ベネチアにて4

by  Kazuhiro SHIMOURA

Sep. 10, 2000

 

確かにベネチアは一人で来るところではない。月の光を浴びながら水路沿いの小道を辿るのはロマンチックであり、実際アベックばかりである。ベネチアの月、という題名の曲があったように思うが、これには実用的な意味もあることがわかった。迷路の中では月で方向を確かめるしかないのである。

 

道端では、黒人がバックの偽物をうっていたり、ピーピー鳴く犬のオモチャや、音楽に合わせてピョコピョコおどるミッキーマウスの人形を売っていたりする。概してベネチアの中高年は真面目であるが、青少年には希望が無いようである。

 

観光客相手に土産物やレストラン以外、これと言った産業が無いからである。かつての栄光の影にすがって生きるしかないのである。昨夜、教会の方まで歩いていったがクラシックコンサートをやっていた。さすがに芯はしっかりしたものがあるのかも知れない。

 

イタリアの紙幣はゼロが多くて解りにくい。20で割れば日本円に換算できる。1000リラはキュリー夫人ではなくモンテッソーリという女性首相、2000リラはマルコーニである。10000リラは電池のボルタらしい。科学者や芸術家が紙幣になるのがヨーロッパの特徴のようである。

 

ホテルは狭いが快適である。今日はピサを目指す予定である。日本との時差は7時間であり、今は昼の3時過ぎか。昨夜は歯が痛くて苦しむ。アイスクリーム2つ、ジュース2本の報いである。

 
フィレンツェ行きの列車は3時54分であり、昼過ぎまでベネチアの日光のさす小道を辿る。箱庭のように変化に富んで楽しい。教会前の空間では老人がベンチで日向ぼっこしたり、子供が遊んでいたりする。

HOTEL SPAGNA (***) +39-041-715011, +39-041-2750256(FAX)