荒川強啓デイキャッチ
放送日:2001-08-03
筆記:いとう
イントロダクション
…9年連続路線価下落について…
宮台先生 :もともと高すぎたということもありますけれども、なぜ土地が必要なのかといえばね、住むためというよりも、経済活動のために必要なわけだし、また、経済活動があればそこに、まー、働くために近くに住むということがあるわけですから、経済活動の水準がね、下向きになってくれば、土地に対する需要が下がって、えー、土地の価格が下がるのは全く自然現象で、土地だけ高ければおかしいですよ。
…下落分の税金が下がることについて…
宮台先生 :その分を消費に向ければね、そのー、経済の下支えになりますからね。
…宅地の地価について…
宮台先生 :だから実際ね、あのー、東京の物価水準がね、他の都市並になったけれども、結局、東京はやっぱりマンション代とかさ、高いんですよ。その分、消費に向けられないわけだから、これはあんまりよくないですよね。
…住居購入に付随する経済効果について…
宮台先生 :ある程度はね。あのー、諸外国に比べてもね、異常に持ち家志向がこれでも高いほうなんで、大都市はね、あのー、他の国々を見てみるとだいたい借家ですよ、みなさんね。今ね、20代のOLさんにもね、持ち家志向が広がってきているようでね、大変面白い傾向ですね。
デイキャッチランキング
10位 - 採石場で爆発事故。3人が一時、地下に閉じ込められる。 20票
…コメントなし…
9位 - 洗剤原料のノニルフェノールが、世界では初めて環境ホルモンと確定。21票
…ノニルフェノールの魚類の雌雄に与える影響について…
宮台先生 :あのー、性分化の科学がありましてね。もともと、そのー、雌雄が別の、あのー、つまり人間とか、哺乳類とか魚類もそうですけれども、もともとメス型が母体なんですよね。それに、一定の非常に微妙なその刺激が加わるとオスがそこから分化するわけです。たとえば、そのー、この魚でも人間でも、ヴォルフ管ミュラー管というですね、そのー、もともとの母体はオスにもメスにもなりうるような、しかし、形としてはメスに似たものがあって、特定の刺激があると、えー、そのー、たとえば一方が消えてオス化するんですね。そのバランスが生態的に、全体的に崩れると、あのー、もちろんオス化が進むような、そのー、内分泌かく乱もありうるんですけども確率論的にはメス化が進みやすいんですね、はい。
8位 - 路線価。全国の平均額が9年連続で下落。28票
…コメントなし…
7位 - フジテレビのマドンナ、内田恭子アナウンサー。深夜の密会をフライデーがパチリ。33票
宮台先生 :TBSでフジテレビの宣伝をしてしまいましたね。ねー、TBS内だったらよかったのにね(笑)。
6位 - 巨人の清原選手、野村監督の続投で来期は阪神移籍濃厚。 41票
…読売ジャイアンツの元木、高橋由伸の飲酒運転の疑惑について…
宮台先生 :こういうのはどんどん、どんどん報道するべきなんです。・・・なんてどうでもいいんだから、写真週刊誌はこういうのをどんどん報道して、警察に動いてもらなわきゃまずいっすよ。なんか事件が起こったら、人が死んじゃったりするんだから。
5位 - 大魔人佐々木。日本とアメリカで通算300セーブをマーク。 45票
…コメントなし…
4位 - えひめ丸引上げ作業。まずは船のシンボル、中央マストの回収に成功。55票
…コメントなし…
3位 - 日本の治安悪化。刑法に触れる犯罪、過去最悪。61票
宮台先生 :昨年はね、27%でこれは大騒ぎされていましたけど、さらに8ポイントの下落ですね。ただその、一般にその警察統計というのはね、社会科学者の間では、「読み方注意」っていう風に呼ばれていましてね、、、
強啓さん :どういうことですか。
宮台先生 :それはですね、たとえば、あのー、人々が犯罪にどう反応するかという反応の仕方、たとえば、従来なら警察に通報しなかったようなものを通報するようになれば、えー、それはそれでですね、検挙率の低下に結びついちゃったりするんですね。あと、そのー、僕たちの、その市民的な感覚とその統計数値の乖離にも十分注意が必要で、「凶悪化する少年犯罪が」とかね、「増加する少年犯罪が」とか言われていますけども、少年凶悪犯罪は、ピーク時に比べると6分の1から 10分の1に減っていますね。
強啓さん :ピーク時といいますと、、
宮台先生 :1960年前後ですね。で、だからマスコミの報道が100%嘘だというふうに申し上げていいです。凶悪化もしていないし、あのー、増大も実はしていない。
