荒川強啓デイキャッチ
放送日:2001-08-10
筆記:いとう
イントロダクション
…寒くて水が凍り、トイレの水が出なかったという、リスナーのエピソードにつづけて…
宮台先生 :いやーね、あの寒いところのね、そのー、別荘地とかに僕の友達の別荘があったりするんだけど、いやちゃんとね、夜中水抜きとかしとかないと凍っちゃって水出ませんよね(笑)。
(略)
宮台先生 :で、やっぱ寒いとこの旅館でもね、出しっぱなしにしといてくださいというとこありますよね。
デイキャッチランキング
10位 - 自民党がKSDに1億円支援。党費たてかえで事実上返還。 24票
宮台先生 :これね、あのー、旧参議院のね、比例代表制のいわゆる各党の名簿順位、つまり、自民党の中の名簿順位をね、決める時にどれだけの党員を獲得したかということをですね、指標にするということで、要するに党員を買うということをですね、やっていたんですね。

でー、まあ、これに対する反省ということで、その、前回というか、こないだの参議院選挙から、非拘束名簿式比例代表制ってのが始まったんですけれども、これも実は、本当は口実でね、あのー、実はよく見てみると、あのー、たとえば、保守党の扇党首、かろうじて当選していますけれどもですね、えー、たとえば、彼女、もうちょっとで落ちるところだったんですよね。でー、実は、その、彼女よりも、その何10 分の1の票で当選していらっしゃる、つまり、個人名を書いて、その個人名は何10分の1っていう票で当選している人もいらっしゃっるんですね。

ある意味では、ちょっと違憲性の強い制度がね、そのー、僕は現在の非拘束名簿式比例代表制ではないかというふうに思っていますが、そうした制度のきっかけになったのは、このKSD事件だということを皆さんちょっとおぼえておいていただきたいと思います、はい。
9位 - 夏休み本番。成田空港では出国ラッシュ始まる。26票
…今夏、海外旅行へ行く先の人気地域が、1位ヨーロッパ、2位韓国、3位アメリカ、というデータをうけて…
宮台先生 :韓国2位に入ってますねー、うーん。
…強啓さんの、日本人の休暇期間(長くて約1週間)がヨーロッパ諸国並の1、2ヶ月になって欲しい、というコメントにつづけて…
宮台先生 :もしそうなればね、これはね、消費需要の拡大にもなるんですよ。えー、だからそういう体制にね、僕はね、いずれね、移行せざるを得ないと思っています。あのー、私昨日まで沖縄にいましたけれどもね、往復の航空運賃でね、10万ですよ。勘弁して欲しい。これだったらね、海外行ったほうが安いわ。
強啓さん :だって、早朝割引使わなかったの。
宮台先生 :いやだからそういうのはね、もうあっさり決まっちゃうんですよ、えー、ハイシーズンは(笑)。
…強啓さんの、ヨーロッパ諸国では休暇中に自宅をホテル代わりに貸し出しているのに日本にはその習慣が無い、というコメントにつづけて…
宮台先生 :民族の違いもあるし、やっぱりね、あの、戦後の政府の政策がね、そうしたものをやっぱ奨励しないっていうことだったわけですよ。できるだけ馬車馬のように働いてもらって、で、国民総生産の増大に貢献してもらうと。ねー、で、これからはね、輸出産業どうのこうのじゃなくて、何度もいろいろ言われているように、国内需要が大事ですから、ね。今度は、馬車馬のように働くんじゃなくて、馬車馬のように使っていただく方がいいですね。
…強啓さんの、長期休暇を取ることから職場での孤立が不安視される、というコメントつづけて…
宮台先生 :でもね、あのー、たとえば、オランダなんかで出てきてますけどね、ワークシェアリングって発想があるけれども、その、雇用の総量が減ったんだったらね、みんなで働く量を減らしてシェアしましょうと、パートタイマーも含めてね。その分みんなで消費の時間を増やして、で、その国民総消費の増大に貢献しましょうと、こういうことでいいんじゃないんですか。
8位 - 車にはねられた熊。この恨みからか、秋田自動車道を止める。28票
…アナウンス中に流れた「グアー、オー、グー、ウー」という効果音について…
宮台先生 :いや、熊の鳴き声ってあーなんですね。あれは熊の鳴き声なんですか。
強啓さん :そうです。
宮台先生 :なんか犬みたいにも聞こえましたね、はい、、、いやー、まー、初めて聞きました(笑)。
7位 - イスラエルでの自爆テロに対し、イスラエル軍が報復攻撃開始。38票
宮台先生 :そうですね、これ、日本人には最も理解しにくいね、出来事の一つですよね。でー、結局、このー、まー、聖地エルサレムってのは、もともとそのユダヤ教があったわけですけどもね、キリスト教もイスラム教もその順番で、つまり、えー、ユダヤ教から分かれて出現して、いわば、兄弟の宗教なんですね。ユダヤ教、キリスト教、で、えー、イスラム教。

