過去の魂(2007/8)


2007/8/28(Tue)

 友人からこんな画像が送られてきた。



 池袋のアムラックスに展示されていたそうなのだが、彼が思わずカメラを向けた気持ちはわからないでもない。というより、俺でもそうする。
 というのも、彼も俺もスーパーカーブームを支えた小学生の一人であったからに他ならない。
 当時すでに安価なコンパクトカメラは存在していたが、それでも主流は一眼レフであり、とてもじゃないが小学生が扱うようには出来ていなかった。しかし、憧れのスーパーカーをフィルムに焼き付けたい、という強い思いは、近所のカメラ店に群がり店主の講釈に聞き入る小学生の姿があちこちで見られた事に現れていたように思う。
 カメラも売れた。しかも、小学生が持つにはあまりに不釣合いな200mmや400mmといった望遠レンズまでもが、だ。今では考えられない状況であったが、とにかく、一眼レフカメラを扱うにあたり、フィルムの装填からピントの合わせ方(当然、マニュアルフォーカスだ!)、露出とシャッタースピードの関係やフラッシュタイミングに至るまで、俺自身、父親から借りたカメラで必死に覚えたものだ。
 さて、昨今は携帯電話にカメラ機能が搭載され、誰もがいつでもすぐに取り出して写真を撮る時代になった。当時の小学生のように複雑で煩雑な手順を学習する必要もなく、綺麗な写真が撮影できる。フィルムの装填ミスなどの失敗もなくなった。画像は電子ファイルとして保存され、プリントの必要もなくすぐに閲覧が可能で、無限にコピーが出来、メイルに添付して外部に送信することも出来る。
 それが幸せなことかどうかは別として、便利な世の中にはなった。ただし、便利になったことによって、情熱であるとか衝動などの感情が希薄になるつつあるような気がする。好きだからこそ極める、などという台詞はもはや死語になった。テキトーにやっていればなんとかなるようになった。
 だからこそ、夢中になれるものを持っていたいなぁ、と思ったのだった。

2007/8/23(Thu)

 さて、遅い夏休みを利用して買い物に行ってきた。ま、夏休みでなくても買えたってのはご想像の通り。



 一見、何かのオブジェのようにも見えるのだが、そうではない。ということにはすでに皆様お気づきであろうが、一応、言うだけ言ってみる。



 正しい商品名かどうかは知らないのだが、世間一般では『第三の手』という名で流通している器具である。上の写真のように、半田付けなどの作業を行う場合、まさに『第三の手』として大活躍だ。



 こんな風にスイッチやポッドなどへの配線も超楽!
 いやぁ、参っちゃったなぁ、こんなに楽しちゃって良いのかなぁ。



 コイツの凄いところは、アイデア次第で様々な利用方法があるところ。
 例えばタバコの吸い指しを保持するのにも使える。



 譜面立てとしても使えて超便利!



 レース中のピット作業もイケそうだ。



 そして、エイリアン系モンスター風フィギュアとしても楽しめる!
 って、これはないな。
 つーか、最近ギター弄ってないんだよなぁ…。

2007/8/21(Tue)

 あなたはビルの十四階へ行くのに、一階からエレベータに乗った。あなたの他には誰も乗っていない。ところが、二階で乗り込んできた人が三階のボタンを押したのを見て、あなたは心の中で舌打ちをする。
 三階でその人が降りた後、今度は四階に止まり、大勢の人が乗り込んでくる。乗り込んできた大勢の人達は、めいめいに自分の目的の階のボタンを押していく。あなたの血圧はちょっとだけ上昇する。
 五階に止まり、一人が降り、六階に止まり、また一人が降りる。ところが、七階に止まっても誰も降りようとしない。さらに、誰も閉じるボタンを押そうとしない。あなたはエレベータの箱の奥の方へ追いやられて、ボタンを押すことができない。イライラと指先で壁を叩くばかりだ。
 八階に止まり、あなた以外の全員が降りる。九階から先、停止の予定はない。あなたは少しだけ平静さを取り戻す。
 十階で一人が乗り込んでくる。だが、開くボタンを押したまま、ドアの外を伺っている。どうやら同行者が来るのを待っているようだ。あなたの血圧はさっきよりも早いスピードで上昇していく。
 やがてその同行者がやってきて、扉が閉まる。十一階で降りるようだ。あなたは諦めにも似たため息を吐き出すことに、ためらいを感じなかった。
 十一階に止まって彼らを吐き出した後、あろうことか十二階でエレベータが停止した。乗り込んできた人は、目的の階を探して制御盤の上にウロウロと指を彷徨わせる。あなたは耐え切れずに、閉じるボタンに手を伸ばす。
 扉が閉まるか閉まらないかのタイミングで、十二階から乗り込んできた人が上下行表示を見て軽く驚き、聞こえるか聞こえないかの小さな声で「間違えた」とつぶやきながら、十三階のボタンに手を伸ばそうとしたその時、あなたは十五階から上の全てのボタンを押してやろうと心に決めていた。
 犯行の理由を聞かれたところで、「ピンク色をした雲が、夕空に広がっていたから」と言う他に言葉が見つからないではないか。



