り坂になっていて、それに合わせて車を停めると、ヘッドライトが対向車の運転手の顔を直射するような角度になるため、あぁこれは拙いと思い、ヘッドライト・スイッチをスモールのポジションにしたのだ。

 さて、俺の置かれた状況はうまく伝わっただろうか。正確に相手に何かを伝える作業というのは本当に難しい。難しいものは易しくしてしまへ、というのが俺の持論ではあるが、伝わらない事には話が先に進まないので、先の表現で伝わった事にする。

 ところが、俺の心配は杞憂に過ぎず、信号が青に変わるまでの間、対向車はおろか、歩行者や自転車に乗った人さえも現れなかった。
 カーラジオから流れてくる曲に合わせて指でリズムを取りながら暫く待つうちに信号が青に変わり、ヘッドライト・スイッチを点灯の位置にして車を発進させた。当然、ヘッドライトが俺と俺の車が進まんとする先を照らす。だがしかし、どうも様子が変だ。いつもと違う。なにがどう違うのかは漠然としていて、その違和感がどこからやってくるものなのかも庸として知れず、なんだか餅が喉に痞えるのを想像して嘔吐く時のような気持ちの悪さを抱えたまま走り出してから暫くして、メーターパネルに見慣れぬものが表示されていることに気がついた。
 なんのことはない、右前照灯のバルブが切れたのだった。

 週末に車検に出す予定なのだが、それを目前にしてバルブ切れってのは、なんだか。まぁ、こういうものは切れる時は切れる。そろそろ切れるかな、と思ってもなかなか切れない。実際、八年程前に交換した筈のセリカのPIAAのバルブは、未だに切れないでいる。まぁ、こう書くとそっちも近いうちに切れる気がするが。いや、気の所為か。
 そんな訳で、バルブ交換の必要に迫られているのだ。とはいえ、今付いているフィリップスの純正バルブに不満はないので、ノーマルハロゲンでいいや、と。
 というのも、色温度がどうのという所謂高効率バルブという奴が、値段ほどの効果を得られないことは先のセリカのバルブ交換で身を持って実感してしまっている訳で。
 とはいえ、昨今はノーマルハロゲンを入手する方が困難なのではないかという懸念もあり、それなら車検時に交換して貰う、というのが手間要らずな感じで素敵だ。ただ、このような状況にならない限りは素通りしてしまうカー用品店のバルブコーナーを冷かすのも一興な訳で。
 なんにせよ、楽しい。

2008/1/29(Tue)

 水戸へ出張してきた。
 が、成果はあまり得られず。メイルで済む用事をわざわざ大人が四人も交通費を使って出向く、というだけでもうダメである。
 いや、そうではなくて、本当は現地でなければ出来ない端末操作を必要とする作業に伴って、ついでにヒアリングもして夜は飲みましょう的な計画ではあったのだけれど、結局出来たのはヒアリングのみ。二時間ほどで終了。飲むには早過ぎる時間のためそのまま帰宅。むー。
 帰りの常磐線の中で、一緒に行ったうちの一人と缶ビールを片手に仕事について熱く語った、というのが一番の収穫だったかも知れない。つまり、若い人達が真剣に自分の仕事と向き合おうとする姿勢と、そのことをたまたま十年ほど早くに出生したというだけの理由で彼らよりも十年ほど長くこの業界にいるというだけの俺のようなダメな大人が真顔で相談されるような状況は、嫌いじゃないのだなぁ、というだけのこれは話で。

 で、職場の女子に何か土産を買って来い、と指示されたので、納豆由来でない土産を買って帰った。割と好評だった。

2008/1/23(Wed)