でー、その長い間ですね、その聖地エルサレム、ま、たとえば、イスラムの場合には、聖地メッカが聖地なんですけどもね。あのー、要するに共存してたんですが、要するに、そこに、国家っていう要素が入ってくることによって、こういう対立が起こるようになったんですね。つまりね、宗教というファクターだけであれば、こういう対立はもともと非常に起きにくかったし、イスラーム、つまりムスリムというのは、もともと非常に、あのー、どう言ったらいいでしょうね、キリスト教徒に比べても、その十字軍のような戦争をしない、わりと穏健なね、えー、その宗教なんですよ。

ところがそれがその国家が絡んでくることによって、そのイスラム原理主義といわれる、うー、方々がね、比較的、そのー、キリスト教徒等に比べても過激な行動をとるようになって、で、もちろん、これ、誰が悪いっていうことをね、その、一挙に裁断しにくいような、非常に難しい歴史事情があるんですが、こういうことになってるわけですね。
6位 - えひめ丸捜索で船内捜索支援のため、救難船が日本を出発。42票
…コメントなし…
5位 - 「つくる会」の事務所のビルが放火された事件で犯行声明届く。44票
宮台先生 :いや、困ったもんですね。あのー、まあ、言論で戦って欲しいっていうのは、まあ基本なんですけれどもね、まあその、軍と名乗ったりとかですね、革命的火炎弾攻撃というふうな、そういうね、ま、標榜も含めて、あのー、要はギャグじゃないんだから、あのー、真面目なね、やっぱ論争をするべきですよ。