2007/8/19(Sun)

 盛夏である。
 日曜日である。
 にも関わらず出勤である。



2007/8/18(Sat)

 ストリームのタイアを『Playz PZ-1(195/65/15)』に交換。
 元々付いていたタイアは同サイズの純正ぽいダンロップの安物。なので、ドラスティックな変化を期待していたのだけれど、これが予想以上に良かったのだ。
 ホンダ車のサスは、そもそも伝統的に他社の車と比べると硬めの設定で、ストリームもその例に違わずだったのだが、その硬さくる段差を乗り越えた時の突き上げ感がかなりマイルドになった。と同時に、二つ目の曲率が小さくなるような複合コーナーでの腰砕け感が解消された。つまり、大入力に対しては瞬時に衝撃を吸収し、じわりと加重が乗っていくような場面では踏ん張るセッティングにしたサスに交換したような感じがするのだ。その一方、グリップが向上したせいでロールは大きめになったようだ。
 少し前にキムラくんがレガシィのタイアを純正のポテンザRE040からやはりPlayzに交換したのだが、交換後に運転させて貰ったところ、今回ストリームで感じた事に加え、キレはそのままながら、ステアリングのキックバックがかなり緩やかになったという感想を持った。まるでメイカーから金でも貰ったかのような記事になってしまったが、さらに、静粛性もなかなかのレベルであるように思う。
 ただし、レガシィの場合(GT-B E-tune)、曲率が小さな、定常円旋回のようにステアリングを固定して回っていくようなコーナーでは、ポテンザに比べての話だが、若干サイドウォールの剛性不足を感じた。ただしただし、あまり信じたくはないが、純正装着のポテンザRE040よりPlayzの方が街中でのグリップ性能が良い、ということからくるロールの増加がそう感じさせた可能性もなくはない。実際のところがどうなのかは評論家ではない俺にはわからないが、ここまで述べた事象については、主観ながら、事実ではある。
 いずれにせよ、久しぶりに感動的なモノとの出会いではあった。

2007/8/14(Tue)

 二十七年くらい前にすでに気づいてはいたのだけれど、三十年以上経ってようやく、どういうことだったのかを知ったという訳。
 勿体をつける必要も必然も全くないのではあるが、「ロータス・ヨーロッパ」についてのこれは話なのだ。
 「ロータス・ヨーロッパ」については今更俺が語るまでもなく、コーリン・チャップマンが起業したロータス社が1966年に発売を開始したスポーツカーのことであるが、この車の英語表記が「LOTUS EUROPA」であることに、中学生の俺は気づいていながらそれを深く洞察することをしていなかったのだ、と思う。
 「ヨーロッパ」という単語を知ったのは、「素晴らしき世界旅行」であっただろうか。とにかく、「アメリカ」じゃない外国のどこかだ、という認識は小学生の時にすでにあったと思う。なので、この車を知るきっかけになったあの漫画がこの世に出たとき、すでにそれが「アメリカ」じゃない外国のどこかを名前にした車なのだなぁ、という感想を抱いていた訳で。三十年以上も。ホンの昨日まで。
 でも俺は気づいてしまったのだ。欧州を表す「ヨーロッパ」の綴りが「EUROPE」であることに。いや、前述した通り、中学の英語の授業でその単語を習ったときにすでに気づいていたのだ。
 勿体をつける必要も必然も全くないのではあるが、そもそもこの車の英語表記は「LOTUS EUROPA」であり、「LOTUS EUROPE」ではない。だからどうしたというのだ。いやつまり、コーリン・チャップマンはこの車に木星の第二衛星と同じ名前、「エウロパ」と名づけたのであったということに、今更気がついたのであった。
 そもそも木星を表すジュピター(ユピテル)はローマ神話に登場する主神の名(ギリシア神話ではゼウス)であり、一方、木星の衛星であるエウロパ(エウロペ)は、ギリシア神話でゼウス(≒ユピテル)が一目ぼれした挙句に妃とすべくフェニキアからクレタに連れ去った女性の名である。
 ここで問題なのが、日本語表記では車名としての「EUROPA」も欧州を意味する「EUROPE」も「ヨーロッパ」とされることである。木星の衛星を指す場合には、「EUROPA」をラテン語読みの「エウロパ」としていながら、車名を指す場合には「ヨーロッパ」とするのは如何なものか、と。つまり、こういう曖昧さが日本に於ける英語教育の妨げになっているのではないかと憂慮する次第である。
 話を戻す。
 フェニキアからクレタへとエウロパを連れ去る際に、連れ回した地域がこの女性の名にちなんで「EUROPE」と命名された。つまり、「EUROPE」も「EUROPA」も語源を辿ればこの女性を指す訳で、日本語表記に於ける「ヨーロッパ」も「エウロパ」も同意であるという事実に行き着く。ちなみに、神話に登場する「エウロパ」の英語表記は「EUROPE」であり、「EUROPA」はラテン語表記によるものだ。
 さて、コーリン・チャップマンはラテン語表記の「EUROPA」をこのスポーツカーに冠した。つまり、島国のバックヤード・ビルダーであるロータス社が、ドーバー海峡の向こうに見たヨーロッパ大陸を走り回るこの車の姿を、同じようにその大陸を駆け巡ったかつての女性になぞらえたのであろうことは想像に難くない。ちなみに、この車の最初のモデルである「S1」には、英国車であるにも関わらず左ハンドルの設定しかなかったそうだ。このことからも、命名通りにヨーロッパ大陸へ進出しようというチャップマンの意気込みが伺える。
 実は、個人的には「ヨーロッパ」だろうが「エウロパ」だろうが、どちらでも良いのである。その意味を正しく理解しておきたいだけなのだ。曖昧なことを曖昧なままにしておく行為が、母国語である日本語でさえも理解できない若者と同次元の事なのだということに思い至った今日という日なのであった。