強啓さん :目立ってはいますけどね。
宮台先生 :そうなんですよね。それは目立つ理由が別にありましてね、それはワイドショーが事件を繰り返し報じることであるとか、動機がよくわからないので、人々が不安がるとかね、そうしたファクターがむしろ注目されるべきなんですよね。ただその、今回のその検挙率の低下はね、ここでも繰り返し申し上げているけれども、ひとつはですね、日本の警察のね、捜査のシステムが、特にたとえばアメリカとかですね、イギリスなどに比べると相当古いやり方です。たとえば、ここでも言いました、プロファイリングのシステムがね、ほとんどできていなくて、えー、たとえば「科警研」、科学警察研究所などでですね、プロファイラーをすでにその養成していますし、現にいますけれども、えー、その要するに、現場の警察から、そのプロファイリングデータをあげるためのシステムができてないんですね。
宮台先生 :だって、事件でですねー、その捜査で疲れきった、その署員がね、その現場の職員が、またその、えー、プロファイリングのデータをね、自分であげるなんてのは実はできないんですよ。だから、そこについては、そのプロファイリングのための、そのー、要するに、人員の手立てをですね、していかないと無理ですけど、そういうシステムをまだできていないということもある。あともう一つね、非常に重要なことがね、たとえば、ストーカー防止法なるものができましたが、去年の11月ですね。こうしたものが出来る前は、こうしたものについて警察が動いてくれなかったので、いわゆる、まー、たとえば、そのー、極道さんに頼むのも含めたね、自力救済というのがなされていましたね。でね、あのー、こういう都市型のね、従来の法律ではなかなか、そのー、扱えないタイプの境界的な犯罪がこれからも増えていきます。この部分について、立法構造、活動も含めたね、対応が迅速でないと、さきほどその、えー、なんでしたっけね、そのー、
強啓さん :ブルドーザーですか。
宮台先生 :ブルドーザーの・・・にもありましたように、警察を頼らないで、市民がですね、別のシステムを頼って問題を解決するという、そのー、昔の共同体が、こー、健全に機能していたときには、それでもよかったようなシステムですけどもね、今、市民社会がそういう、ある種の裏のね、ネットワークを使って、市民が自力救済をするようになると、これはまたそうとう混乱をきたします、えー。あの、しかしね、あのー、あたりまえのことだけど、僕の知り合いでもね、ネットストーカーにあって、そのー、レイプ依頼をですね、いたるところに載せられてしまったような女の子がいます。これね、ストーカー防止法ではどうしようもないんですよね。でー、あのー、こうした問題について、じゃ、警察が動いてくれるかっていうと動いてくれない。でー、しかし、動いてくれる、か細いチャンスとしては、その、警察の中に、そのー、特に警察庁のトップに知り合いがいると動いてくれるんですよ。でー、こういうあたりもね、実はそのー、法律的な呼び出し点を公平に使うというね、法の下の平等原則に実は反しちゃっているというところもあります。
宮台先生 :しかしね、しかし、いいですか。あのシステムの問題もそうなんだけども、警察が動いてくれないその市民としては、わらをもすがりたいから、つまり、何かにすがらないと自分自身が死んでしまうかもしれませんからね、だから、そのー、そういうのにすがろうとする人間を僕は責められない。その警察庁の知り合いのつてを使おうとか、場合によってはね、そのいろんなつながりを使おう、違法なつながりも含まれちゃうかもしれない、しかし、そうしないと死んじゃう人がいるわけだからね。ここらへんについて、システムをやっぱ変えていかないと結構ですね、これから、あのー、どういったらいいでしょうか、えー、その世間的に透明なシステムでないものによってですね、市民が自分を守ろうとするような、一時期のイタリアのようなね、かたちになってしまう可能性がありますね。
強啓さん :ということは日本の治安を守るにはどうしたらいいんですか。その警察の人数を増やさなきゃ、いけないんですか。それとも、、
宮台先生 :人数じゃなくて、システムを変える必要があります。そのためには、警察内部の巨大な利権の移動も生じます。だってね、検挙率19%だったら、ほとんど頼りにならないのと同じですよ。
強啓さん :どこの国をその参考にするといいんでしょうかね。