僕のね、そのー、友人でもある、まあ、一水会元代表の鈴木邦男さんがよくおっしゃってるけどね、やはりその、言論で戦えるんだから、その、言論で戦うべきなんですよ。むしろ、言論で戦わないと、言論で戦う力を疑われちゃうというファクターも出てきてしまうし、そういう意味で、全体的な世論の動きもね、そのー、たとえば、テロリズムをした側につくなんていうことはですね、もうよほどのことがないと期待できないですから、そのへんをちょっとお考え頂きたいと思いますね。
4位 - 外務省不祥事で真紀子大臣自らの処分は給与を自主返納。 54票
宮台先生 :僕ちょっと驚いたのはねー、あのー、大臣の1ヶ月の給与が50万円っていうのはずいぶん少ないなーっていう印象ですよね。これはTBSの社員さん、同年齢の方なんかに比べても相当安いような気がする。で、あのー、もちろん、議員歳費とあわせればね、そうとうなお金になるんだけれども、たとえば、その経済界からですね、えーこういう大臣さんに民間からピックアップされてきた場合はね、やっぱり 50万円なんでしょうかね、このへんがちょっと気になります。あとやっぱもう一つはね、あのー、松尾元室長不祥事問題では、そのー、河野元外相は、僕の記憶ではね、6ヶ月給与返納したという、そういうことがあったのに比べると、あっ、少ないかな、いやいや、それがだからどうだってわけじゃないんですけれどもね。
強啓さん :全額でしたっけ、河野さん。
宮台先生 :えー、どうでしたっけ。僕は全額6ヶ月と記憶してました、違いましたっけ。
強啓さん :あっ、ちょっとそこんところはっきりしませんけれども。
宮台先生 :すいませんでした。はい。
Yomiuri On-lineには、機密費流用問題での河野洋平外相(当時)の処分は、首相からの厳重注意と給与自主返納(6か月)とありました。
3位 - 関東でついに5年ぶりの取水制限。只今のところ一般家庭への影響は無し。59票
…人工降雨作戦について…
宮台先生 :あのー、硫黄化銀のね、細かい粒子をその水蒸気の多いところに、こー、ばら撒きますと、そうすると、要するに、雨降り雲ができるというやつで、僕が小さい時に読んだ本に、そのメカニズムが書いてありました。小学生の時に読んだ本ですけどね、同じやり方ですね。
(略)
宮台先生 :SF的にはね、その、気候をコントロールできるようになるにはね、やっぱり、おそらくまだ数百年かかるんですよね。
2位 - 北海道広尾町の幼児殺傷事件。犯行動機はお金と下着? 72票
宮台先生 :みなさんね、たぶんこの事件聞くとお金欲しさだったにしろ、下着ドロだったにしろ、こー、ものごとのね、大切さの優先順位がよく分かってない気がしませんか。たとえばね、下着泥棒なら大騒ぎにならないと思ったっつって、その幼児をね、殺害したら大騒ぎになるに決まってるわけで、このへんのね、そのー、優先順位の混乱っていうのが、まあ、昨今の少年犯罪についてもよく言われているけれども少年犯罪だけではなくてね、まあここでも繰り返し言ってるように、やっぱ大人の犯罪にも、もう最近、広範に見られますよね。まあ別の言い方をすると、やっぱり人を殺すことの敷居が非常に低くなっちゃているというふうに言うしかない、非常に奇妙な事態ですよね。
強啓さん :この容疑者、大人っていうよりも子供ですよね。
宮台先生 :まあ子供でも、、、子供って言われちゃ、子供がかわいそうな気がしちゃう(苦笑)。
(略)
宮台先生 :だから、これもねー、あのー、僕はよく分からないんだけど、やっぱりこの、プロファイリングによるデータの蓄積が非常に必要な部分でね、つまり、この容疑者は多分、そんな大きな前歴がない方ですよね。突然、こういういきなり大きな犯罪に出てしまう。で、それも、その、とても計画性があったどうのこうのというよりも、まあ、侵入することについては、ずいぶん計画性があったように見受けられますけれどもね、その行動については全く突拍子も無いわけでね、このへん、こうなんとかね、そのー、こういう事件を減らすにはやはりそのデータの蓄積が必要でね、うーん、そのへんをやっていただきたいと思います、はい。
1位 - 小泉総理、総裁再選。課題の特殊法人見直しで早くも省庁から抵抗。84票
…日刊ゲンダイ、二木啓孝さんの特殊法人(道路公団、住宅都市基盤整備公団など)の説明、につづけて…
宮台先生 :1つだけ補足しておきますとね、あの、財政投融資資金っていうのがありましてね、今、ふたつきさんが説明されたけれど、これはあの、いわゆる小泉さんのおっしゃっているですね、郵政3事業民営化を行えば、この、えー、財政投融資資金がですね、今のかたちでは運用できなくなりますから、ただちに特殊法人の解体に結びつくとても大きなポイントなんですね。だから郵政3事業というのは、別に郵便が民営化するということではなくて、実はその特殊法人問題についての、もうほんとに根本的なですね、金の供給源を断つという、非常に荒療治なんだっていうことを頭に置いておくといいかもしれませんね。
デイキャッチ・テレフォン - テーマ「あーん、水が欲しい。私の水無し珍体験」
…40年前埼玉県某市で、断水中に自転車のさんかく乗りの練習で失敗して肥溜めに入ってしまい大変だった、というエピソードにつづけて…
宮台先生 :僕ね、35年前に1年間、埼玉県に住んでたんですよ。肥溜めありましたよね。うーん、で、やっぱりあの、そういう、ね、堆肥とかやっぱり人糞で肥料をやってるところが大半でございましたね、当時はね。
…登山の時に鍾乳洞で汲んできた水と知らずに飲んでお腹をこわした、というエピソードにつづけて…
宮台先生 :硬質、軟質っていうね、日本は軟水ですけどね。そのー、ミネラルが、ちょっと、僕たち慣れてないようなのが入っているだけで、結構、腹にきますね。
(略)
宮台先生 :あと、やっぱり経口、口から感染する、まあ、A型肝炎ウイルスもですね、海外の水を飲む場合には怖いですね。で、暑いところに行くとまたね、水が欲しくなっちゃうだねー。
(略)
宮台先生 :えー、ちょっとね、社会学的な話をさせていただくとね、ほら、さっきあのー、宗教の話をしましたよね、エルサレムでテロの問題でね。であのー、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、こう、世界3大宗教は全部こー、砂漠の宗教って言われていて、水の無いところで発展した宗教なんですね。共通して唯一絶対神っていうふうに言いますけれども、とても大きな力を持つ神様がいるというふうに信じているわけですね。でー、日本には、そういう発想は全く無いんですね。八百万(やおよろず)の小っちゃな力を持つ神様が、その世界のそこかしこにいるっていうね、うーん、あのー、家の中にもね、そのなんとかの神様、台所の神様、便所の神様みたいな感じなんですね。で、これは、実は、水とすごい関係があるんだっていうのが、社会学的な1つの、あの、まあ定説的な考え方ですよね。