2007/8/7(Tue)

 今更ながら、CM'sの『ラリーカーコレクション SS.6 TOYOTA(1/64)』から歴代セリカ三台(上からST165/ST185/ST205)を入手。







 そんだけ〜。



 おまけの『スバル R1』。

2007/8/6(Mon)

 そういえばすっかり忘れていたのだけれど、四月に「スーパーカー消しゴム」の復刻を叫んだ訳だが、その後少しして、神の福音か悪魔の所業か、ポッカコーヒーのキャンペーンで食玩界にカー消しが登場したのだった。
 が。



 『歴代トヨタ カーフィギュアコレクション』って…。しかも、『ペイントしても楽しめる』って…。
 どこの世界にカー消しをペイントして楽しむ輩がいるというのだっ。



 スープラだね。うん。
 全5種とのことだが、ラインナップは、セリカLB、チェイサー(GX61)、スープラRZ、ソアラ430SCV、エスティマG。
 届いていないよ…。全くもって俺の思いは届いていない。ないったらない。
 『スーパーカー消しゴム』を復刻してくれ、とは言ったが、こんな普通の車のカー消しを復刻してくれなどとは一言も言っていない。しかも、ご丁寧にノック式ボールペンを使った遊び方の解説書まで付いてきたが、それはおせっかいが過ぎるというもの。往時を知る人間が、これを知らない若者達の前で実践してみせることによってのみ、そこに驚きを伴った世代間のコミュニケーションが成立するのではないのか。そして、そこにこのような商品が世に出る意義が存在するのではないのか。
 なんにせよ、早急に版権問題を解決(ゲリラ的にやってしまっても可)し、一刻も早く今度こそ本物の『スーパーカー消しゴム』を復刻させるべく、関係各位の猛省とさらなる努力を強く望む。
 って、偉そうに書いちゃったけど、頼みますよホント。

2007/8/5(Sun)

 ストリームの『PGM-FI警告灯』が点灯。



 という訳で、早速購入店へ修理に出してきた。
 担当者の説明によると、どうやら『O2センサー』とやらが逝ってしまったらしい。どうも、理想空燃費を算出するのに使われる、排気ガス中の残存酸素濃度を測るためのセンサーらしいが、これが機能しなくなるとガスと空気の混合比が一定になってしまうらしく、放っておくとエンジンが不調となる原因になるとのこと。
 つまり、カリカリメカチューンのキャブ車で渋滞路を走った時のようになる場合がありますよ、と。そう言って貰えれば俺でもすぐに理解できるんだけど、要するにガスと空気の混合比を決めるためのセンサーのひとつが壊れた、と。そういうことでした。
 実はこの車はホンダディーラー系の中古販売店で購入したのだが、購入後一年間の保証が自動的に付いてきて、さらに一年または二年の延長保証がエクストラ・チャージを支払うことによって可能になるとのことだった。で、今年の五月で自動的に付いてくる一年間の保証期間は切れていたのだけれど、購入時に一年の延長保証を申し込んであったので、今回の修理も無償。おぉ、申し込んでおいて良かったと思ったものの、よくよく考えてみれば、O2センサーとその交換工賃の正規の値段が、延長保証にかかった費用を上回ることはあるのだろうか、いやいやさらに、来年の五月までの間にかかる修理費用の総額が、延長保証にかかった費用を上回ることはないんじゃないか、と。
 家路を辿る道すがら、そんなことを考えていましたよ。




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