宮台先生 :やっぱり、アメリカでしょうね。アメリカは日本に比べればね、凶悪犯罪の発生率も含めて10倍以上ですよね。でー、そういう国で、しかし検挙率は5割を越えてますよ、アメリカね。
強啓さん :FBI方式というのはどうですかね。
宮台先生 :すばらしいですよね。FBI、つまり、その連邦に依属する警察と州警察が、別のシステムでやっているんで利害も別なんですよね。だから警察を頼れない時には、じゃ、FBIに頼もうとか、いろいろなことが出来る。
強啓さん :いろいろとやって欲しいですね。
宮台先生 :はい。
2位 - 発言したことは実行するべき。小泉総理の靖国参拝に、保守党の扇党首が助言。77票
宮台先生 :ふふーん。ちょっとね、僕ねー、小泉さんの最近見えてきたね、シナリオ的行動があると思いますね。そのー、ハンセン氏病の訴訟でのですね、控訴取り上げ、取り下げ問題にいたしましても、えー、あるいは、その京都議定書のコップスティックスでの扱いにいたしましても、そして、今回もそうですけれどもですね。えー、もしかすると、今回もそうかもしれませんけども、、、
強啓さん :つまり、とりやめる、
宮台先生 :えー、つまりですね、ぎりぎりまで引き伸ばして、小泉さんの、その、国益派を判断したぎりぎりの決断によってですね、えー、最終的な結論がひっくりかえった。でー、小泉さんの主体性が目立ちますし、えー、国民もやはり小泉さんは大したもんだなという風に評価もされますし。
強啓さん :で、近隣諸国も、やっぱりあなたはちゃんとした判断をなさったと、
宮台先生 :こうなりますでしょ。
強啓さん :評価が上がるんですよね。
宮台先生 :横でね、シナリオ書いてる人がいますから、皆さんね、まにうけないで、「なあるほど、そういうシナリオなのか」というふうに判断するようなね、政治的民度も必要ですよ。もちろん、それとは別の問題としてね、以前から言っているように、国益を冷静に分析出来ない人間は、僕に言わせると売国奴と同じです、これはね。国益を冷静に分析して、国益の増進を図るのが愛国主義者だというのが、日本以外のドイツやイタリア、えー、戦後、枢軸国の反省で得られた結論です。えー、国益は冷静に分析する必要があります。えー、短期的なその心情的満足の問題だけに、その「愛国」っていうことを還元してしまってはなりません。
1位 - 田中大臣と官邸の対立。今度は柳井駐米大使の後任問題。 114票
宮台先生 :こうやってね、いずれ明らかになってしまう外務省の腐敗こそがね、国益に対する侵害なのか、つまり、外国の評判も含めてね、で、あるいは、その外交的にその若干、拙劣なことを発言する田中真紀子さんが国益に対する侵害なのか。えー、しかし田中さんは、その外務省をですね、いわば、そのー、年来の腐敗を断ち切るために、こう刺客として送り込まれたというところがある。この場合ね、どちらの国益のほうが重要なのかということは、前から言ってましたよね。その多くの外務省よりのコメンテイターは田中さんのことを悪口ばっかり言ってましたけども、ぼくは、いずれ明らかにこれからどんどんなっていく、根が深すぎるこの外務省の腐敗は、これは、国益に対する重大な侵害で。

しかしね、これね、微妙な問題もあるんですよ。というのはね、根が深すぎて、これー、その全部きれいにしてしまうと、えー、歴代の政権全部、こう、簡単にいえば、不信という名の矢面にたつというか、ふっとんでしまうようですね、非常に根が深い問題なので、要はですね、どっかで手打ちせざるを得ないんですよ。で、ここまでっていうふうに、そのー、せざるをえないところが、それ国益上もですね、そうならざるを得ないとこが必ずでてきちゃうんですね。ただ、その部分についてはね、やっぱある程度、その国民にああそういうことかっていう情報が分かる程度にまでですね、情報を明らかにしていただかないと、ちょっと納得がいかなくなってしまいますね。最近、ちょっと、外務省腐敗、汚職についての報道、あるいは田中真紀子さんの発言も含めて、少し私は手ぬるくなってきてるような気がします。まあ、それはね、手の打ちどころをね、模索している、あるいは、それは、もう決まったのかもしれない。しかし、それについて、僕たちはよくわかってないので、えー、どういうところで手を打つのかをね、ちょっとちゃんと分からせて欲しいなって思いますね。