 胃痛でダウン。

 先週末はキムラくんと成田山へ厄除けに行った。
 実は昨年も同じ頃にやはり厄除けに出かけたのだが、昨年と比べると圧倒的な人出に驚く。驚いたところで参道が歩き易くなる訳ではないので結局のところそういう感想を持った、というだけの話なのだが、どうやら今年は成田山開基1070年にあたるそうで、『開基一〇七〇年祭 記念大開帳奉修』なるイヴェントが開催されている所為であったようだ。
 ところで成田山は新勝寺という寺院であるので、初詣や厄除け(神社で言うところの御祓いとは別か?)などの神事とは一見無関係のように思える。が、実際には慣習として成田山に初詣や厄除けに訪れる人は後を絶たない。もちろん、明治時代の神仏分離令によって神社と寺院の役割を分離しようとした結果、神事は神社、仏事は寺院という役割を与えられた所為でこのような混乱が起こるのだが、成田山に訪れる人々はそれほど混乱しているようには見えない。というよりむしろ、アタリマエのように振舞っている。
 と、ここまで考えて、寺院で神事を執り行う、という背景にこのような事情があるのを知らなかったのは自分だけなのではないかという事実に行き当たった。なるほど。無知は恐ろしい。
 とはいえよくよく考えてみれば、そもそも日本古来の宗教は神道であり、仏教は外来宗教ではなかったか。そして、それらは神仏習合によって神宮寺などのように神社の一角に寺院が建立されたことにより、寺院でも神事が行われるようになったのではなかったか。というように、殊更日本人にとっての宗教感というのは曖昧模糊としていて一貫性がないものなのだなぁ、と。
 などと小難しいことを考えたところで答えは出ないし、そもそも答えなどないのかも知れないが、安政五年に建立されたという、重要文化財でもある釈迦堂の伽藍の中で袈裟をつけた僧侶が祓串を振りつつ祝詞をあげるのを聞きながら、そんなことを考えていたのであった。



2008/1/17(Thu)

 起きて外を見たら一面の雪。車に三センチ程も積もっていた。
 と、こんな日に限って朝一で横浜で打ち合わせ。七時前に家を出て恐る恐る車を走らせ、駅へと向かう。



 電車内も寒い。が、都心に近づくにつれ雪景色は薄れていく。横浜に着くと、雪が降った痕跡さえない。が、やはり空気はかなり冷たい。
 打ち合わせを終え、昼飯を横浜で食べ、幕張へ向かう。と、横浜駅ビル内で売っていたシュークリームが美味そうだったので、職場への土産に購入。電車で移動。
 幕張本郷駅でコンビニに入ると、探していた350GTを発見。購入。



 バスで職場へ。商用トラブル対応その他。資料の作成など。
 職場近くの居酒屋で同僚と飲む。が、駅から家までは車なのでウーロン茶で我慢する。
 帰宅。NFLプレイオフ(カウボーイズvsジャイアンツ戦)を観る。
 ほどよい疲れが心地良い。

2008/1/16(Wed)

 ストリームの修理は完了。
 部品の取り寄せに結局一週間かかり、その部品の交換に約一時間で無事に復調。サービスキャンペーンの事象は無関係であることもわかり、一安心。いやでもそれにしても、この店の対応は非常に丁寧かつ親身で、世知辛い世の中にあってオアシス的な存在だなぁ、と。何を言っているのかさっぱりだが。

 そして、アサヒのWONDAコーヒーにランボルギーニのプルバック・ミニカー全六種が一缶に一個付いてきて、しかもドアが開閉するなどというギミックまで付いてきた日にゃあーた。大人買いもするってぇーもんだ。



 ただ、350GTだけが発見できず。んー、でもこのドア開閉のギミックはカウンタックとかムルシエラゴのようなシザース・ドアでこそな訳で、ミウラとかウラッコとか350GTなんかはこのシリーズに登場する必然性は薄いよなぁ。まぁ、ミウラなんかは嬉しいけど。ウラッコは良い出来なんだけど。
 まぁ、見つかれば買う。って、あたりまえか。
 でもなぁ、集めたからどうってこともないんだけど、プルバック・ミニカー(チョロQではない)が缶コーヒーのおまけになってしまう時代なんだなぁ、と。おまけが欲しくて必要のない商品を買ってしまう、という本末転倒な企画は昭和四十年代に仮面ライダーチップスなどによってすでに確立されていた訳だけれども、この調子だといずれ、ラジコンがおまけになってしまう時代が来るやも知れず。いや、来る筈。来て欲しいなぁ。

2008/1/5(Sat)