ていうのは、その、砂漠の水の無い、そのー、文化圏ではどういうことが起こるかというとね、まずその、非常に深刻な干ばつってのが起こりがちになるわけですね。そうすると要するに部族全体絶滅なんてことも起こるわけです。そうするとやはり、そういうその部族、あるいは民族全体の運命をつかさどってるね、非常に強い力を持った神がいるんだっていう考え方がやっぱ出てきやすい。あともう一つはね、そういう水の少ないところでは、治水、潅漑事業が非常に重要になるんですね。で、そうすると、治水、潅漑事業を指揮する、非常に強大な王権が必要になってくるんですね、王様の力が。そうすると、その王様が自分の絶対的な力の背景をその絶対的な神が、自分に力を与えてくださっているから、自分の力が絶対なんだっていうかたちで、正当化をするっていうこともでてくるわけですね。

ただそういう意味で、治水、潅漑事業の必要からも唯一絶対神っていう、非常に大きな力を持つ神というものが要求されるということで、実は、その日本人がですね、あまりそういう、その世界3大宗教についての理解をするセンスをもっていないとかですね、その八百万の神々的な、それこそ「千と千尋の神隠し」的なね、世界観の中を生きているのは、水が豊かだからなんですね。まあ、それが、社会学的な非常に重要な、えー、まー、1説ですね。
…強啓さんの、日本の治水に対して新しい考え方をする必要がある、というコメントにつづけて…
宮台先生 :まあねー、でも、それもね、要するに、その水が豊富だからできちゃうんですよ。つまりあのー、確かにすぐ流れちゃうんだけど、すぐ降ってくるわけですね。だからすぐ降ってくるから、溜めようみたいな、やり方で、こー、やってきちゃうんですね。だからそれはね、僕たちの時間感覚が比較的、どういったらいいでしょう、せわしないでしょ。これには関係がやっぱりありますよね。だから水はね、結構その地域地域の、その文明の質を決めてますね、うーん。