差出人: Kazuhiro Shimoura [shimoura@rdd.kepco.co.jp]

送信日時: 2000年9月21日木曜日 17:33

件名: 都市の情報機能

 

前略 今井先生

 

関西電力研究所の下浦と申します。昨日の千里ライフサイエンスセンター

でのご講演を興味深く拝聴いたしました。特に、すべての人が能力を発揮

できる社会が重要、ある程度トップダウンで情報空間をデザインする事が

必要、等のご意見には全く同感です。

 

私は、この5年余り光通信の研究に従事してきました。先生の仰るハード

の部分で仕事をしてきましたが、それはそれでエキサイティングな時間で

した。光通信の伝送速度は90年代に5年で100倍のスピードで技術革新

が進んだからです。

 

私は、先週まで2週間、ドイツとイタリアを回って来ました。ECOCという

光通信国際会議では、毎年トップデータが報告され、日本からも多くの

研究者が参加します。

http://www.vde.com/VDE/Fachtagungen/eccoc2000.htm/

 

毎年、この会議に出席する時期にエネルギー関係の大事件が発生します。

昨年は、東海村の臨界事故、今年はイギリス等での石油ショックでした。

 

ヨーロッパで感じたのは、発展した都市国家は、有る程度、強力な設計思想

なり統治機構なりを持っていた、という事でした。ベネチアなども、やむを得ず

海上に都市を建設したようですが、その後、海上貿易の発達という技術革新

の波をとらえて、あそこまで発展したという事でした。

 

これらの都市国家には、大抵、寺院とそれに隣接する広場があり、人々は

神(自分)と対話したり、それを人々に伝える、という情報共有機能を持って

いたようです。(今の日本の都市に欠けている機能です)

 

それで本題なのですが、IT革命が革命たるためには、それに対応する都市

(リアルまたは、ネット上の)が出現する必要があると思いますし、それを

デザインする事はすべての人が能力を発揮できる社会の実現にもつながる

ものと考えます。

 

あと、エネルギー面では、来世紀中に枯渇する石油に備えて、電力をベース

として都市機能を構築する必要があるのではないでしょうか? 具体的には、

ヨーロッパの諸都市のように路面電車を復活させたり、という事も重要だと思

われます。

 

「都市の情報機能」「全電化都市」などに関して、先生の研究組織と意見交換

、参加等させて頂きたいと考えるのですが、如何でしょうか?

長文失礼致しました。