ベネチアにて1

by  Kazuhiro SHIMOURA

Sep. 8, 2000

 

ミュンヘンから列車で7時間、ベネチアに到着する。予約していた駅前の4ツ星ホテルは高そう(37万リラ)だったので、3つ星ホテル(SPAGNA、15万リラ)に下げる。20で割ると8000円程。ベネチアのホテルは高い。

 

ベニスに向かう列車の中で考えていたのは、都市の情報機能についてである。人は都市に住んでこそ、新たな出会いが可能となり、新しい考えや文化が生まれるのである。昨日、ベローナを通過したが、車窓からの印象は建物と木々が調和した実に美しい所であった。

 

そして都市の周囲には、そこに食料などを供給する農耕地帯が広がっている。大学や宗教を目的とする都市は内陸部にあっても良い。日本では、高野山、京都、長野などはこれに近いだろう。こういう都市の最大の機能は、情報交換であり、カフェや教会、学校など、様々な出会いのシステムが組み込まれている。

 

私の歩んできた道は、残念ながら全く都市機能から切り離されていた。それが人生の可能性を限定してきたと思う。私の目的は、ネットワーク上に都市を構築する事に他ならない。そこを新たな出会いと創造の場とすることである。私に続く世代のために、その基礎を築きたいと願っている。

 

ベニスの通路は迷路のようで、運河もS字に蛇行しているので全く方向が解らなくなる。私も昨夜、その洗礼を受けた。かろうじて月で確かめるのみであった。この海上都市は地図でみるよりも広く、大変に疲れた。