 またもやストリームにトラブル発生。
 去年、那須にピザを食いに出かけた時に気付いたDレンジの点滅が再発。しかも、点滅している時でも一旦キーをオフにしてからエンジンを再始動することで点滅しなくなったりと、症状が一定しない。ダメな時は点滅しっぱなしだし。ただ、点滅したからと言って特に不具合は感じられず。
 ということで早速ディーラーに持ち込み、点検を依頼。二十分ほどで、シフト・ポジションを検知するセンサの不良という説明があり、部品入荷後に交換を実施して貰うことに。もちろん、延長保証の対象内なので無償。
 帰宅後、気になったのでホンダのリコール情報を検索してみると、リコールではないものの、サービスキャンペーンというカテゴリの中に、同事象による不具合を改善するための情報が記載されていた。対象車両を確認してみると、どうやらうちの車もその中に含まれるようだ。
 部品交換時にそのことを指摘してみようと思うのだが、それにしてもしかし、リコール未満の不具合事象の改善を「サービスキャンペーン」などと言うのは如何なものかと。どうもこの呼称は国土交通省の規定に従っているもののようで、トヨタでも日産でも同じ表現が使われている。微塵もセンスが感じられない上に、そもそも製造側の不手際による不良箇所を改善するための無償改修な訳だからして、意味のわかり難い曖昧な英語などを用いずに、はっきりと日本語でそう記載すれば良いのではないか。
 ダメだな。国土交通省。


2008/1/2(Wed)

 正月、ということで、弟妹達にとっての実家であるところの我が家に彼らと彼らの家族が挙って集ったという訳であった。
 とはいえ、帰省などという大袈裟なイヴェントなどではなく、まぁ確かに千葉の田舎に住まいを構えてはいるが、彼らの住居は我が家まで車で一時間かそこらの距離にあり、まぁちょっと行ってみっか的な習慣、というだけのことである。
 と、ここまでの内容を簡略化すると、およそ次のようになる。
 正月に弟妹家族が遊びに来た。
 さて、今年もまたこれまでと変わらず回りくどい書き出しで始めてしまったが、弟が現行ゴルフに乗ってきたので少しばかり乗らせて貰った。
 実はこ奴は俺などと違い、ハッチバックしか乗らない、というポリシを貫く堅物なのであった。この車の他に営業車としてヴィッツも持っているようなのだが、ヴィッツの前はスマートに乗っていた。で、ゴルフの前は俺が乗っていたのと同じ型の5ドアのポロに乗っていたし、その前はファミリアに乗っていた。そのさらに前は二代目シティに乗っていたハズなので、ハッチバックしか乗らないのだ、と俺が勝手にそう思っているだけなのかも知れないが。
 それはそうとゴルフだが、グレードはエントリー・モデルのE。4気筒1.6Lのエンジンは至って普通ながら、6ATとの組み合わせは軽快。アクセルは、本当にドイツ車かと思う程に軽く、その点についてはブレーキのタッチも同様。室内は充分に広く、左右はともかく前後方向の余裕はうちのビーエムよりもはっきりと上だ。緩やかにでも、確実にトランクへ向かって下がっていくセダンに比べて、ほぼフラットにボディ後端まで続くルーフがもたらす頭上空間の開放感は、今更ながらになるほどなぁ、と思わせる。ただし、荷室容量は見た目ほどに大きくなく、大人四人が移動するための過不足のない空間を確保する目的の上にこのデザインが成り立っていることがわかる。
 総じて同クラスの日本車に比べて百万円ばかりのエクストラ・コストを支払うのに見合うだけの機能を備えている、という点に好感を持ったのだが、なにからなにまで全てに於いて優等生であり、乗っていて楽しいか、と言われるとそうでもない。GTIであるとかR32といったホット・バージョンであればそんなこともないのだろうが、なにせこ奴は車同様面白くもなんともない人間なので、まぁ、俺のようなヤクザな人間が何を言っても馬耳東風なのである。
 という訳で、こ奴が俺のいいかげんな人生を反面教師としたのではないかという推測はあながち間違っていないと思う年の初めであった。



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