強啓さん :でー、少なくともその患部となってる膿は出して欲しいですよね。しっかり膿を出してもらわなきゃならない。それをふたをするようなことだけはやめてもらいたいですね。
宮台先生 :はい。しかし、これが重要なのはね、その外務省記者クラブ問題「霞クラブ」の問題があってね、マスコミは、その、そういうことを薄々あるいは、明示的に知っていても、従来報じられなかったんですよ。ですから、えー、さっきの、こないだのハンセン氏病の問題も同じだけれでも、昔から分かっている問題について、ちゃんとね、報道が報じる責務をね、果たす、あるいは、インセンティブをね、こう、かきたてるためには、やはり、記者クラブ制度をなんとかする必要があります。
強啓さん :それと、前外務大臣、河野洋平さんが、もうずーっと隠してきましたからね。こうも違ってるって、外務大臣が代わるとこんだけ違うってことも忘れないように。
宮台先生 :旧厚生省も同じことがありましたね、はい。
デイキャッチ・テレフォン - テーマ「9年連続で路線価が値下がり。このせいで、私泣いてます、笑ってます。」
…東京在住のテレフォン2件(泣き、笑い)の話をうけて…
宮台先生 :うん、だから、あの、東京とか、都会に住んでいるとね、結構、自由度が高いと思うんですよ。僕のね、知り合いの漫画家もですね、松涛ですけどね、40億円だった物件を、8億円で手に入れてますよね。やっぱりね、あのー、僕の知り合い、僕の奥さんなんかも含めてですけれどもね、あの、土地を買うっていう方もいらっしゃるし、あるいは、リラクゼーションプレイスということでですね、自分が今住んでいるとことは別の仕事場とかね、あるいはそのー、植物をいっぱいそのー、置いた植物園のような部屋とかって、いろいろ借りてね、セカンドハウス的にね、ま、その、別荘っていうのじゃなくて、アメニティープレイスをね、そうやって増やすっていうふうにやってらっしゃる方もいるし、僕を含めてね、ま、僕はそのー、沖縄の離島にね、物件探してますけども(笑)、そうやっている人もいますわ。つまりね、あのー、都会に住んでいるとけっこう、いろいろいいでしょう。ところがね、あのー、問題は地方なんですよ。

さっき申し上げましたけれどもね、結局、土地はですね、今まで、その投資効率ってことから価格が決まってたけども、そうじゃない時代になるとね、結局、そこで経済活動をやった時に、どれだけの収益率があがるのかっていうことから、土地の値段を判断して、その買うということ以外のね、土地を買う動機ってありえないんですよ。で、そうするとね、あのー、転売して儲かりますよじゃなくて、あのー、不動産やね、あるいはそのー、土地を買うということにお金を貸す銀行さんも、それこそ、そのー、シンクタンク的な活動をされましてね、その地域でどういう経済活動をするとどういう風なその経済効率で、そのー、したがって、土地の価格がこのぐらいだと見合うんだっていうことをね、やっぱ説得して、インセンティブをね、かきたてていくっていう活動をしなきゃダメなんですよ。ところが従来型のね、日本のその土地の売り買いっつうのは、転売したら儲かりますよみたいにやってたんで、ま、都会はまだそれでもね、やっていける部分あるんだけど、もう、地方はもう全然無理。だから、実際にどういう経済活動のね、その、未来的な、長期的な構想をえー、たてるのかっていうことが、非常に重要になってるんですね。
…地価下落を機に、都心の一等地に外資が参入していることについて…
宮台先生 :まあ、はい、あのね、外国人投資家の方々というのはね、やはりこう、日本よりかやっぱり歴史があるせいでね、かなり周到なんですよ。で、原則としてはね、そのー、悪い時に買って、いいときに売るんですよ。だけど、日本人というのはいいときに買っちゃうわけ。だから、そのー、下がっちゃうんですよね。あのー、これは何度も・・・してくると分かってくる。悪い時、しかし永久に悪いんじゃなくて、いずれは上がるに違いないなって思うときに買う。で、よくなって来たら売るんですよ。で、このー、原則を守ってれば損はしないんですね。で、外人投資家ってのは、だいたいそういう風にして、一般的に行動されます。これは、まあ大原則ですけどね、はい。
…強啓さんの消費性向に対するコメントにつづけて…
宮台先生 :まあ、生産活動も含めてね、その消費活動、お金をどう使うかってこともね、実はね、アイデアがいっぱいあるとインセンティブがわいて、使おうかなって思うんだけどもなんかね、凡庸なイメージしかないのかもしれないね、お金の使い方について。